ミロク情報 Research Memo(3):売上高、利益共に過去最高業績を更新
[16/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■決算動向
(1) 2016年3月期の業績概要
5月13日付で発表されたミロク情報サービス<9928>の2016年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.6%増の23,636百万円、営業利益が同20.4%増の3,039百万円、経常利益が同18.6%増の3,068百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.4%増の1,906百万円となり、売上高、利益ともに過去最高業績を更新し、期初会社計画比でも若干上回って着地した。
同社がここ数年取り組んできた「顧客基盤とサービス収入の拡大」並びに「受注残高を意識した経営目標管理の徹底」による効果が顕在化しているほか、当期はマイナンバー制度に対応した関連製品を9月に発売し、会計事務所や一般企業向けに約11億円の売り上げを計上(ソフトウェアとユースウェア売上)したこともプラス要因となった。マイナンバー関連製品の需要が集中したことで、企業向けERPシステムの販売は当初計画を下回ったが、システム導入契約売上高の受注残は5.32ヶ月と前期末比で1.12ヶ月増加しており、導入予定だった案件の大半は2017年3月期に繰り越されたものと考えられる。
また、売上総利益率は収益性の高いサービス収入の構成比が上昇したことで(前期34.3%→今期35.1%)、前期比1.1ポイント改善した。販管費については人員体制の強化(新卒採用80名)による人件費増やTVCM等の広告宣伝費を積極投下したことで増加したが、増収効果によって営業利益、経常利益ともに2ケタ増益となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、前期に投資有価証券売却益291百万円を計上したこともあり、前期比で8.4%増に留まった。
(2)品目別、販売先別売上動向
2016年3月期の品目別売上高を見ると、システム導入契約売上高(ハードウェア、ソフトウェア、ユースウェア合計)が前期比3.2%増の14,683百万円、サービス収入が同8.3%増の8,307百万円、その他売上高が同33.7%増の645百万円といずれも順調に増加した。その他売上高の増収は、中小企業の経営者やビジネスパーソン向けのWeb情報サイト「bizocean」の広告収入増が主因となっている。登録会員数が前期末の150万人超から179万人超に拡大し、広告媒体としての価値が上昇したことが増収要因となっている。
○システム導入契約売上高
販売先別のシステム導入契約売上高は、会計事務所向けが前期比14.9%増の5,609百万円と増収に転じた一方で、一般企業向けが同3.9%減の6,757百万円となった。会計事務所向けに関しては既存顧客へのマイナンバー関連製品の売上高が急伸したことが増収要因となった。一方、企業向けに関してはマイナンバー関連製品の導入を優先的に進めるなかで、既存のERPシステムの導入が先送りされたことが減収要因となっている。ただ、前述したように受注残は積み上がっており、需要は引き続き旺盛であることに変わりない。
マイナンバー関連製品の売上高はソフトウェアに導入支援サービスを含めて約11億円となったが、このうち6〜7割が会計事務所向けで残りが企業向けとなっている。会計事務所向けに関しては、同社顧客の5割弱に導入が進んだ。また、企業向けに関しては同社の給与システムを利用する中堅・中小企業を対象とした場合、3割程度に導入が進んだと見られる。
品目別の売上高を見ると、ソフトウェアが前期比0.1%減の8,949百万円にとどまったのに対して、ハードウェアが同8.3%増の2,801百万円、ユースウェアが同11.3%増の2,932百万円となった。ソフトウェアは企業向けERPシステムの導入先送りが影響した。一方、ハードウェアやユースウェアについてはマイナンバー関連製品や付随するセキュリティ製品の伸びによって、それぞれ増収となった。
○サービス収入
サービス収入の売上高は前期比8.3%増の8,307百万円と順調に拡大した。一般企業の新規顧客開拓が順調に進み、ソフト運用支援サービス(企業向けソフト保守サービス)が同8.0%増の3,538百万円と拡大したほか、会計事務所を通じた小規模事業者向けの簡易版会計ソフト(ソフト使用料)も同19.0%増の1,009百万円と好調に推移した。また、会計事務所向け総合保守サービスであるTVSの売上高も、同1.9%増の1,851百万円と底堅く推移した。これらサービスはストック型収入となるため、顧客数の拡大に伴って売上高も安定的に伸びる格好となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
