MRT Research Memo(5):非常勤医師紹介サービスが主力、「ポケットドクター」等新たなサービスの提供を開始
[16/09/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業内容
同社グループは、MRT<6034>と連結子会社MRT NEO(株)、持分法適用会社の(株)エム・ビー・エスの3社からなる。医師と医療機関、医師と医局※と企業、医師とコンシューマをつなぐ3つの医療情報プラットフォームを運営し、医師を始めとする医療従事者向けに付加価値の高い情報サービスを提供する。中核の事業は、医療人材紹介事業。24時間365日対応の外勤診療紹介を目的とした医師と医療機関をマッチングする医療情報プラットフォーム(サービス名称:Gaikin)、常勤医師の転職紹介サービス(サービス名称:career)などの医師紹介と、コメディカルと言われる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士及び放射線技師向けのアルバイト紹介、転職紹介などのその他の2つに分かれる。2016年3月期の売上構成比は医師紹介93.8%、その他6.2%であった。
※大学の研究室ごと、もしくは大学病院の診療科ごとに主任教授を組織の頂点とした医師の人事、研究、教育等を担う非営利組織のこと。多くの医師はいずれかの医局に所属している。全国に81の医学部があり、医局は約2,000程度あると言われている。
同社の医師会員数は2016年3月末約18,000人となっており、前期末に比べ約2,000人増加した。設立経緯から、東大医学部卒の医師3人に1人が同社の会員。一方、医療機関数は前期末比で約1,000増加し約9,000となっている。
●医師と医療機関をつなぐ情報プラットフォーム
1. 医師紹介
a)非常勤医師紹介(外勤紹介)サービス
24時間365日対応の外勤診療紹介を目的とした医師と医療機関を自動的にマッチングするサービス。非常勤医師紹介サービスは、雇用形態別にレギュラーとスポットに分類※されるが、システムに医療現場の要望をできるだけ反映させることが可能であるため、スポットに関しては医師が勤務するまでのプロセスのほとんどをサイト内で完結できる仕組みとなっている。なお、同社では、医師に対して、勤務・キャンペーン・アンケートに応じてMRTポイント(一定ポイントをためると現金交換が可能)を付与し、医師へ還元している。
※レギュラーとスポットは同社が事業開始当初より使用している呼称。レギュラーとは、「毎週定期で勤務する勤務枠」を指し、週5日勤務ではないものの、正規雇用と同等の条件で期間の定めのない労働契約を締結している短時間正規雇用、もしくは契約期間2ヶ月以上の非常勤雇用の形態。スポットとは、「単発勤務の時間枠」を指し、レギュラーを除く非常勤雇用の形態。16/3期より請求体系の変更に伴い、一部のレギュラーに係る紹介件数を含んでいない。
具体的な非常勤医師紹介の流れは以下のとおり。
1)求人側の医療機関は、あらかじめ運営サイトに会員登録し、医師求人の募集要項(診療科、勤務時間、報酬など)を運営サイトに掲載する。
2)就業を希望する医師は、医療機関と同様に会員登録した上で、掲載されている募集要項を確認し、運営サイト経由で応募する。
3)医療機関は、運営サイト経由で医師からの応募内容を確認し、雇用を同意する場合に両者の労働契約が成立。なお、レギュラーの場合は、同社の専任スタッフが開始時期などを調整する。
4)同社は一定の紹介手数料を医療機関から受領する。
5)レギュラーの場合は、医師と医療機関との労働契約の維持を図るとともに、労働契約が終了した場合に他の医師を適時紹介できるように、同社の専任スタッフが医師及び医療機関に対して、適宜コミュニケーションを取る。
b)常勤医師紹介(医師転職紹介)サービス
常勤医師紹介の流れは、求人側の医療機関及び転職希望の医師が同社に会員登録等を行い、その後、同社の常勤医師紹介専任スタッフが直接面談を行い、会員医師の要望を把握した上で、医療機関と転職希望医師のマッチングを行う。医療機関と医師が合意した場合、労働契約が締結され、一定の紹介手数料を医療機関から受領する。
2. その他(コメディカル紹介等)
医師の紹介のほかに、その他売上として、コメディカルと言われる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、放射線技師についても医師紹介と同様の紹介サービスを提供している。また、医師外勤紹介と同様に、コメディカル紹介にもポイント制度が設けられている。
●医師と医局と企業、及び医師とコンシューマをつなぐ情報プラットフォーム
