千葉銀 Research Memo(1):マイナス金利政策の影響はあるものの、足元の業績は好調に推移
[16/07/22]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
千葉銀行<8331>は千葉県を主要な地盤とする地域金融機関として、地元の中小企業及び個人向け取引を主体としている。店舗数は183店舗(内、千葉県内は160店舗)。預金残高は11兆1,402億円、貸出金残高は8兆7,974億円と千葉県内で最大規模を誇るとともに、全国の地方銀行の中でも2位(単体総資産ベース)にランキングされる(2016年3月期実績)。創業以来、地域経済の発展への貢献と一貫した堅実経営により着実な成長を遂げてきた。足元の業績についても、厳しい事業環境の中にあって、恵まれた地の利や積極的な営業展開により好調に推移している。また、基幹系システムの共同化を軸とした「TSUBASAプロジェクト」や、2016年3月に締結した武蔵野銀行<8336>との包括提携など、将来を見据えた提携戦略の動きにも注目が集まっている。
2016年3月期の連結業績は、経常収益が前期比1.9%増の2,286億円、経常利益が同1.5%増の855億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.7%減の554億円であった。2015年3月期における特殊要因※のはく落により当期純利益が減益となったものの、実質的には好調に推移したとみるのが妥当である。銀行単体でも、貸出金利回り低下の影響等により資金利益が落ち込んだが、預貸金残高の拡大に加えて、与信関係費用の減少(貸倒引当金戻入益の増加)や政策保有株式の売却益などにより大幅な増収増益を達成した。
※2015年3月期に子会社株式の取得に伴う「負ののれん発生益等」(70億円)を計上
また、同行は2015年3月期を初年度とする中期経営計画「ベストバンク2020〜価値創造の3年」を推進しているが、これまでの取り組みが着実に進んでいることや計数面でも想定を上回るペースで進捗していること、事業環境(地域経済等)が計画策定時点と比べて好転していることなどを踏まえ、昨年11月に当初計画の一部増額修正を行った※。2017年3月期の(修正)目標として、「親会社株主に帰属する当期純利益570億円」、「貸出金残高9兆円程度」、「預金残高11兆円程度」、「グループ預かり資産残高2兆4,000億円程度」、「連結ROE6%台」、「連結普通株式等Tier1比率13%台」を目指している。
※2015年11月に「親会社株主に帰属する当期純利益」の目標数値を一度増額修正(500億円→570億円)したが、その後にマイナス金利政策の影響を織り込む必要性が出てきたことから、2016年5月に開示した2017年3月期の業績予想では520億円としている。ただ、当初計画(500億円)に対して上振れの着地となる想定に変わりはない。
2017年3月期の連結業績予想について同行は、経常利益を前期比10.5%減の765億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同6.2%減の520億円と減益決算を見込んでいる。マイナス金利政策の影響を織り込んだことと与信関係費用を保守的に見積もったことから減益予想となっている。弊社では、同行の業績予想は十分に達成可能な水準であるとみている。むしろ、与信関係費用の保守的な見積りが、ここ数年の実績や資産内容等から判断して業績の上振れ要因となる可能性がある。また、中期経営計画の目標数値についても、これまでの進捗状況等を勘案して実現の可能性が高いと判断している。
同行は、中期経営計画において2020年に目指す姿も設定しており、引き続き、「新たな企業価値の創造」、「人材育成の一層の充実」、「持続可能な経営態勢の構築」の3つの課題をさらに時代のニーズに合った形に進化させることにより、持続的な成長を実現する方向性を示している。2020年に目指す姿として、「親会社株主に帰属する当期純利益650億円」、「貸出金残高10兆円程度」、「預金残高12兆円程度」、「グループ預かり資産残高3兆円程度」、「連結ROE7%台」、「連結普通株式等Tier1比率13%台」を掲げている。
弊社では、マイナス政策金利など外部環境の影響には注意する必要があるものの、地域経済の成長性や市場の大きな東京への展開力、人材採用の面などで恵まれた地の利を活かせる同行には大きなアドバンテージがあると考えている。特に、これまでの提携戦略の進展や具体的な成果を含め、今後も地域金融機関の再編が予想される中で、いかに同行が主導的な立場から自らの成長機会として取り込んでいけるかが大きなカギを握るものとみている。
