ケネディクス Research Memo(1):ファンドが不動産を保有するモデルで安定的な収益力と成長を追求
[16/09/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ケネディクス<4321>は、国内最大の独立系不動産アセットマネジメント会社である。1995年の設立以降、日本の不動産証券化ビジネスの勃興期から活躍するとともに、不動産アセットマネジメント会社の草分けとして業容を拡大してきた。J-REIT(リート)の6銘柄や私募REITのほか、多数の私募ファンドを運用しており、受託資産残高は1.6兆円を超える。国内外の機関投資家や年金基金、個人投資家など幅広い投資家層を顧客基盤に持つ。2008年のリーマン・ショックによる金融引締めや不動産市況の悪化の影響を受け、一時は資産圧縮と投資の凍結を余儀なくされたが、その後の好調な不動産マーケットを背景として同社の業績も好調に推移している。自ら不動産を保有せず、グループで組成・運用するファンドが保有することにより、安定的な収益力を追求する「ケネディクスモデル」の本格稼働により、同社は新たな成長ステージに入ってきた。直近では、太陽光発電所等を対象としたインフラファンドや生活密着型商業施設の開発ファンドを組成するなど、新規分野の拡大にも積極的に取り組んでいる。
2016年12月期第2四半期累計期間の業績は、営業収益が前年同期比2.8%減の12,911百万円、営業利益が同9.2%増の6,364百万円、経常利益が同37.2%増の7,233百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同10.6%減の7,090百万円となった。通期予想に対して、営業収益及び各利益がともに高い進捗率となっているが、足元の好調な不動産市況を踏まえて、物件売却を前倒しで進めていることが要因であり、概ね想定どおりのようである。一方、受託資産残高(トータルAUM)も1兆6,854億円(前期末比2.5%増)に増加したが、中長期的な成長イメージからはスローな伸びと言える。
2016 年12 月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置いており、営業収益を前期比13.1%減の22,600百万円、営業利益を同8.1%減の9,300百万円、経常利益を同10.7% 増の10,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同2.0%増の10,000百万円と見込んでいる。営業利益はこれまで拡大基調であったREIT 向けビジネスが巡航速度に落ち着くことから一旦減益となる想定であるが、総合的な収益力を示す純利益については、支払金利の削減や過去投資案件の処分損(特別損失)の解消により増益を確保する見通しであり、引き続き好調な決算が継続するものと捉えるのが妥当であろう。また、好調な不動産市況のもと、売却価格が想定を上回ることにより業績が上振れる可能性にも注意が必要である。
同社は、2017 年12 月期を最終年度とする中期経営計画を進めている。安定的な収益基盤であるノンアセット事業をコア領域として再定義するとともに、アセットマネジメント事業を中心とする安定収益の成長、共同投資を中心とする不動産投資事業の推進、財務の健全性と株主還元の最適なバランスの追求の3 項目を重点施策とし、最終年度のベース利益※4,000百万円、3年平均ROE8.0%を目標に掲げている。
※アセットマネジメント事業及び不動産関連事業の営業総利益を足し合わせたものから、販売費及び一般管理費を控除したものである。同社の安定した収益力を示す指標となっている。
弊社では、中長期的な視点から、ヘルスケアやインフラ等、市場拡大の期待できる新規分野への取り組みや不動産関連サービスの拡大、海外展開など、持続的な成長に向けた動きに注目している。足元では物件取得が難しい状況(競争の激化、価格の上昇等)が続いており、同社の成長をけん引する受託資産残高の伸びやパフォーマンスへの影響を懸念する見方もあるが、将来を見据えた新規分野への取り組みが着々と進展していることから、同社の中期的な成長性に変調をきたすものではないとみている。また、引き続き、潤沢なキャッシュポジションの使い道(資金アロケーション)についてもフォローしていきたい。
■Check Point
・第2四半期業績は通期予想に対して高い進捗率で推移
・通期は期初予想を据え置く
・最終年度2017年12月期にベース利益40億円、3年平均ROE8%を目指す中期経営計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>
2016年12月期第2四半期累計期間の業績は、営業収益が前年同期比2.8%減の12,911百万円、営業利益が同9.2%増の6,364百万円、経常利益が同37.2%増の7,233百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同10.6%減の7,090百万円となった。通期予想に対して、営業収益及び各利益がともに高い進捗率となっているが、足元の好調な不動産市況を踏まえて、物件売却を前倒しで進めていることが要因であり、概ね想定どおりのようである。一方、受託資産残高(トータルAUM)も1兆6,854億円(前期末比2.5%増)に増加したが、中長期的な成長イメージからはスローな伸びと言える。
2016 年12 月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置いており、営業収益を前期比13.1%減の22,600百万円、営業利益を同8.1%減の9,300百万円、経常利益を同10.7% 増の10,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同2.0%増の10,000百万円と見込んでいる。営業利益はこれまで拡大基調であったREIT 向けビジネスが巡航速度に落ち着くことから一旦減益となる想定であるが、総合的な収益力を示す純利益については、支払金利の削減や過去投資案件の処分損(特別損失)の解消により増益を確保する見通しであり、引き続き好調な決算が継続するものと捉えるのが妥当であろう。また、好調な不動産市況のもと、売却価格が想定を上回ることにより業績が上振れる可能性にも注意が必要である。
同社は、2017 年12 月期を最終年度とする中期経営計画を進めている。安定的な収益基盤であるノンアセット事業をコア領域として再定義するとともに、アセットマネジメント事業を中心とする安定収益の成長、共同投資を中心とする不動産投資事業の推進、財務の健全性と株主還元の最適なバランスの追求の3 項目を重点施策とし、最終年度のベース利益※4,000百万円、3年平均ROE8.0%を目標に掲げている。
※アセットマネジメント事業及び不動産関連事業の営業総利益を足し合わせたものから、販売費及び一般管理費を控除したものである。同社の安定した収益力を示す指標となっている。
弊社では、中長期的な視点から、ヘルスケアやインフラ等、市場拡大の期待できる新規分野への取り組みや不動産関連サービスの拡大、海外展開など、持続的な成長に向けた動きに注目している。足元では物件取得が難しい状況(競争の激化、価格の上昇等)が続いており、同社の成長をけん引する受託資産残高の伸びやパフォーマンスへの影響を懸念する見方もあるが、将来を見据えた新規分野への取り組みが着々と進展していることから、同社の中期的な成長性に変調をきたすものではないとみている。また、引き続き、潤沢なキャッシュポジションの使い道(資金アロケーション)についてもフォローしていきたい。
■Check Point
・第2四半期業績は通期予想に対して高い進捗率で推移
・通期は期初予想を据え置く
・最終年度2017年12月期にベース利益40億円、3年平均ROE8%を目指す中期経営計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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