リプロセル Research Memo(5):売上は、製品売上高が減少、役務収益が大幅増
[17/02/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(1) 2017年3月期第2四半期累計業績について
リプロセル<4978>の2017年3月期第2四半期累計(2016年4月−9月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%減の516百万円、売上総利益が同26.7%減の219百万円、営業損失が469百万円(前年同期は425百万円の損失)、経常損失が601百万円(同406百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が587百万円(同398百万円の損失)となった。
売上高は、主に円高が影響し約20百万円の減収要因となった。売上高の内訳を見ると、製品売上高が前年同期比29.3%減の288百万円となったものの、役務収益が同72.7%増の228百万円と増加した。臨床検査事業は大型受注案件が一巡したことで減収となったが、前第4四半期から連結に加わった旧Biopta(英国、前臨床試験受託サービス)の売上がフルに寄与したほか、iPS細胞の受託開発サービスの増加が寄与した。
地域別の売上動向を見ると、日本・アジアは国内での研究試薬販売及び臨床検査サービスの売上が減少したことで、前年同期比9.5%減の158百万円となった。米国は、旧Bioserveと旧Stemgentの再編統合を控えて人員の入れ替え等を実施したことや円高の影響もあって前年同期比15.5%減の232百万円となった。なお、米子会社は12月決算のため1月−6月分の売上高が連結業績に反映されており、2016年9月以降の再編統合によるシナジー効果は2017年3月期第4四半期以降、顕在化することになると見られる。欧州についてはポンド安の影響を受けたものの、旧Bioptaの業績がフルに寄与したことで、前年同期比107.8%増の103百万円となった。なお、英子会社は3月決算のため、4月−9月の売上高が連結業績に反映されている。
売上総利益率は前年同期比13.0ポイント低下の42.6%となった。売上総利益率の悪化要因は、他社仕入製品も含めた製品ラインナップの拡充を図った一方で、新規顧客獲得のための期間限定の値下げ等、戦略的なマーケティング施策を実施したことが要因となっている。販管費は研究開発費や円高の影響により、前年同期比で5.0%減となったものの、売上総利益の減少が響いて、営業損失は前年同期比で若干拡大する格好となった。また、営業外収支が悪化したが、これは円高により海外子会社資産の期末評価替えに伴う為替差損190百万円が発生したことが主因となっている。
(2)事業セグメント別動向
a) iPS細胞事業
iPS細胞事業の売上高は前年同期比1.1%減の495百万円、セグメント損失(経常利益ベース)は71百万円(前年同期は68百万円の損失)となった。
売上高の5割強を占める研究試薬事業に関しては、新規顧客開拓を図るため、国内外で10以上の学会及びセミナーへ参加し、企業展示等の販促活動を実施したほか、他社製品の販売提携により新たに3つの製品の販売を開始し、iPS細胞関連の研究試薬のラインナップ拡充を図った。国内では大学や公的研究機関の予算が抑制されている影響もあって減収となったものの、海外市場での売上高は順調に拡大した。
売上高の5割弱を占める創薬支援事業については、前述したように製薬企業や化学企業等でiPS細胞を使った開発が活発化しており、iPS細胞の販売や受託開発サービスの売上が国内外で増加した。
b)臨床検査事業
臨床検査事業の売上高は前年同期比45.0%減の21百万円、セグメント利益は同86.7%減の2百万円となった。前年同期は(一社)日本血液製剤機構が実施した臨床試験に関わる臨床検査測定の受託業務を受注したが、当第2四半期は同規模の受注案件がなかったため減収減益となった。
なお、2016年11月にヘリオス<4593>と再生医薬品の治験における検査業務の受託契約を締結したと発表しており、今後の売上寄与が見込まれる。内容は、ヘリオスが実施している脳梗塞急性期を対象疾患とした体性幹細胞再生医薬品「HLCM051」の臨床第II/III相試験における検査業務となる。同臨床試験は2016年9月から2018年10月までの約2年間実施される予定となっており、被験者の臨床検査などを同社が受託する。
細胞医薬品の開発は移植手術と同様のため、臨床検査は必ず必要となる。細胞医薬品の市場が拡大すれば、同検査業務で高い実績を持つ同社の売上高も拡大していくことが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) 2017年3月期第2四半期累計業績について