■Check Point
・年金保険手数料や法人ソリューション関連取引収益が好調
・法人ソリューション関連取引収益及び預かり資産残高を増強
・フィンテックを活用した金融サービスへの対応を新たに追加
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>
2016年3月期の連結業績は、経常収益が前期比1.9%増の2,286億円、経常利益が同1.5%増の855億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.7%減の554億円であった。2015年3月期における特殊要因※のはく落により当期純利益が減益となったものの、実質的には好調に推移したとみるのが妥当である。銀行単体でも、貸出金利回り低下の影響等により資金利益が落ち込んだが、預貸金残高の拡大に加えて、与信関係費用の減少(貸倒引当金戻入益の増加)や政策保有株式の売却益などにより大幅な増収増益を達成した。
※2015年3月期に子会社株式の取得に伴う「負ののれん発生益等」(70億円)を計上
また、同行は2015年3月期を初年度とする中期経営計画「ベストバンク2020〜価値創造の3年」を推進しているが、これまでの取り組みが着実に進んでいることや計数面でも想定を上回るペースで進捗していること、事業環境(地域経済等)が計画策定時点と比べて好転していることなどを踏まえ、昨年11月に当初計画の一部増額修正を行った※。2017年3月期の(修正)目標として、「親会社株主に帰属する当期純利益570億円」、「貸出金残高9兆円程度」、「預金残高11兆円程度」、「グループ預かり資産残高2兆4,000億円程度」、「連結ROE6%台」、「連結普通株式等Tier1比率13%台」を目指している。
※2015年11月に「親会社株主に帰属する当期純利益」の目標数値を一度増額修正(500億円→570億円)したが、その後にマイナス金利政策の影響を織り込む必要性が出てきたことから、2016年5月に開示した2017年3月期の業績予想では520億円としている。ただ、当初計画(500億円)に対して上振れの着地となる想定に変わりはない。
2017年3月期の連結業績予想について同行は、経常利益を前期比10.5%減の765億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同6.2%減の520億円と減益決算を見込んでいる。マイナス金利政策の影響を織り込んだことと与信関係費用を保守的に見積もったことから減益予想となっている。弊社では、同行の業績予想は十分に達成可能な水準であるとみている。むしろ、与信関係費用の保守的な見積りが、ここ数年の実績や資産内容等から判断して業績の上振れ要因となる可能性がある。また、中期経営計画の目標数値についても、これまでの進捗状況等を勘案して実現の可能性が高いと判断している。
同行は、中期経営計画において2020年に目指す姿も設定しており、引き続き、「新たな企業価値の創造」、「人材育成の一層の充実」、「持続可能な経営態勢の構築」の3つの課題をさらに時代のニーズに合った形に進化させることにより、持続的な成長を実現する方向性を示している。2020年に目指す姿として、「親会社株主に帰属する当期純利益650億円」、「貸出金残高10兆円程度」、「預金残高12兆円程度」、「グループ預かり資産残高3兆円程度」、「連結ROE7%台」、「連結普通株式等Tier1比率13%台」を掲げている。
弊社では、マイナス政策金利など外部環境の影響には注意する必要があるものの、地域経済の成長性や市場の大きな東京への展開力、人材採用の面などで恵まれた地の利を活かせる同行には大きなアドバンテージがあると考えている。特に、これまでの提携戦略の進展や具体的な成果を含め、今後も地域金融機関の再編が予想される中で、いかに同行が主導的な立場から自らの成長機会として取り込んでいけるかが大きなカギを握るものとみている。
■Check Point
・年金保険手数料や法人ソリューション関連取引収益が好調
・法人ソリューション関連取引収益及び預かり資産残高を増強
・フィンテックを活用した金融サービスへの対応を新たに追加
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>