タマホーム Research Memo(4):2016年5月期は減収減益となるも利益面では会社計画を上回り着地
[16/08/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 2016年5月期の業績について
タマホーム<1419>の2016年5月期の連結業績は、売上高で前期比7.5%減の138,379百万円、営業利益で同21.1%減の1,803百万円、経常利益で同49.6%減の1,016百万円、親会社株主に帰属する当期純損失で446百万円(前期は641百万円の損失)となった。主力の注文住宅の販売棟数が前期比11.7%減の6,433棟と減少傾向が続いたことが減収・営業減益要因となった。ただ、4月に下方修正した会社計画からは、利益面で上回って着地した。これは販管費の抑制に取り組んだことや、円高の進展により当初想定していた資材費の上昇が第4四半期に進まなかったことが要因となっている。
なお、営業外収支が前期比で518百万円悪化したが、このうち464百万円は期末に為替が円高に振れたことによる外貨建て資産の為替評価差損益の差となっている。また、特別損失として、営業拠点を中心とした減損損失233百万円や固定資産除却損179百万円を計上している。
業績は減収減益となったものの、注文住宅の受注状況は第2四半期以降、前年同期比でプラスに転じるなど回復傾向が続いており、当面の業績は底を打ったと考えられる。事業別の動向は以下のとおり。
○住宅事業
住宅事業の売上高は前期比10.6%減の116,810百万円、営業利益は同0.3%減の736百万円となった。売上高は2ケタ減収となったものの販管費の抑制や原価低減に取り組んだことにより、利益面では微減益にとどまった。
主力の注文住宅の売上高は前期比11.4%減の114,484百万円、販売棟数は同11.7%減の6,433棟と2期連続で減少したが、受注棟数については同2.9%増の7,626棟と3期ぶりの増加に転じている。住宅金利の低下による消費マインドの回復に加えて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)※対応の新商品を2016年4月から、また、期間限定の低価格規格商品を2015年10月から販売開始したことなども受注回復の要因となった。
※室内外の環境品質を低下させることなく、高い断熱性能と高効率設備による可能な限りの省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入により、年間での一次エネルギー消費量が正味ゼロ、または概ねゼロとなる住宅を指す。
住宅事業の営業拠点については、新規に5ヶ所(うち移転による新設2ヶ所)の出店を行い、モデルハウス・ショールームのリニューアルを213ヶ所で行うなど販売網の整備を進めた。また、集客施策として春に特別イベント「トミカ・プラレールわくわくパーク」の開催を実施したほか、住宅購入検討者に向けた内覧企画として「オーナー宅マッチングサービス」を開始するなど新たな取り組みも実施し、受注の増加につなげた。
平均販売単価に関しては1,779万円と前期の1,774万円から若干上昇した。販売棟数のうち、低価格帯規格商品は218棟と全体の3%を占めた。同商品の平均販売単価は1,050万円程度となっており、年収が300万円台の顧客層でも購入できる商品プランとなっている。従来は年収で430万円以上が同社の対象顧客層であったため、新たな顧客層の開拓において一定の成果を得たと言える。同社では引き合いが好調なことから今後、ベーシックラインとして同商品をレギュラー商品化していくことを検討している。なお、売上粗利益率に関しては既存商品と同水準となっている。
また、2015年9月より営業活動を再開したリフォーム事業に関して、売上高が前期比141.4%増の1,376百万円と回復に転じている。受注ベースでは同485.0%増の1,796百万円となった。
○不動産事業
不動産事業の売上高は前期比6.4%増の13,762百万円、営業利益は同59.2%減の699百万円となった。売上高の内訳を見ると、戸建分譲は比較的規模の小さいミニ分譲地の販売が好調に推移し、同118.6%増の10,319百万円、販売棟数で同164.9%増の347棟と大幅増となった。一方、マンション事業は同56.1%減の1,334百万円、サブリース事業は同39.7%増の2,120百万円、その他事業は同99.6%減の15百万円となった。その他事業については前期に計上したマンション分譲用地の売却収入が無くなったことによるもので、利益面でも同売却益が無くなったことが減益要因となっている。
○金融事業
金融事業の売上高は前期比7.1%減の1,143百万円、営業利益は同15.8%減の532百万円となった。火災保険の付保率が上昇したものの、保険期間の短縮(2015年10月以降、10年超の長期契約保険の販売が停止)により手数料単価が下落したほか、住宅事業における販売棟数の減少が減収減益要因となった。ただ、ファイナンシャルプランナー一人当たりの生産性は向上している。
○エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前期比153.2%増の850百万円、営業利益は同690.5%増の326百万円となった。2015年2月から発電を開始しており、当期はフルで業績に寄与した格好となっている。
○飲食事業
2015年12月より「ザ・ポートマン・リッツ・カールトン上海」にてレストラン「アランウォンズ上海」を開業している。開業から6ヶ月間で売上高は38百万円となっている。出店費用や固定費、食材費など立上げ費用が発生し、営業損失は344百万円(前期は219百万円の損失)となった。
○その他事業
その他事業の売上高は前期比32.6%増の5,773百万円、営業損失は181百万円(前期は603百万円の損失)となった。住宅販売棟数の減少に伴い、住宅周辺事業が低調に推移したものの、グループ会社にて保有していた海外事業用地を売却したことにより増収となり、営業損失も縮小する格好となった。
なお、新規事業となるホテル事業では、2016年3月に国内第一号店となる「タマディアホテル羽田」を開業している。客室数160室(宿泊料7,500〜10,500円)でオープン当初は稼働率90%前後で推移していたが、6月は円高の影響もあって72%とやや低下している。稼働率80%で推移したとすると年間売上高で400〜500百万円が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) 2016年5月期の業績について
