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ヘリオステクノ Research Memo(3):MLSは豊富な受注残を抱えて納品も順調に進捗

注目トピックス 日本株
■事業部門別動向

(1)ランプ事業

a)事業の概要と業績動向
ランプ事業は事業会社のフェニックス電機とその子会社の(株)ルクスが担当している。事業部門は製品や用途で、プロジェクター用ランプ、ハロゲンランプ、商品、LEDランプ、露光源用ランプの5つのサブセグメントに分かれている。

プロジェクター用ランプは背面反射型プロジェクターの光源で、現在は代替需要が市場として残っている状況だ。売上高の構成比も徐々に低下してきている。

ハロゲンランプ、商品、LEDランプはいずれも店舗などの照明用途が中心だ。流れとしては省エネ・長寿命のLEDへのシフトが進んでおり、ヘリオス テクノ ホールディング<6927>もLEDランプが伸長する一方、ハロゲンは縮小方向という状況にある。LEDランプについては、LEDチップを外部から購入し、自社で照明製品を製造している。

露光装置用光源は、液晶パネルの重要構成部品であるカラーフィルターの製造において、リソグラフィプロセスで使用される露光装置の光源ユニットだ。露光装置の全体は専門メーカーが製造しており、同社は専門メーカーに対して光源ユニット(MLS = Multi Lamp System)として納入している。現状は、国内トップの装置メーカーに対して専属で納入している。MLSはランプとランプを支える筐体から成るが、ランプはランプ事業に、筐体は製造装置事業にそれぞれ収益計上される。売上高の構成比は筐体のほうが大きいが、利益率はランプ部分のほうが高いとみられる。

2017年3月期第2四半期は、前述のように、売上高1,571百万円(前年同期比10.6%減)、営業利益20百万円(同60.6%減)となった。半期ベースでは下期に収益が拡大する季節性が認められる。今第2四半期は照明用LEDランプの受注が下期に集中すると見込まれることで季節性がより強調される形となった。MLSは豊富な受注残を抱えて納品も順調に進捗しているが、やはり下期偏重となる見通しとなっている。

b)トピックスと今後の成長戦略
ランプ事業における成長戦略や収益貢献については、2つの注目ポイントがあると考えている。1つはMLSであり、もう1つは紫外線ランプだ。

1) MLSの戦略
前述のように同社のMLSは国内のトップ露光装置メーカーに納入されており、露光装置メーカーの受注状況が直接同社のMLS事業の収益に影響を及ぼす状況となっている。同社の直接の顧客である露光装置メーカーから発信されている情報などを積み上げると、2018年3月期までは、確定(もしくはそれに近い)受注分で仕事量が確保できている模様だ。また、中国を中心とした液晶パネルメーカー各社の設備投資計画から判断して、2019年3月期の出荷分までは市場が高原状態で推移すると同社ではみている。

しかし、その先の2020年3月期以降については、設備投資計画が急激に縮小する可能性があり、同社もそれを織り込んだ事業計画を検討しているもようだ。すなわち、MLS事業の焦点は当面の受注獲得よりも、ピークアウト後のビジネスモデルの構築にあると言える。

この点について同社は、いまだ詳細は検討中であるものの方向性としてはこれまでに蓄積された既納入設備に対する保守・メンテナンスと、光源のタイプを現在の水銀灯からLEDへとリプレースすることなどを将来のビジネスチャンスととらえているもようだ。

2)紫外線ランプ
同社は一般的な照明用とは別に、成長分野として紫外線(UV)ランプの分野に研究・開発のリソースを集中する方針を明らかにしている。UVランプは現在でも露光装置用光源向けに製造しており、同社が得意とする領域でもある。同社は今後、紫外線LEDや低圧水銀灯等の新たなタイプの紫外線ランプの開発を進める方針だ。新型ランプの開発と合わせて、新用途開発を進め、市場を創出していく方針だ。

2017年3第2四半期にみられた進捗としては、紫外線LED用のLEDチップの開発が順調に進んでおり、近い将来に製品として販売が開始されるめどが立ったということがある。具体的な用途や市場は明らかにはされていないが、前述のように、既存のランプ(水銀灯など)を紫外線LEDで代替していくことなどが1つの有り様として想像される。これは自社製品のみならず、他社製品に対しても起こり得る可能性がある。紫外線ランプ事業について具体的に収益に織り込むにはまだ早いが、2018年3月期以降の注目点の1つと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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