同社では、人材紹介サービスのほかに、医師と医療機関向けを中心に、企業やコンシューマ向けまでの幅広い様々なサービスを提供する。足元は医師会員の増加による医師ネットワークの構築・拡大を主目的としているため、主に無償で提供している。代表的なサービスに、「ネット医局」と「Good Doctors」がある。さらに、2016年3月期以降、サービスを開始あるいは開始する予定の新サービスとして、「ポケットドクター」、「歯科.com」、「指先採血検査」がある。
1. 「ネット医局」
医師の勤怠管理、代診を含む市中病院への医師紹介、医師の募集など多岐にわたる医局の管理業務(スケジュール管理、情報共有、アポイント管理)を支援するグループウェア。大学医局を中心とする医師ネットワークを構築・拡大する観点から無償で提供している。医局は「ネット医局」を導入することで、管理業務を大幅に効率化、省力化できるメリットがある。一方、同社にとっては、大学病院を中心にその関連の市中病院、開業医に至るまで医局単位で医師をカバーし、医師会員数の増加につながるメリットがある。
2016年3月末時点の導入医局数は150医局。東京の全大学病院(13大学)に導入されたほか、名古屋、大阪の大学に導入されるなど1年間で2.5倍に拡大した。2017年3月期は緊急安否サービスの質向上と市中病院など大学病院以外の医療機関を含めて1年間で新たに150医局への導入を目指している。
2. 「Good Doctors」
医師・医療関係者が執筆し医師とコンシューマをつなぐオウンドメディア※。健康に関わる生活情報から病院や病気に関わる専門的な情報等の最新記事を掲載することで、患者につなげるマーケティングのツールとして2015年4月にサービスを開始した。2017年3月期については企業タイアップ等により、マネタイズを実現する計画になっている。
※企業が消費者に向けて発信するメディア。
3. 「歯科.com」
医師とコンシューマをつなぐプラットフォームで、独自のコンテンツにより、全国の歯科クリニックの検索・問い合わせができるWebサイト。子会社のMRT NEO(株)が運営、3月にサービスを開始した。
サービスの特徴として、1)「エリア」、「時間」、「診療科目」以外に、キッズスペースや個室完備などのこだわり条件検索が可能、2)歯科医師などクリニックの雰囲気を写真でチェックできる、3)診療科目や診療方法、使用する素材などによりクリニックごとの価格比較を行える、などを挙げることができる。足元、検索できる歯科クリニック数は全国で6万件超、うち独自コンテンツやWebや電話による受付、問い合わせのシステムを利用できるクリニック数は7,000を数える。
4. 「ポケットドクター」
医師とコンシューマをつなぐプラットフォームで、国内初のスマートフォン・タブレットを用いた遠隔診療・健康相談サービス。同社が培ってきた医療情報及び医師、医療機関のネットワークとオプティムが持つリモートマネジメントテクノロジーを遠隔診療サービス向けに必要なあらゆる機能を取り込み再構築したテクノロジーを組み合わせることにより開発された。
サービスは内容により、今年4月からサービスの提供を開始した「かかりつけ医診療」のほか、同7月に提供開始した「予約相談」と「今すぐ相談」(今年度内にサービス開始予定)の3つからなる。賛同を得た全国の1,340医療機関から順次開始、当面の間、参画する医療機関に無料で提供する。
サービスの特長は、1)相談者がスマートデバイスのカメラで写している映像や画像、ウエラブル機器、ヘルスケア機器から取得されるバイタルデータを医師と共有することにより、医師は相談者の状態を詳細に把握できる、2)相談者が映像や画像の共有を行う際に、医師は赤ペン機能や、指さし機能を用いて、映してほしい箇所の指示や、症状の説明を的確に行える、3)医師は、診療の合間の空き時間を活用して、「予約相談」、「いますぐ相談」を受け付けることで、空き時間の有効活用が行える、4)相談者や医師及び医療機関は、手持ちのスマートフォンやタブレットに「ポケットドクター」のアプリをインストールすることで利用が可能(「ポケットドクター」アプリはiOS8.0以降のiPhoneやiPad、AndroidTM4.0以降のスマートデアバイスで動作)、など。
5. 「指先採血検査」関連
