テクマトリックス Research Memo(1):16/3期は2ケタ増収増益達成、中計目標に対して大きく上振れて着地
[16/07/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
情報インフラの構築とアプリケーション・サービスを展開するテクマトリックス<3762>は5月9日、2016年3月期の連結決算を発表した。売上高、利益ともに前期比2ケタの増加となり、過去最高を更新、同期からスタートした3ヶ年計画「TMX 3.0」の目標に対しても上振れとなり、極めて好調な決算となった。好決算を受け、増配にも踏み切った。
情報インフラ構築の情報基盤事業はマイナンバー導入に伴う官公庁向けの大型案件が上半期までに一巡したものの、民需や地方公共団体・機関向けの中規模案件は需要が旺盛で、これらに対応した結果、通期で安定して売上高・利益を伸ばした。保守・監視サービスといったストックビジネスも拡大した。アプリケーション・サービス事業はソフトウェア品質保証、医療、CRMの各分野が売上高を増やしたほか、利益面に関しては主力ビジネスの1つである医療分野の赤字幅が想定以上に縮小した。
受注も堅調である。受注高及び期末の受注残高ともに前期比で2ケタの伸びを示した。情報基盤事業はセキュリティ関連製品の受注及び保守・監視サービスが好調で、受注高が前期比16.8%、受注残が同28.6%増加した。アプリケーション・サービス事業はクラウドへのシフトが進み、受注高が同6.7%増、受注残高が同21.9%増となった。セキュリティ関連ビジネスとクラウド関連事業の加速度的推進は同社の事業戦略の中核に位置付けられており、中期経営計画「TMX 3.0」に基づく構造改革の到達点である「次世代のITサービスクリエーター」及び「次世代のITサービスプロバイダー」への変革が着実に進んでいると言える。
好業績・受注増を達成できたのは、事業戦略を実現するための付加価値戦略を着実に展開しているためである。付加価値戦略はいくつかあるが、特に注目すべき点として、情報基盤事業に関しては、システム設計から構築、保守、運用・監視、活用提案までをワンストップで提供できる体制を充実させていることが挙げられる。2016年4月にF5ネットワークスジャパン(同)のアプリケーション・デリバリ・コントローラー「BIG-IPシリーズ」に関して、導入後の機器の運用・監視を代行するサービスを追加した。また、今まで子会社内にあったセキュリティ監視センターを近く本社内に移し、サービスの提供体制をより強固にする方針も打ち出した。一方、クラウド関連事業の加速度的推進に関しては、医療分野の中核商品である「NOBORI(のぼり)」をプラットフォームとして活用し、各種サービスを追加で提供する「NOBORI PAL(のぼり パル)」の提供をスタートした。計画通りにNOBORIの契約施設数を獲得し、好調に進捗している医療クラウドビジネスの拡大に向けてさらに大きな一歩を踏み出した。
さらに、TMX 3.0の次を見据えた成長戦略も着実に進めている。中国での遠隔医療事業に関する合弁会社設立や、トランスコスモス<9715>のタイ現地法人であるトランスコスモス(タイ)とのCRMに関する販売代理店契約締結など、海外での事業基盤構築を進めた。国内では、6月に米国のベンチャーが開発した、次世代のエンドポイント・セキュリティ製品である「Tanium Endpoint Platform(タニウム エンドポイント プラットフォーム)」の販売を開始した。
これらの事業戦略とそれを実現するためのオペレーション戦略が着実に進展していることから、2016年3月期は機関投資家からの投資が急増し、さらに海外投資家からの注目度も上がっている。加えて、2015年8月に筆頭株主であった楽天<4755>が保有する株式の大半を自己株式として取得、発行済み株式数の29.8%を自社株として保有することになったが、同社は消却ではなく、M&Aに活用することを基本としている。M&Aが実現すれば、TMX 3.0の最終年度の売上目標251億円からさらに50億円程度の上積みとなる可能性もあるとしている。今後の成長性にも十分な期待ができることから、投資対象として多いに注目に値すると言えるだろう。
■Check Point
・売上高、利益ともに過去最高を更新、売上高は初の200億円越え
・「従来のIT産業の労働集約的な請負ビジネスから脱却し、自らITサービスを想像し、ITサービスを提供する」企業を目指す
