リアルワールド Research Memo(1):16/9期は売上高、営業利益ともに計画を上回り着地
[16/12/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
リアルワールド<3691>は、「ネットからリアルへ。」というミッションを掲げ、自社運営サイト「Gendama」「REALWORLD」「CROWD」を通じて豊かな暮らしを実現する事業を展開する。具体的には、ネットショッピングやサービスの利用でポイントを貯めることができるクラウドメディアサービス、時間や場所に関係なく、自分のペースで働くことができるクラウドソーシングサービス※、貯めたポイントを現金や電子マネーに交換することができるポイント交換サービス等を運営している。同社の事業コンセプトが利用者に支持されてきたことに加え、クラウドメディアとクラウドソーシングの相互作用の仕組みやマイクロタスク型クラウドソーシングなど独自の事業モデルを確立することにより順調に業績を拡大してきた。2016年9月末の総会員数は国内最大級の1,007万人、流通総額は115億円の規模に上る。
※群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語。インターネットを通じて不特定多数の人に業務を委託する仕組みのこと。
ただ、2016年9月15日の開示資料によると、過去の不適正な会計処理(収益の期間認識のずれ等)の発覚により過年度決算訂正を行う事態を招いた。決算訂正による影響は軽微であると捉えているが、追加的な監査・調査費用の発生等が2016年9月期業績の足を引っ張った。同社では、信頼回復に向けて体制面の強化(ガバナンス強化や内部管理・業務体制の見直し等)による再発防止に取り組むとしている。
2016年9月期の業績は、売上高が前期比27.1%増の4,601百万円、営業利益が同196.7%増の203百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が89百万円(前期は1百万円の利益)と大幅な増収及び営業増益ながら、前述した追加的な監査・調査費用の発生等により当期純損失に転落した。ただ、売上高、営業利益ともに計画を上回る着地となっており、事業そのものは好調と言える。特に、総会員数が目標とする1,000万人を突破するとともに、クラウドソーシングがリサーチ周りの案件(AI関連等)や在宅ワークなど新たな需要を取り込みながら大きく伸びている。
2017年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比13.0%増の5,200百万円、営業利益を同26.3%減の150百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を30百万円と増収ながら営業減益を見込んでいる。体制面の強化を優先的に取り組む方針から、業績の伸びはやや緩やかなものを想定している。特に、営業減益予想となったのは、体制面の強化にかかる費用等を保守的に見積もったことが要因と考えられる。弊社では、これまでの同社の業績の伸びなどから勘案して、売上高予想は固めの水準とみている。また、損益面でも、上記費用が年間を通じてどの程度利益を圧迫するのか、その動向を見守る必要があるであろう。ただ、第1四半期に限って言えば、監査法人の交替等を含め、監査関連費用が大きく膨らむ可能性があることに注意する必要がある。
同社の成長戦略は、クラウドメディアとクラウドソーシングの一層の融合と更なる進化を図ることにより、より価値の高いリアルワールドエコシステム(「暮らすこと」「働くこと」を中心とした人が生きていくためのライフサイクル)の構築を目指すものである。特に、労働人口減少に対する政策である「一億総活躍社会(同一労働同一賃金)」の実現に向け、これまでのクラウドソーシングに限らず、多様な働き方を提供する「ワークエコシステム」の確立に注力する方針である。2017年9月期業績については、一旦鈍化する可能性を否定できないが、同社が持続的に成長してくための必要なプロセスと捉えるべきであろう。とは言え、事業機会が大きく広がっているなかで、成長に向けた可能性を逸してしまうことは大きなマイナスであり、そのバランスをどのようにとっていくのかが当面の課題と言える。
■Check Point
・総会員数が順調に伸びたことによりクラウドメディア事業が堅調に推移
・売上高は会員数の拡大及びクラウドソーシングの伸張により増収基調を続ける
・国内最大級の会員基盤やノウハウを生かし、他社との提携や事業基盤の拡大を進める
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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※群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語。インターネットを通じて不特定多数の人に業務を委託する仕組みのこと。
ただ、2016年9月15日の開示資料によると、過去の不適正な会計処理(収益の期間認識のずれ等)の発覚により過年度決算訂正を行う事態を招いた。決算訂正による影響は軽微であると捉えているが、追加的な監査・調査費用の発生等が2016年9月期業績の足を引っ張った。同社では、信頼回復に向けて体制面の強化(ガバナンス強化や内部管理・業務体制の見直し等)による再発防止に取り組むとしている。
2016年9月期の業績は、売上高が前期比27.1%増の4,601百万円、営業利益が同196.7%増の203百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が89百万円(前期は1百万円の利益)と大幅な増収及び営業増益ながら、前述した追加的な監査・調査費用の発生等により当期純損失に転落した。ただ、売上高、営業利益ともに計画を上回る着地となっており、事業そのものは好調と言える。特に、総会員数が目標とする1,000万人を突破するとともに、クラウドソーシングがリサーチ周りの案件(AI関連等)や在宅ワークなど新たな需要を取り込みながら大きく伸びている。
2017年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比13.0%増の5,200百万円、営業利益を同26.3%減の150百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を30百万円と増収ながら営業減益を見込んでいる。体制面の強化を優先的に取り組む方針から、業績の伸びはやや緩やかなものを想定している。特に、営業減益予想となったのは、体制面の強化にかかる費用等を保守的に見積もったことが要因と考えられる。弊社では、これまでの同社の業績の伸びなどから勘案して、売上高予想は固めの水準とみている。また、損益面でも、上記費用が年間を通じてどの程度利益を圧迫するのか、その動向を見守る必要があるであろう。ただ、第1四半期に限って言えば、監査法人の交替等を含め、監査関連費用が大きく膨らむ可能性があることに注意する必要がある。
同社の成長戦略は、クラウドメディアとクラウドソーシングの一層の融合と更なる進化を図ることにより、より価値の高いリアルワールドエコシステム(「暮らすこと」「働くこと」を中心とした人が生きていくためのライフサイクル)の構築を目指すものである。特に、労働人口減少に対する政策である「一億総活躍社会(同一労働同一賃金)」の実現に向け、これまでのクラウドソーシングに限らず、多様な働き方を提供する「ワークエコシステム」の確立に注力する方針である。2017年9月期業績については、一旦鈍化する可能性を否定できないが、同社が持続的に成長してくための必要なプロセスと捉えるべきであろう。とは言え、事業機会が大きく広がっているなかで、成長に向けた可能性を逸してしまうことは大きなマイナスであり、そのバランスをどのようにとっていくのかが当面の課題と言える。
■Check Point
・総会員数が順調に伸びたことによりクラウドメディア事業が堅調に推移
・売上高は会員数の拡大及びクラウドソーシングの伸張により増収基調を続ける
・国内最大級の会員基盤やノウハウを生かし、他社との提携や事業基盤の拡大を進める
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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