(1) 2016年3月期の業績概要
5月13日付で発表されたミロク情報サービス<9928>の2016年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.6%増の23,636百万円、営業利益が同20.4%増の3,039百万円、経常利益が同18.6%増の3,068百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.4%増の1,906百万円となり、売上高、利益ともに過去最高業績を更新し、期初会社計画比でも若干上回って着地した。
同社がここ数年取り組んできた「顧客基盤とサービス収入の拡大」並びに「受注残高を意識した経営目標管理の徹底」による効果が顕在化しているほか、当期はマイナンバー制度に対応した関連製品を9月に発売し、会計事務所や一般企業向けに約11億円の売り上げを計上(ソフトウェアとユースウェア売上)したこともプラス要因となった。マイナンバー関連製品の需要が集中したことで、企業向けERPシステムの販売は当初計画を下回ったが、システム導入契約売上高の受注残は5.32ヶ月と前期末比で1.12ヶ月増加しており、導入予定だった案件の大半は2017年3月期に繰り越されたものと考えられる。
また、売上総利益率は収益性の高いサービス収入の構成比が上昇したことで(前期34.3%→今期35.1%)、前期比1.1ポイント改善した。販管費については人員体制の強化(新卒採用80名)による人件費増やTVCM等の広告宣伝費を積極投下したことで増加したが、増収効果によって営業利益、経常利益ともに2ケタ増益となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、前期に投資有価証券売却益291百万円を計上したこともあり、前期比で8.4%増に留まった。
(2)品目別、販売先別売上動向
2016年3月期の品目別売上高を見ると、システム導入契約売上高(ハードウェア、ソフトウェア、ユースウェア合計)が前期比3.2%増の14,683百万円、サービス収入が同8.3%増の8,307百万円、その他売上高が同33.7%増の645百万円といずれも順調に増加した。その他売上高の増収は、中小企業の経営者やビジネスパーソン向けのWeb情報サイト「bizocean」の広告収入増が主因となっている。登録会員数が前期末の150万人超から179万人超に拡大し、広告媒体としての価値が上昇したことが増収要因となっている。
○システム導入契約売上高
販売先別のシステム導入契約売上高は、会計事務所向けが前期比14.9%増の5,609百万円と増収に転じた一方で、一般企業向けが同3.9%減の6,757百万円となった。会計事務所向けに関しては既存顧客へのマイナンバー関連製品の売上高が急伸したことが増収要因となった。一方、企業向けに関してはマイナンバー関連製品の導入を優先的に進めるなかで、既存のERPシステムの導入が先送りされたことが減収要因となっている。ただ、前述したように受注残は積み上がっており、需要は引き続き旺盛であることに変わりない。
マイナンバー関連製品の売上高はソフトウェアに導入支援サービスを含めて約11億円となったが、このうち6〜7割が会計事務所向けで残りが企業向けとなっている。会計事務所向けに関しては、同社顧客の5割弱に導入が進んだ。また、企業向けに関しては同社の給与システムを利用する中堅・中小企業を対象とした場合、3割程度に導入が進んだと見られる。
品目別の売上高を見ると、ソフトウェアが前期比0.1%減の8,949百万円にとどまったのに対して、ハードウェアが同8.3%増の2,801百万円、ユースウェアが同11.3%増の2,932百万円となった。ソフトウェアは企業向けERPシステムの導入先送りが影響した。一方、ハードウェアやユースウェアについてはマイナンバー関連製品や付随するセキュリティ製品の伸びによって、それぞれ増収となった。
○サービス収入
サービス収入の売上高は前期比8.3%増の8,307百万円と順調に拡大した。一般企業の新規顧客開拓が順調に進み、ソフト運用支援サービス(企業向けソフト保守サービス)が同8.0%増の3,538百万円と拡大したほか、会計事務所を通じた小規模事業者向けの簡易版会計ソフト(ソフト使用料)も同19.0%増の1,009百万円と好調に推移した。また、会計事務所向け総合保守サービスであるTVSの売上高も、同1.9%増の1,851百万円と底堅く推移した。これらサービスはストック型収入となるため、顧客数の拡大に伴って売上高も安定的に伸びる格好となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>