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千葉銀 Research Memo(3):千葉県は全国有数の経済規模を誇る

注目トピックス 日本株
■事業環境

(1)千葉県の経済規模

千葉銀行<8331>の主要な地盤となっている千葉県は、人口が622万人(全国第6位)※1、着工新設住宅戸数が47千戸(同第6位)※2、県民所得18兆円(同第6位)※3、銀行預金残高27.2兆円(同第6位)※4、銀行貸出金残高13.3兆円(同第7位)※4と全国有数の経済規模を誇っている。また、人口及び世帯数が伸びている※5ほか、公示地価も上昇しており、足元でも順調に成長を続けている。加えて、つくばエクスプレスの沿線開発や東京湾アクアライン接岸部における大型商業施設や大規模住宅開発のほか、東京オリンピックの開催に向けた各種インフラの整備や成田市の「国際医療学園都市構想」(国家戦略特区指定)など、今後の経済成長についても明るい材料がそろっていると言える。

※1総務省統計局「国勢調査」(2015年10月速報)
※2国土交通省「建築着工統計調査報告」(2015年度)
※3内閣府経済社会総合研究所SNA(国民経済計算)「県民経済計算」(2013年度暫定版)
※4日銀「預金・貸出金関連統計」(2016年3月)
※5 2015年国勢調査結果によると、2010年調査比で人口が増えているのは全国で8都県(東京、千葉、神奈川、福岡、愛知、沖縄、埼玉、滋賀)となっている。

一方、千葉県は恵まれた地盤であるがゆえに競合も厳しい。千葉県内に本店を置く地方銀行には、同行のほかにも千葉興業銀行<8337>(同72店舗)が存在するうえ、第二地方銀行である京葉銀行<8544>(千葉県内118店舗)の出店も多い(店舗数は2016年3月末現在)。また、メガバンクや隣接する県を地盤とする地方銀行、地元の信金や信組、農協などとの競合も厳しい。

(2)金利情勢

銀行の業績に大きな影響を及ぼす市中金利については、長年にわたる低金利政策により年々低下傾向をたどってきた。10年国債の応募者利回り(年平均)は、2009年の1.358%から2015年には0.380%と大きく低下(マイナス0.978ポイント)している。これに連動する形で銀行の貸出金利回りも低下を続けており、銀行の重要な収益源である「資金利益」を圧迫してきた。加えて、2016年2月16日からはマイナス金利政策が実施されており、更なる影響が懸念されている(2016年2月以降、10年国債応募者利回りは0%以下の水準で推移している)。

(3)地銀再編の動き

地方を中心とした人口の減少や産業の空洞化(生産拠点の海外移転等)、貸出金利回りの低下(利鞘の縮小)に伴う収益環境の悪化などを背景として、地方銀行による経営統合の動きが活発化してきた。2014年に肥後銀行(熊本県)と鹿児島銀行、横浜銀行と東日本銀行の経営統合が相次いで発表されると、2015年には、常陽銀行<8333>(茨城県)と(株)足利銀行(栃木県)を傘下に持つ足利ホールディングス<7167>、2016年に入ってからも、(株)福岡銀行、(株)熊本銀行、(株)親和銀行(長崎県)を傘下に抱える「ふくおかフィナンシャルグループ<8354>」と十八銀行<8396>(長崎県)の経営統合が発表されている。同行と武蔵野銀行の包括提携については、経営統合ではなく、地域へのコミットメントを強固に維持しつつ、実効性が高い協業を目指すものとなっている。今後も、マイナス金利政策の影響が地銀再編の動きを加速するものと考えられるが、スケールメリット(システムの共同利用など)によるコスト削減や過当競争の解消による収益力の改善につながる点においては、銀行経営にとってプラスになるとの見方もされている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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