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高千穂交 Research Memo(3):16/3期は増収減益で着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

(1) 2016年3月期(実績)

●損益状況
高千穂交易<2676>の2016年3月期は売上高で19,986百万円(前期比6.3%増)、営業利益で436百万円(同36.5%減)、経常利益で410百万円(同52.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で103百万円(同82.5%減)となった。

売上高は2014年に買収したGuardfire社(以下、GF社)が通年で寄与し、さらに従来のシステム事業が販売回復したことなどから増収となった。売上総利益率は為替が円安に振れ商品調達コストが増加したこと、競争激化により販売価格が低下したことなどから24.9%(前期26.2%)となった。販管費は、のれん償却額が434百万円(前期264百万円)へ増加したことなどから4,536百万円(前期比6.8%増)となった。この結果、営業利益は前期比36.5%減の436百万円となった。さらに営業外費用に為替差損を75百万円計上した(前期は121百万円の為替差益)ことから経常利益は52.5%減の410百万円となった。また固定資産の売却により課税所得が低く抑えられていた前期に対して親会社株主に帰属する当期純利益は103百万円(前期比82.5%減)となった。

セグメント及びサブセグメント別の状況は以下のようであった。

a)システム事業
システム事業の売上高は11,184百万円(前期比19.4%増)、営業利益はのれん償却増を吸収して83百万円(同278.3%増)となった。サブセグメントの状況は以下のようであった。

i )セキュリティは6,994百万円(同25.6%増)となりセグメントの増収をけん引した。
主にGF社が通年で寄与したことが主要因だが、国内の小売各市場も回復基調になっている。以下が主な売り先別だが、アパレル小売店やGMS(総合スーパーマーケット)向けIPカメラ、HC(ホームセンター)向け商品監視システム、またオフィス(外資系企業や工場)向けの入退室管理システムが堅調に推移するなど、「その他」を除いて全カテゴリーで増収となっている。

ii )その他ソリューションの売上高は1,658百万円(同11.7%増)となった。
主要因はマイナンバー関係書類発送にかかわる大口案件があったことからメーリングの売上高が590百万円(同99.3%増)と伸びたこと。さらにネットワークシステムも467百万円(同26.6%増)となり増収に寄与したが、これはクラウド型無線LANシステム案件を企業向けに加えて、同社が得意とする小売店への販売を増やしたことによる。その一方でRFIDシステムはアパレル等の大型案件が後ズレしたことから600百万円(同26.6%減)となった。

iii )カストマ・サービスは着実に顧客案件を積上げて2,531百万円(同9.2%増)となった。

b)デバイス事業
デバイス事業の売上高は8,802百万円(前期比6.8%減)、営業利益は348百万円(同47.0%減)となった。

減収に加えて円安や競争激化により利益率が低下したことから大幅な減益となった。サブセグメントの状況は以下のようであった。

i )電子プロダクトの売上高は3,448百万円(同7.1%減)となった。
重点市場にしているインダストリーインフラは1,400百万円(同5.0%減)とわずかながら減収となったが、ターゲットとしていた大手キャリアのIP-PBX(構内交換機)用プロセッサの大口案件を獲得出来たことは大きな収穫であった。DA2(設置型情報家電)ではテレビリモコン向けICが堅調に推移した。その一方でアミューズメント市場やその他二次店向け販売は苦戦した。

ii )産機プロダクトの売上高は5,353百万円(同6.5%減)で、向け先別は下図のようであった。
向け先別を見ると、遊技機向け以外はすべて増収となった。自動機向けでは2,072百万円(同16.9%増)と堅調に推移し、特に国内外のATMメーカーへの販売が好調であった。その他市場向けでは新たに採用された自動車内装用ダンパーが好調であったことから売上高は745百万円(同24.2%増)と堅調であった。一方でこれまで伸び率の高かった遊技機向けは競争激化のため期首から減収計画にしており、726百万円(同55.7%減)となった。

●財政状況
2016年3月期末の財政状況を見ると、流動資産は14,992百万円(前期末比617百万円減)となった。主要科目では現預金121百万円増、受取手形及び売掛金745百万円減、棚卸資産125百万円増であった。固定資産は3,261百万円(同968百万円減)となったが、内訳は有形固定資産が306百万円(同53百万円減)、無形固定資産1,587百万円(同762百万円減)、投資その他資産1,367百万円(同152百万円減)となった。無形固定資産の減少は主にのれんの減少748百万円による。この結果、資産合計は18,253百万円(同1,585百万円減)となった。

流動負債は3,693百万円(同552百万円減)となったが、主な変動は支払手形及び買掛金の減少662百万円などであった。固定負債は716百万円(同69百万円増)となったが、主な変動は退職給付に係る負債の増加66百万円などである。純資産は13,844百万円(同1,102百万円減)となったが、主に自己株式の取得により306百万円減少、為替換算調整勘定により357百万円減少したことによる。期末で633,857株(604百万円)の自己株式を所有している。尚、長年無借金経営を続けていることも安定した財務基盤を示していると言えよう。

●キャッシュフローの状況
2016年3月期のキャッシュフローは下表のようであった。営業活動によるキャッシュフローは371百万円の収入(前期1,255百万円の収入)となった。主な収入は税金等調整前純利益の計上448百万円、減価償却費166百万円、のれん償却額434百万円、売上債権の減少272百万円であった。一方で、主な支出は棚卸資産の増加109百万円、仕入債務の減少549百万円などであった。投資活動によるキャッシュフローは349百万円の収入(同2,650百万円の支出)となったが、主に有価証券の償還による収入200百万円など。財務活動によるキャッシュフローは591百万円の支出(同230百万円の支出)となったが、主に自己株式の取得による支出312百万円、配当金支払いによる支出232百万円による。この結果、期中の現金及び現金同等物は45百万円に増加し、さらに連結子会社の決算期変更により現金及び現金同等物が225百万円増加したことから、期末残高は5,158百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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