昨年8月に(株)エム・ビー・エスと資本・業務提携(同社出資額147 百万円、出資比率19.5%)。エム・ビー・エスが研究開発する「指先採血検査」を軸に両社の持つネットワークを相互有効活用した医療・ヘルスケアサービスを共同開発している。具体的には、今夏に指先採血検査のデバイスがエム・ビー・エスから発売される予定となっている。その後、血液検査サービスは「ポケットドクター」とのデータ連携を含めて年度内に開始する予定。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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同社グループは、MRT<6034>と連結子会社MRT NEO(株)、持分法適用会社の(株)エム・ビー・エスの3社からなる。医師と医療機関、医師と医局※と企業、医師とコンシューマをつなぐ3つの医療情報プラットフォームを運営し、医師を始めとする医療従事者向けに付加価値の高い情報サービスを提供する。中核の事業は、医療人材紹介事業。24時間365日対応の外勤診療紹介を目的とした医師と医療機関をマッチングする医療情報プラットフォーム(サービス名称:Gaikin)、常勤医師の転職紹介サービス(サービス名称:career)などの医師紹介と、コメディカルと言われる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士及び放射線技師向けのアルバイト紹介、転職紹介などのその他の2つに分かれる。2016年3月期の売上構成比は医師紹介93.8%、その他6.2%であった。
※大学の研究室ごと、もしくは大学病院の診療科ごとに主任教授を組織の頂点とした医師の人事、研究、教育等を担う非営利組織のこと。多くの医師はいずれかの医局に所属している。全国に81の医学部があり、医局は約2,000程度あると言われている。
同社の医師会員数は2016年3月末約18,000人となっており、前期末に比べ約2,000人増加した。設立経緯から、東大医学部卒の医師3人に1人が同社の会員。一方、医療機関数は前期末比で約1,000増加し約9,000となっている。
●医師と医療機関をつなぐ情報プラットフォーム
1. 医師紹介
a)非常勤医師紹介(外勤紹介)サービス
24時間365日対応の外勤診療紹介を目的とした医師と医療機関を自動的にマッチングするサービス。非常勤医師紹介サービスは、雇用形態別にレギュラーとスポットに分類※されるが、システムに医療現場の要望をできるだけ反映させることが可能であるため、スポットに関しては医師が勤務するまでのプロセスのほとんどをサイト内で完結できる仕組みとなっている。なお、同社では、医師に対して、勤務・キャンペーン・アンケートに応じてMRTポイント(一定ポイントをためると現金交換が可能)を付与し、医師へ還元している。
※レギュラーとスポットは同社が事業開始当初より使用している呼称。レギュラーとは、「毎週定期で勤務する勤務枠」を指し、週5日勤務ではないものの、正規雇用と同等の条件で期間の定めのない労働契約を締結している短時間正規雇用、もしくは契約期間2ヶ月以上の非常勤雇用の形態。スポットとは、「単発勤務の時間枠」を指し、レギュラーを除く非常勤雇用の形態。16/3期より請求体系の変更に伴い、一部のレギュラーに係る紹介件数を含んでいない。
具体的な非常勤医師紹介の流れは以下のとおり。
1)求人側の医療機関は、あらかじめ運営サイトに会員登録し、医師求人の募集要項(診療科、勤務時間、報酬など)を運営サイトに掲載する。
2)就業を希望する医師は、医療機関と同様に会員登録した上で、掲載されている募集要項を確認し、運営サイト経由で応募する。
3)医療機関は、運営サイト経由で医師からの応募内容を確認し、雇用を同意する場合に両者の労働契約が成立。なお、レギュラーの場合は、同社の専任スタッフが開始時期などを調整する。
4)同社は一定の紹介手数料を医療機関から受領する。
5)レギュラーの場合は、医師と医療機関との労働契約の維持を図るとともに、労働契約が終了した場合に他の医師を適時紹介できるように、同社の専任スタッフが医師及び医療機関に対して、適宜コミュニケーションを取る。
b)常勤医師紹介(医師転職紹介)サービス
常勤医師紹介の流れは、求人側の医療機関及び転職希望の医師が同社に会員登録等を行い、その後、同社の常勤医師紹介専任スタッフが直接面談を行い、会員医師の要望を把握した上で、医療機関と転職希望医師のマッチングを行う。医療機関と医師が合意した場合、労働契約が締結され、一定の紹介手数料を医療機関から受領する。
2. その他(コメディカル紹介等)
医師の紹介のほかに、その他売上として、コメディカルと言われる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、放射線技師についても医師紹介と同様の紹介サービスを提供している。また、医師外勤紹介と同様に、コメディカル紹介にもポイント制度が設けられている。
●医師と医局と企業、及び医師とコンシューマをつなぐ情報プラットフォーム