タマホーム<1419>の2016年5月期の連結業績は、売上高で前期比7.5%減の138,379百万円、営業利益で同21.1%減の1,803百万円、経常利益で同49.6%減の1,016百万円、親会社株主に帰属する当期純損失で446百万円(前期は641百万円の損失)となった。主力の注文住宅の販売棟数が前期比11.7%減の6,433棟と減少傾向が続いたことが減収・営業減益要因となった。ただ、4月に下方修正した会社計画からは、利益面で上回って着地した。これは販管費の抑制に取り組んだことや、円高の進展により当初想定していた資材費の上昇が第4四半期に進まなかったことが要因となっている。
なお、営業外収支が前期比で518百万円悪化したが、このうち464百万円は期末に為替が円高に振れたことによる外貨建て資産の為替評価差損益の差となっている。また、特別損失として、営業拠点を中心とした減損損失233百万円や固定資産除却損179百万円を計上している。
業績は減収減益となったものの、注文住宅の受注状況は第2四半期以降、前年同期比でプラスに転じるなど回復傾向が続いており、当面の業績は底を打ったと考えられる。事業別の動向は以下のとおり。
○住宅事業
住宅事業の売上高は前期比10.6%減の116,810百万円、営業利益は同0.3%減の736百万円となった。売上高は2ケタ減収となったものの販管費の抑制や原価低減に取り組んだことにより、利益面では微減益にとどまった。
主力の注文住宅の売上高は前期比11.4%減の114,484百万円、販売棟数は同11.7%減の6,433棟と2期連続で減少したが、受注棟数については同2.9%増の7,626棟と3期ぶりの増加に転じている。住宅金利の低下による消費マインドの回復に加えて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)※対応の新商品を2016年4月から、また、期間限定の低価格規格商品を2015年10月から販売開始したことなども受注回復の要因となった。
※室内外の環境品質を低下させることなく、高い断熱性能と高効率設備による可能な限りの省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入により、年間での一次エネルギー消費量が正味ゼロ、または概ねゼロとなる住宅を指す。
住宅事業の営業拠点については、新規に5ヶ所(うち移転による新設2ヶ所)の出店を行い、モデルハウス・ショールームのリニューアルを213ヶ所で行うなど販売網の整備を進めた。また、集客施策として春に特別イベント「トミカ・プラレールわくわくパーク」の開催を実施したほか、住宅購入検討者に向けた内覧企画として「オーナー宅マッチングサービス」を開始するなど新たな取り組みも実施し、受注の増加につなげた。
平均販売単価に関しては1,779万円と前期の1,774万円から若干上昇した。販売棟数のうち、低価格帯規格商品は218棟と全体の3%を占めた。同商品の平均販売単価は1,050万円程度となっており、年収が300万円台の顧客層でも購入できる商品プランとなっている。従来は年収で430万円以上が同社の対象顧客層であったため、新たな顧客層の開拓において一定の成果を得たと言える。同社では引き合いが好調なことから今後、ベーシックラインとして同商品をレギュラー商品化していくことを検討している。なお、売上粗利益率に関しては既存商品と同水準となっている。
また、2015年9月より営業活動を再開したリフォーム事業に関して、売上高が前期比141.4%増の1,376百万円と回復に転じている。受注ベースでは同485.0%増の1,796百万円となった。
○不動産事業
不動産事業の売上高は前期比6.4%増の13,762百万円、営業利益は同59.2%減の699百万円となった。売上高の内訳を見ると、戸建分譲は比較的規模の小さいミニ分譲地の販売が好調に推移し、同118.6%増の10,319百万円、販売棟数で同164.9%増の347棟と大幅増となった。一方、マンション事業は同56.1%減の1,334百万円、サブリース事業は同39.7%増の2,120百万円、その他事業は同99.6%減の15百万円となった。その他事業については前期に計上したマンション分譲用地の売却収入が無くなったことによるもので、利益面でも同売却益が無くなったことが減益要因となっている。
○金融事業
金融事業の売上高は前期比7.1%減の1,143百万円、営業利益は同15.8%減の532百万円となった。火災保険の付保率が上昇したものの、保険期間の短縮(2015年10月以降、10年超の長期契約保険の販売が停止)により手数料単価が下落したほか、住宅事業における販売棟数の減少が減収減益要因となった。ただ、ファイナンシャルプランナー一人当たりの生産性は向上している。
○エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前期比153.2%増の850百万円、営業利益は同690.5%増の326百万円となった。2015年2月から発電を開始しており、当期はフルで業績に寄与した格好となっている。
○飲食事業
2015年12月より「ザ・ポートマン・リッツ・カールトン上海」にてレストラン「アランウォンズ上海」を開業している。開業から6ヶ月間で売上高は38百万円となっている。出店費用や固定費、食材費など立上げ費用が発生し、営業損失は344百万円(前期は219百万円の損失)となった。
○その他事業
その他事業の売上高は前期比32.6%増の5,773百万円、営業損失は181百万円(前期は603百万円の損失)となった。住宅販売棟数の減少に伴い、住宅周辺事業が低調に推移したものの、グループ会社にて保有していた海外事業用地を売却したことにより増収となり、営業損失も縮小する格好となった。
なお、新規事業となるホテル事業では、2016年3月に国内第一号店となる「タマディアホテル羽田」を開業している。客室数160室(宿泊料7,500〜10,500円)でオープン当初は稼働率90%前後で推移していたが、6月は円高の影響もあって72%とやや低下している。稼働率80%で推移したとすると年間売上高で400〜500百万円が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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