ケネディクス Research Memo(12):ホテル開発ファンドや民泊拡大に向けた先行投資などを推進
[16/09/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略とその進捗
(2)新規分野の拡大に向けた進捗
a)ホテル開発ファンド
需要が拡大しているホテルの開発案件については、六本木ホテル案件(Re-Seed機構との開発ファンドを組成)が2017年3月に竣工する予定であるほか、ケネディクス<4321>単独の案件として、銀座及び新浦安でのプロジェクトが進行中である。また、インバウンド需要に対応するため、オペレーターを設定した宿泊特化型ホテルを対象としたファンド組成により、札幌や沖縄、名古屋等でパイプラインを進めている。
b)「民泊」拡大を見据えた先行投資
民泊需要の拡大による投資機会を見据え、スペースデザインと共同で賃貸住宅(東京都中央区)への投資を行った(2016年8月)。スペースデザインによるサービスアパートメント業務拡大に向け、「民泊」新法との親和性による収益機会の追求に取り組んでいる。また、将来的には系列REITとの協業可能性も検討しているようだ。
c)商業施設開発ファンドの組成
伊藤忠商事との業務提携により、消費者ニーズの高い生活密着型商業施設の開発などを目的としたファンドを組成した(2016年8月)。また、同社単独またはその他投資家との共同投資も別途促進しており、ケネディクス商業リート投資法人への物件供給パイプラインの強化を図っている。
d)インフラファンドの設立
自然電力(株)との共同により、再生可能エネルギー発電所へ投資するファンド(ケネディクス自然電力ファンド)を設立について合意した(2016年3月)。太陽光発電所を主な投資対象とし、ファンド規模は400億円を予定している。中期的には受託資産残高1,000億円程度を目指す。
e)アジアビジネスの展開
Kenedix Asia Pte.Ltd.の第1号投資案件として、ベトナムの首都ハノイに所在するオフィスとサービスアパートメントから成る9階建ての複合ビルに投資を行った(2015年12月)。ASEAN地域におけるREITを展望した戦略的な投資と位置付けている。
f)米国西海岸の賃貸住宅(Multifamily)への投資
将来的なファンド組成を念頭に置き、米国西海岸(シアトル近郊)に所在する安定稼働の賃貸住宅(Multifamily)への投資を行った。中期的には受託資産残高を1,000億円程度に拡大する方針である。
g)ブリッジファンド(ヘルスケア施設)
系列REITであるジャパン・シニアリビング投資法人及びその他投資家との共同出資により介護老人施設5物件を取得した(2016年3月)。今後も安定的な成長が見込まれるREITへのブリッジファンド組成を継続する方針である。
h)三菱UFJリースと共同AM会社
三菱UFJリース<8593>とMUL不動産投資顧問(株)(同社出資比率33.4%)を設立した(2016年4月)。不動産再生投資に関するアセットマネジメント事業を展開することにより、AMプラットフォームの拡大とバリューアップ投資の強化につなげる狙いがある。
弊社では、今期(2016年12月期)の業績(営業利益及びベース利益)が一旦縮小する見通しとなっているものの、当初計画の想定内であることや、バランスシートの再構築が完了したことで「ケネディクスモデル」による本来の業績の伸びが期待できることから、中期経営計画の達成は可能であると判断している。また、中長期的な視点からは、ヘルスケア分野やインフラ分野等、市場拡大の期待できる対象資産への取り組みや不動産関連サービスの拡大、海外展開など、今後の成長に向けた動きに注目している。特に、他社との協業による開発案件の取り組みについては、一時的な資金効率の低下を招くものの、魅力的な投資機会を自ら創出するうえでは合理的な戦略と考えられる。足元では物件取得が難しい状況(取得競争の激化、価格の上昇等)が続いており、同社の成長をけん引する受託資産残高の伸びやパフォーマンスへの影響を懸念する見方もあるが、将来を見据えた新規分野への取り組みが着々と進展していることから、同社の中期的な成長性に変調をきたすものではないとみている。また、引き続き、潤沢なキャッシュポジションの使い道(資金アロケーション)についてもフォローしていきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>