同社では、人材紹介サービスのほかに、医師と医療機関向けを中心に、企業やコンシューマ向けまでの幅広い様々なサービスを提供する。足元は医師会員の増加による医師ネットワークの構築・拡大を主目的としているため、主に無償で提供している。代表的なサービスに、「ネット医局」と「Good Doctors」がある。さらに、2016年3月期以降、サービスを開始あるいは開始する予定の新サービスとして、「ポケットドクター」、「歯科.com」、「指先採血検査」がある。
1. 「ネット医局」
医師の勤怠管理、代診を含む市中病院への医師紹介、医師の募集など多岐にわたる医局の管理業務(スケジュール管理、情報共有、アポイント管理)を支援するグループウェア。大学医局を中心とする医師ネットワークを構築・拡大する観点から無償で提供している。医局は「ネット医局」を導入することで、管理業務を大幅に効率化、省力化できるメリットがある。一方、同社にとっては、大学病院を中心にその関連の市中病院、開業医に至るまで医局単位で医師をカバーし、医師会員数の増加につながるメリットがある。
2016年3月末時点の導入医局数は150医局。東京の全大学病院(13大学)に導入されたほか、名古屋、大阪の大学に導入されるなど1年間で2.5倍に拡大した。2017年3月期は緊急安否サービスの質向上と市中病院など大学病院以外の医療機関を含めて1年間で新たに150医局への導入を目指している。
2. 「Good Doctors」
医師・医療関係者が執筆し医師とコンシューマをつなぐオウンドメディア※。健康に関わる生活情報から病院や病気に関わる専門的な情報等の最新記事を掲載することで、患者につなげるマーケティングのツールとして2015年4月にサービスを開始した。2017年3月期については企業タイアップ等により、マネタイズを実現する計画になっている。
※企業が消費者に向けて発信するメディア。
3. 「歯科.com」
医師とコンシューマをつなぐプラットフォームで、独自のコンテンツにより、全国の歯科クリニックの検索・問い合わせができるWebサイト。子会社のMRT NEO(株)が運営、3月にサービスを開始した。
サービスの特徴として、1)「エリア」、「時間」、「診療科目」以外に、キッズスペースや個室完備などのこだわり条件検索が可能、2)歯科医師などクリニックの雰囲気を写真でチェックできる、3)診療科目や診療方法、使用する素材などによりクリニックごとの価格比較を行える、などを挙げることができる。足元、検索できる歯科クリニック数は全国で6万件超、うち独自コンテンツやWebや電話による受付、問い合わせのシステムを利用できるクリニック数は7,000を数える。
4. 「ポケットドクター」
医師とコンシューマをつなぐプラットフォームで、国内初のスマートフォン・タブレットを用いた遠隔診療・健康相談サービス。同社が培ってきた医療情報及び医師、医療機関のネットワークとオプティムが持つリモートマネジメントテクノロジーを遠隔診療サービス向けに必要なあらゆる機能を取り込み再構築したテクノロジーを組み合わせることにより開発された。
サービスは内容により、今年4月からサービスの提供を開始した「かかりつけ医診療」のほか、同7月に提供開始した「予約相談」と「今すぐ相談」(今年度内にサービス開始予定)の3つからなる。賛同を得た全国の1,340医療機関から順次開始、当面の間、参画する医療機関に無料で提供する。
サービスの特長は、1)相談者がスマートデバイスのカメラで写している映像や画像、ウエラブル機器、ヘルスケア機器から取得されるバイタルデータを医師と共有することにより、医師は相談者の状態を詳細に把握できる、2)相談者が映像や画像の共有を行う際に、医師は赤ペン機能や、指さし機能を用いて、映してほしい箇所の指示や、症状の説明を的確に行える、3)医師は、診療の合間の空き時間を活用して、「予約相談」、「いますぐ相談」を受け付けることで、空き時間の有効活用が行える、4)相談者や医師及び医療機関は、手持ちのスマートフォンやタブレットに「ポケットドクター」のアプリをインストールすることで利用が可能(「ポケットドクター」アプリはiOS8.0以降のiPhoneやiPad、AndroidTM4.0以降のスマートデアバイスで動作)、など。
5. 「指先採血検査」関連
昨年8月に(株)エム・ビー・エスと資本・業務提携(同社出資額147 百万円、出資比率19.5%)。エム・ビー・エスが研究開発する「指先採血検査」を軸に両社の持つネットワークを相互有効活用した医療・ヘルスケアサービスを共同開発している。具体的には、今夏に指先採血検査のデバイスがエム・ビー・エスから発売される予定となっている。その後、血液検査サービスは「ポケットドクター」とのデータ連携を含めて年度内に開始する予定。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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