DVx Research Memo(5):売上高、営業利益、経常利益とも過去最高を更新見込み
[16/12/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
(1) 2017年3月期業績見通し
ディーブイエックス<3079>の2017年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の33,200百万円、営業利益が同3.0%増の1,536百万円、経常利益が同5.2%増の1,536百万円、当期純利益が同20.3%減の1,028百万円と会社計画を据え置いている。当期純利益については前期に投資有価証券売却益を計上した反動で減益となるが、売上高、営業利益、経常利益は連続で過去最高を更新する見通しだ。
第2四半期までの通期計画に対する進捗率を見ると、売上高が51.6%、営業利益が46.0%となっている。直近3ヶ年の平均で見ると、売上高が48.2%、営業利益が47.0%と下期にやや偏重した収益パターンとなっていること、第2四半期まで売上高、利益ともに期初計画を上回って推移していることから、今後市場環境に大きな変化がなければ計画の達成は十分可能と見られる。
下期の想定為替レートは114円/ドルとなっており、同水準よりも円高で推移すれば利益の上乗せ要因となる。また、「虚血事業」では自動造影剤注入装置について、仕入先であるACIST Medical Systems, Inc.との国内独占販売契約が2016年12月末をもって終了となるが、2017年1月以降の移管業務に関する契約が締結され、2017年1月1日から2017年5月31日までの期間は、従前の取引条件に変更のない独占販売店契約に基づく販売が行われるため、通期業績に与える影響はほとんどないと見られる。
(2)事業セグメント別見通し
a)「不整脈事業」
「不整脈事業」の売上高は前期比5.7%増の27,137百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は52.8%と計画を上回るペースとなっており、下期についても西日本エリアで開拓した新規顧客向けを中心に売上高は順調に拡大することから、計画を上回る可能性は高い。今期は北海道で初めてアカウントを開設したほか、営業マンを新たに配置した名古屋エリアでも2018年3月期から売上貢献が始まる見込みとなっている。
商品別では、不整脈患者や手術件数の増加を背景に、電極用カテーテル(EP検査用)や心腔内エコーカテーテル等の検査用カテーテルのほか、手術時に用いられる冷凍アブレーションカテーテルや電極カテーテル(アブレーション用)の高成長が見込まれる。
心房細動の患者数は国内で100万人とも170万人とも言われているが、このうち手術治療を行う件数は4万件程度と全体の5%に満たない状況となっている。患者の多くが薬での治療を選択するためだが、手術可能な医療施設や医師が少ないこと、あるいは手術時間が長いことも一因となっている。ただ、冷凍アブレーションカテーテルなどデバイス技術の進化によって手術時間も短くなるなど、従来よりも手術を受けやすい環境になってきており、今後も高齢者人口の増加や手術件数の増加に伴って、関連商品の販売数量は拡大基調が続くものと予想される。
b)「虚血事業」
「虚血事業」の売上高は前期比7.4%増の5,233百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は45.3%とやや低いペースとなっているが、エキシマレーザ血管形成システムの更なる普及拡大を図ることで、売上高を伸ばしていく方針だ。
新たな適応疾患として薬事承認を目指している下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルについては、治験を終了して現在は承認申請に向けた協議を進めている段階にある。同用途での承認が得られれば、関連商品の売上高は一段と拡大するものと予想される。国内で冠動脈血管形成術は年間25万症例だが、下肢末梢動脈治療術も16万症例と規模が大きいためだ。下肢末梢動脈治療用として薬事承認が得られれば、医療施設でも高価なエキシマレーザ装置を購入しやすくなるほか、手術件数の増加に伴いコロナリーカテーテルの販売増が見込まれる。前期のコロナリーカテーテルの売上高は約4億円だが、今後数年間で売上規模が数倍に成長する可能性がある。同社では2018年3月期中の薬事承認取得と販売開始を目指している。
なお、2016年末で独占販売契約が終了する自動造影剤注入装置及び関連商品については、2018年3月期以降の減収要因となる。2016年3月期の売上実績としては1,831百万円だったため影響額としては大きいが、2018年3月期においても引き継ぎ期間が残る見通しで、数ヶ月分は売上高が継続する可能性がある。全体の業績面では自動造影剤注入装置及び関連商品の減少分を「不整脈事業」やエキシマレーザ関連商品、その他新商品の販売拡大でカバーして、増収増益を目指していく方針となっている。
c)「その他事業」