(2)新規分野の拡大に向けた進捗
a)ホテル開発ファンド
需要が拡大しているホテルの開発案件については、六本木ホテル案件(Re-Seed機構との開発ファンドを組成)が2017年3月に竣工する予定であるほか、ケネディクス<4321>単独の案件として、銀座及び新浦安でのプロジェクトが進行中である。また、インバウンド需要に対応するため、オペレーターを設定した宿泊特化型ホテルを対象としたファンド組成により、札幌や沖縄、名古屋等でパイプラインを進めている。
b)「民泊」拡大を見据えた先行投資
民泊需要の拡大による投資機会を見据え、スペースデザインと共同で賃貸住宅(東京都中央区)への投資を行った(2016年8月)。スペースデザインによるサービスアパートメント業務拡大に向け、「民泊」新法との親和性による収益機会の追求に取り組んでいる。また、将来的には系列REITとの協業可能性も検討しているようだ。
c)商業施設開発ファンドの組成
伊藤忠商事との業務提携により、消費者ニーズの高い生活密着型商業施設の開発などを目的としたファンドを組成した(2016年8月)。また、同社単独またはその他投資家との共同投資も別途促進しており、ケネディクス商業リート投資法人への物件供給パイプラインの強化を図っている。
d)インフラファンドの設立
自然電力(株)との共同により、再生可能エネルギー発電所へ投資するファンド(ケネディクス自然電力ファンド)を設立について合意した(2016年3月)。太陽光発電所を主な投資対象とし、ファンド規模は400億円を予定している。中期的には受託資産残高1,000億円程度を目指す。
e)アジアビジネスの展開
Kenedix Asia Pte.Ltd.の第1号投資案件として、ベトナムの首都ハノイに所在するオフィスとサービスアパートメントから成る9階建ての複合ビルに投資を行った(2015年12月)。ASEAN地域におけるREITを展望した戦略的な投資と位置付けている。
f)米国西海岸の賃貸住宅(Multifamily)への投資
将来的なファンド組成を念頭に置き、米国西海岸(シアトル近郊)に所在する安定稼働の賃貸住宅(Multifamily)への投資を行った。中期的には受託資産残高を1,000億円程度に拡大する方針である。
g)ブリッジファンド(ヘルスケア施設)
系列REITであるジャパン・シニアリビング投資法人及びその他投資家との共同出資により介護老人施設5物件を取得した(2016年3月)。今後も安定的な成長が見込まれるREITへのブリッジファンド組成を継続する方針である。
h)三菱UFJリースと共同AM会社
三菱UFJリース<8593>とMUL不動産投資顧問(株)(同社出資比率33.4%)を設立した(2016年4月)。不動産再生投資に関するアセットマネジメント事業を展開することにより、AMプラットフォームの拡大とバリューアップ投資の強化につなげる狙いがある。
弊社では、今期(2016年12月期)の業績(営業利益及びベース利益)が一旦縮小する見通しとなっているものの、当初計画の想定内であることや、バランスシートの再構築が完了したことで「ケネディクスモデル」による本来の業績の伸びが期待できることから、中期経営計画の達成は可能であると判断している。また、中長期的な視点からは、ヘルスケア分野やインフラ分野等、市場拡大の期待できる対象資産への取り組みや不動産関連サービスの拡大、海外展開など、今後の成長に向けた動きに注目している。特に、他社との協業による開発案件の取り組みについては、一時的な資金効率の低下を招くものの、魅力的な投資機会を自ら創出するうえでは合理的な戦略と考えられる。足元では物件取得が難しい状況(取得競争の激化、価格の上昇等)が続いており、同社の成長をけん引する受託資産残高の伸びやパフォーマンスへの影響を懸念する見方もあるが、将来を見据えた新規分野への取り組みが着々と進展していることから、同社の中期的な成長性に変調をきたすものではないとみている。また、引き続き、潤沢なキャッシュポジションの使い道(資金アロケーション)についてもフォローしていきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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