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DVx Research Memo(4):不整脈事業の新規開拓と、虚血事業の血管形成システムの販売が好調要因

注目トピックス 日本株
■ディーブイエックス<3079>の決算動向

(2)事業別動向

a)「不整脈事業」
「不整脈事業」の売上高は前年同期比17.4%増の14,317百万円、セグメント利益(売上総利益)は同5.5%増の1,797百万円となった。高齢者人口の増加とともに、不整脈の患者数や手術件数が増加傾向にあり、主力商品の販売数量が増加基調にあることに加えて、前期から営業強化を進めている大阪地区を中心とした西日本エリアで新規顧客の開拓が順調に進んだことが増収に寄与した。エリア別で見ると、西日本エリアの売上高が前年同期比1.5倍増、東日本エリアは同1割強の増収となった。

商品別売上高では電極カテーテル(EP検査用)が前年同期比21.5%増、冷凍アブレーションカテーテル※1が同68.1%増、心腔内エコーカテーテル※2が同37.4%増とそれぞれ好調に推移した。また、心臓ペースメーカやICD、CRT-D等の埋め込みデバイスも堅調に推移した。

※1冷凍アブレーションカテーテル(メドトロニック製)・・・発作性心房細動治療で用いられるアブレーションカテーテルで2014年7月に保険適用となった。バルーンカテーテルによる一括冷却焼灼を行うため、従来の高周波アブレーションと比べて手術時間が3分の2と短時間で済み、より確実な心房細動治療が可能となる。
※2心腔内エコーカテーテル(J&J製)・・・不整脈の検査システムとして2010年に薬事承認が得られたJ&J製の3Dマッピングシステムで用いられる専用カテーテル。2011年に薬事承認が得られ、2014年3月期より普及拡大し始めた。

なお、利益率が前年同期の14.0%から12.6%に低下したが、これは保険償還価格引き下げの影響に加えて、新規顧客数の売上が大きく伸びたことが要因となっている。新規顧客に関して取引開始当初は販売アイテム数が少ないため、利益率は全社平均よりも低い水準からスタートし、取引が深耕し販売アイテム数や数量の拡大とともに利益率も上昇することになる。

b)「虚血事業」
「虚血事業」の売上高は前年同期比6.5%増の2,371百万円、セグメント利益は同18.2%増の740百万円となった。主力商品の売上動向を見ると、自動造影剤注入装置(ACIST)関連は横ばい水準にとどまったものの、エキシマレーザ血管形成システム関連のうち消耗品となるコロナリー(冠動脈治療用※)カテーテルが前年同期の2億円から3億円弱と順調に拡大した。5月末より販売を開始した0.9mm径サイズの高出力品(X-80)の需要が旺盛だった。高出力品では、血管の内壁に付着した石灰化したごみを綺麗に除去することが可能となるため、手術後の再発率低減にも効果があるということで、引き合いが急増している。また、新たな適用領域として進めていた下肢末梢動脈治療用の治験が終了し、現在は薬事承認申請に向けた協議を行っている段階にある。

※冠動脈形成術・・・心臓に血液を運ぶ冠動脈が動脈硬化や血栓によって狭窄または塞栓した場合に、同部位にエキシマレーザを照射することで、プラークや血栓を分子レベルで分解し冠動脈の血流を改善する術式。

エキシマレーザ血管形成システムの導入台数については9月末で108台と前期末比5台増と着実に増加している。内訳は累計販売台数で71台、レンタル台数で37台となっている。同社は導入を促進するため、レンタルでの活用を最初に提案し、レンタル時期が終了した段階で、買取りへの切り替えを進めていく営業戦略を取っている。下肢末梢動脈治療用として薬事承認されれば、手術件数の増加が見込めるため、導入台数も一段と増えることが見込まれる。

なお、利益率が前年同期の28.1%から31.2%に上昇したが、これは円高の進展による仕入れコストの低減が主因となっている。

c)「その他事業」
「その他事業」の売上高は前年同期比33.3%増の443百万円、セグメント利益は同22.6%増の53百万円と回復に転じた。脳外科関連商品の販売が同4〜5割増と好調に推移したことが要因となっている。

(3)財務状況と経営指標

2017年3月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比669百万円増加の15,695百万円となった。流動資産では、収益の拡大に伴って現預金が同360百万円、売上債権が同134百万円、在庫が同103百万円それぞれ増加した。また、固定資産では、減価償却により有形固定資産が同21百万円減少した一方で、差入保証金が同38百万円増加した。

負債合計は前期末比483百万円増加の9,199百万円となった。仕入高の増加により買掛金が同489百万円増加したことが主因となっている。また、純資産は同192百万円増加の6,194百万円となった。四半期純利益の計上と配当金支払いを相殺し、利益剰余金が同200百万円増加した。

経営指標で見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の39.9%から39.5%と若干低下した。ただ、有利子負債比率は1.2%と実質無借金であり、ネットキャッシュ(現預金マイナス有利子負債)も4,966百万円と潤沢にあることから、財務体質は健全な状況にあると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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