「その他事業」は前期比0.3%減の829百万円とほぼ横ばい水準で見込んでいる。大半は脳外科装置関連の商品となるが、その他、診療科にこだわらずニーズのある商品の仕入販売を進め、売上高の上積みを目指している。
なお、2018年3月期以降の売上げ貢献が期待される新商品として、大型複合モニタをメーカーと共同開発した。複合モニタとは手術室や手術前室などに設置され、手術箇所の映像のほか手術に必要となる各種データを表示する映像表示装置のこと。50〜60インチの大型液晶ディスプレイで4Kの高解像度を実現している。モニタは2〜4台まで接続可能なシステムとなっており、システム価格は1,000万円を超える。2016年中に販売は開始するが、高価なため、実際に売上げに貢献するのは2018年3月期からとなる見通しだ。
(3)中期戦略
同社は中期戦略として、「販売代理店業」(「不整脈事業」、「その他事業」)と「輸入総代理店業」(「虚血事業」)に分け、それぞれの事業ポートフォリオの強化に取り組むことで、業績の拡大を図っていく方針だ。
a)「販売代理店業」
「販売代理店業」に関しては、営業エリアの全国展開と取り扱い領域の拡大に注力していく。営業エリアについては、西日本エリアで順調に顧客開拓が進んでいるが、2018年3月期以降は名古屋や北海道エリアでの顧客開拓も進めていく計画となっている。首都圏での「不整脈事業」の市場シェアは約40%と高いが、全国平均で見るとまだ21%の水準であり、依然市場シェアの拡大余地は大きいと言える。
同社の強みは、製品に関する技術サポートスキルの高い営業人員が多く集まっていることにある。社内教育を重視しており、ペースメーカを中心とした埋め込みデバイスの認定資格CDRの取得者数は業界トップとなっている。特に、地方においては同社を上回る質の高い営業サポート力を持つ競合がないことから、今後も顧客(医師、仕入メーカー等)ありきではあるものの、シェアの拡大が進む公算が大きいと言える。2018年度からCDRの資格保有者でないと医療現場のカテ室に入っての営業活動ができなくなることも、シェア拡大の好機になると弊社では見ている。
b)「輸入総代理店業」
「輸入総代理店業」に関しては、商品パイプラインの拡充を進めるため、新商品の発掘を今まで以上に積極的に行っていくとしており、国内外の学会などへ参加し、最新の医療技術などを吸収しながら、有望な商品・新技術の掘り起こしを進めていく。対象となるのは、国内で市場性が見込まれ、競合製品がまだないもの、あるいは商品化すれば高シェアが期待できるもので診療科目は問わない。また、有望な新技術を開発するスタートアップ企業への出資なども行っていく予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) 2017年3月期業績見通し
ディーブイエックス<3079>の2017年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の33,200百万円、営業利益が同3.0%増の1,536百万円、経常利益が同5.2%増の1,536百万円、当期純利益が同20.3%減の1,028百万円と会社計画を据え置いている。当期純利益については前期に投資有価証券売却益を計上した反動で減益となるが、売上高、営業利益、経常利益は連続で過去最高を更新する見通しだ。
第2四半期までの通期計画に対する進捗率を見ると、売上高が51.6%、営業利益が46.0%となっている。直近3ヶ年の平均で見ると、売上高が48.2%、営業利益が47.0%と下期にやや偏重した収益パターンとなっていること、第2四半期まで売上高、利益ともに期初計画を上回って推移していることから、今後市場環境に大きな変化がなければ計画の達成は十分可能と見られる。
下期の想定為替レートは114円/ドルとなっており、同水準よりも円高で推移すれば利益の上乗せ要因となる。また、「虚血事業」では自動造影剤注入装置について、仕入先であるACIST Medical Systems, Inc.との国内独占販売契約が2016年12月末をもって終了となるが、2017年1月以降の移管業務に関する契約が締結され、2017年1月1日から2017年5月31日までの期間は、従前の取引条件に変更のない独占販売店契約に基づく販売が行われるため、通期業績に与える影響はほとんどないと見られる。
(2)事業セグメント別見通し
a)「不整脈事業」
「不整脈事業」の売上高は前期比5.7%増の27,137百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は52.8%と計画を上回るペースとなっており、下期についても西日本エリアで開拓した新規顧客向けを中心に売上高は順調に拡大することから、計画を上回る可能性は高い。今期は北海道で初めてアカウントを開設したほか、営業マンを新たに配置した名古屋エリアでも2018年3月期から売上貢献が始まる見込みとなっている。
商品別では、不整脈患者や手術件数の増加を背景に、電極用カテーテル(EP検査用)や心腔内エコーカテーテル等の検査用カテーテルのほか、手術時に用いられる冷凍アブレーションカテーテルや電極カテーテル(アブレーション用)の高成長が見込まれる。