・17/3期は売上高が前期比6.6%増、営業利益が同19.4%増の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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情報インフラ構築の情報基盤事業はマイナンバー導入に伴う官公庁向けの大型案件が上半期までに一巡したものの、民需や地方公共団体・機関向けの中規模案件は需要が旺盛で、これらに対応した結果、通期で安定して売上高・利益を伸ばした。保守・監視サービスといったストックビジネスも拡大した。アプリケーション・サービス事業はソフトウェア品質保証、医療、CRMの各分野が売上高を増やしたほか、利益面に関しては主力ビジネスの1つである医療分野の赤字幅が想定以上に縮小した。
受注も堅調である。受注高及び期末の受注残高ともに前期比で2ケタの伸びを示した。情報基盤事業はセキュリティ関連製品の受注及び保守・監視サービスが好調で、受注高が前期比16.8%、受注残が同28.6%増加した。アプリケーション・サービス事業はクラウドへのシフトが進み、受注高が同6.7%増、受注残高が同21.9%増となった。セキュリティ関連ビジネスとクラウド関連事業の加速度的推進は同社の事業戦略の中核に位置付けられており、中期経営計画「TMX 3.0」に基づく構造改革の到達点である「次世代のITサービスクリエーター」及び「次世代のITサービスプロバイダー」への変革が着実に進んでいると言える。
好業績・受注増を達成できたのは、事業戦略を実現するための付加価値戦略を着実に展開しているためである。付加価値戦略はいくつかあるが、特に注目すべき点として、情報基盤事業に関しては、システム設計から構築、保守、運用・監視、活用提案までをワンストップで提供できる体制を充実させていることが挙げられる。2016年4月にF5ネットワークスジャパン(同)のアプリケーション・デリバリ・コントローラー「BIG-IPシリーズ」に関して、導入後の機器の運用・監視を代行するサービスを追加した。また、今まで子会社内にあったセキュリティ監視センターを近く本社内に移し、サービスの提供体制をより強固にする方針も打ち出した。一方、クラウド関連事業の加速度的推進に関しては、医療分野の中核商品である「NOBORI(のぼり)」をプラットフォームとして活用し、各種サービスを追加で提供する「NOBORI PAL(のぼり パル)」の提供をスタートした。計画通りにNOBORIの契約施設数を獲得し、好調に進捗している医療クラウドビジネスの拡大に向けてさらに大きな一歩を踏み出した。
さらに、TMX 3.0の次を見据えた成長戦略も着実に進めている。中国での遠隔医療事業に関する合弁会社設立や、トランスコスモス<9715>のタイ現地法人であるトランスコスモス(タイ)とのCRMに関する販売代理店契約締結など、海外での事業基盤構築を進めた。国内では、6月に米国のベンチャーが開発した、次世代のエンドポイント・セキュリティ製品である「Tanium Endpoint Platform(タニウム エンドポイント プラットフォーム)」の販売を開始した。
これらの事業戦略とそれを実現するためのオペレーション戦略が着実に進展していることから、2016年3月期は機関投資家からの投資が急増し、さらに海外投資家からの注目度も上がっている。加えて、2015年8月に筆頭株主であった楽天<4755>が保有する株式の大半を自己株式として取得、発行済み株式数の29.8%を自社株として保有することになったが、同社は消却ではなく、M&Aに活用することを基本としている。M&Aが実現すれば、TMX 3.0の最終年度の売上目標251億円からさらに50億円程度の上積みとなる可能性もあるとしている。今後の成長性にも十分な期待ができることから、投資対象として多いに注目に値すると言えるだろう。
■Check Point
・売上高、利益ともに過去最高を更新、売上高は初の200億円越え
・「従来のIT産業の労働集約的な請負ビジネスから脱却し、自らITサービスを想像し、ITサービスを提供する」企業を目指す
・17/3期は売上高が前期比6.6%増、営業利益が同19.4%増の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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