リプロセル<4978>の2017年3月期第2四半期累計(2016年4月−9月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%減の516百万円、売上総利益が同26.7%減の219百万円、営業損失が469百万円(前年同期は425百万円の損失)、経常損失が601百万円(同406百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が587百万円(同398百万円の損失)となった。
売上高は、主に円高が影響し約20百万円の減収要因となった。売上高の内訳を見ると、製品売上高が前年同期比29.3%減の288百万円となったものの、役務収益が同72.7%増の228百万円と増加した。臨床検査事業は大型受注案件が一巡したことで減収となったが、前第4四半期から連結に加わった旧Biopta(英国、前臨床試験受託サービス)の売上がフルに寄与したほか、iPS細胞の受託開発サービスの増加が寄与した。
地域別の売上動向を見ると、日本・アジアは国内での研究試薬販売及び臨床検査サービスの売上が減少したことで、前年同期比9.5%減の158百万円となった。米国は、旧Bioserveと旧Stemgentの再編統合を控えて人員の入れ替え等を実施したことや円高の影響もあって前年同期比15.5%減の232百万円となった。なお、米子会社は12月決算のため1月−6月分の売上高が連結業績に反映されており、2016年9月以降の再編統合によるシナジー効果は2017年3月期第4四半期以降、顕在化することになると見られる。欧州についてはポンド安の影響を受けたものの、旧Bioptaの業績がフルに寄与したことで、前年同期比107.8%増の103百万円となった。なお、英子会社は3月決算のため、4月−9月の売上高が連結業績に反映されている。
売上総利益率は前年同期比13.0ポイント低下の42.6%となった。売上総利益率の悪化要因は、他社仕入製品も含めた製品ラインナップの拡充を図った一方で、新規顧客獲得のための期間限定の値下げ等、戦略的なマーケティング施策を実施したことが要因となっている。販管費は研究開発費や円高の影響により、前年同期比で5.0%減となったものの、売上総利益の減少が響いて、営業損失は前年同期比で若干拡大する格好となった。また、営業外収支が悪化したが、これは円高により海外子会社資産の期末評価替えに伴う為替差損190百万円が発生したことが主因となっている。
(2)事業セグメント別動向
a) iPS細胞事業
iPS細胞事業の売上高は前年同期比1.1%減の495百万円、セグメント損失(経常利益ベース)は71百万円(前年同期は68百万円の損失)となった。
売上高の5割強を占める研究試薬事業に関しては、新規顧客開拓を図るため、国内外で10以上の学会及びセミナーへ参加し、企業展示等の販促活動を実施したほか、他社製品の販売提携により新たに3つの製品の販売を開始し、iPS細胞関連の研究試薬のラインナップ拡充を図った。国内では大学や公的研究機関の予算が抑制されている影響もあって減収となったものの、海外市場での売上高は順調に拡大した。
売上高の5割弱を占める創薬支援事業については、前述したように製薬企業や化学企業等でiPS細胞を使った開発が活発化しており、iPS細胞の販売や受託開発サービスの売上が国内外で増加した。
b)臨床検査事業
臨床検査事業の売上高は前年同期比45.0%減の21百万円、セグメント利益は同86.7%減の2百万円となった。前年同期は(一社)日本血液製剤機構が実施した臨床試験に関わる臨床検査測定の受託業務を受注したが、当第2四半期は同規模の受注案件がなかったため減収減益となった。
なお、2016年11月にヘリオス<4593>と再生医薬品の治験における検査業務の受託契約を締結したと発表しており、今後の売上寄与が見込まれる。内容は、ヘリオスが実施している脳梗塞急性期を対象疾患とした体性幹細胞再生医薬品「HLCM051」の臨床第II/III相試験における検査業務となる。同臨床試験は2016年9月から2018年10月までの約2年間実施される予定となっており、被験者の臨床検査などを同社が受託する。
細胞医薬品の開発は移植手術と同様のため、臨床検査は必ず必要となる。細胞医薬品の市場が拡大すれば、同検査業務で高い実績を持つ同社の売上高も拡大していくことが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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