心房細動の患者数は国内で100万人とも170万人とも言われているが、このうち手術治療を行う件数は4万件程度と全体の5%に満たない状況となっている。患者の多くが薬での治療を選択するためだが、手術可能な医療施設や医師が少ないこと、あるいは手術時間が長いことも一因となっている。ただ、冷凍アブレーションカテーテルなどデバイス技術の進化によって手術時間も短くなるなど、従来よりも手術を受けやすい環境になってきており、今後も高齢者人口の増加や手術件数の増加に伴って、関連商品の販売数量は拡大基調が続くものと予想される。
b)「虚血事業」
「虚血事業」の売上高は前期比7.4%増の5,233百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は45.3%とやや低いペースとなっているが、エキシマレーザ血管形成システムの更なる普及拡大を図ることで、売上高を伸ばしていく方針だ。
新たな適応疾患として薬事承認を目指している下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルについては、治験を終了して現在は承認申請に向けた協議を進めている段階にある。同用途での承認が得られれば、関連商品の売上高は一段と拡大するものと予想される。国内で冠動脈血管形成術は年間25万症例だが、下肢末梢動脈治療術も16万症例と規模が大きいためだ。下肢末梢動脈治療用として薬事承認が得られれば、医療施設でも高価なエキシマレーザ装置を購入しやすくなるほか、手術件数の増加に伴いコロナリーカテーテルの販売増が見込まれる。前期のコロナリーカテーテルの売上高は約4億円だが、今後数年間で売上規模が数倍に成長する可能性がある。同社では2018年3月期中の薬事承認取得と販売開始を目指している。
なお、2016年末で独占販売契約が終了する自動造影剤注入装置及び関連商品については、2018年3月期以降の減収要因となる。2016年3月期の売上実績としては1,831百万円だったため影響額としては大きいが、2018年3月期においても引き継ぎ期間が残る見通しで、数ヶ月分は売上高が継続する可能性がある。全体の業績面では自動造影剤注入装置及び関連商品の減少分を「不整脈事業」やエキシマレーザ関連商品、その他新商品の販売拡大でカバーして、増収増益を目指していく方針となっている。
c)「その他事業」
「その他事業」は前期比0.3%減の829百万円とほぼ横ばい水準で見込んでいる。大半は脳外科装置関連の商品となるが、その他、診療科にこだわらずニーズのある商品の仕入販売を進め、売上高の上積みを目指している。
なお、2018年3月期以降の売上げ貢献が期待される新商品として、大型複合モニタをメーカーと共同開発した。複合モニタとは手術室や手術前室などに設置され、手術箇所の映像のほか手術に必要となる各種データを表示する映像表示装置のこと。50〜60インチの大型液晶ディスプレイで4Kの高解像度を実現している。モニタは2〜4台まで接続可能なシステムとなっており、システム価格は1,000万円を超える。2016年中に販売は開始するが、高価なため、実際に売上げに貢献するのは2018年3月期からとなる見通しだ。
(3)中期戦略
同社は中期戦略として、「販売代理店業」(「不整脈事業」、「その他事業」)と「輸入総代理店業」(「虚血事業」)に分け、それぞれの事業ポートフォリオの強化に取り組むことで、業績の拡大を図っていく方針だ。
a)「販売代理店業」
「販売代理店業」に関しては、営業エリアの全国展開と取り扱い領域の拡大に注力していく。営業エリアについては、西日本エリアで順調に顧客開拓が進んでいるが、2018年3月期以降は名古屋や北海道エリアでの顧客開拓も進めていく計画となっている。首都圏での「不整脈事業」の市場シェアは約40%と高いが、全国平均で見るとまだ21%の水準であり、依然市場シェアの拡大余地は大きいと言える。
同社の強みは、製品に関する技術サポートスキルの高い営業人員が多く集まっていることにある。社内教育を重視しており、ペースメーカを中心とした埋め込みデバイスの認定資格CDRの取得者数は業界トップとなっている。特に、地方においては同社を上回る質の高い営業サポート力を持つ競合がないことから、今後も顧客(医師、仕入メーカー等)ありきではあるものの、シェアの拡大が進む公算が大きいと言える。2018年度からCDRの資格保有者でないと医療現場のカテ室に入っての営業活動ができなくなることも、シェア拡大の好機になると弊社では見ている。
b)「輸入総代理店業」
「輸入総代理店業」に関しては、商品パイプラインの拡充を進めるため、新商品の発掘を今まで以上に積極的に行っていくとしており、国内外の学会などへ参加し、最新の医療技術などを吸収しながら、有望な商品・新技術の掘り起こしを進めていく。対象となるのは、国内で市場性が見込まれ、競合製品がまだないもの、あるいは商品化すれば高シェアが期待できるもので診療科目は問わない。また、有望な新技術を開発するスタートアップ企業への出資なども行っていく予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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