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Fブラザーズ Research Memo(5):投資銀行事業の利益が投資運用事業の利益を逆転

注目トピックス 日本株
■ファーストブラザーズ<3454>の業績動向

2. セグメント別の業績動向
投資運用事業は、売上高1,120百万円(前期比57.7%減)、売上総利益1,099百万円(同57.5%減)、営業利益904百万円(同58.7%減)。大型物件の取引価格は高値圏にあるとの市場認識から物件取得に慎重姿勢で臨んだ結果、期中の新規物件取得はなかった。一方、売却には好機との認識から積極的に物件売却を進め、248億円(取得価格ベース)を売却した。結果、期末のファンドのAUMは321億円(前期末比248億円減)と一段と減少。セイムボート投資を行っているファンドはなくなった。

ファンド投資家との守秘義務契約により、フィー収入の内訳詳細は非開示となっているものの、大幅減益になったのは、2015年11月期に多額のインセンティブフィーが計上された反動や、AUM減少に伴うAMフィーの減少、物件取得がなくアクイジションフィーがなかったことによる。

投資銀行事業は、売上高13,485百万円(前期比7.1倍)、売上総利益4,139百万円(同3.0倍)、営業利益3,597百万円(同2.9倍)と急伸。バリューアップが完了した物件を順次売却し、売上高のうち物件売却額(売却価格ベース)は106億円(前期はゼロ)となった。なかには40億円を超える売却物件もあり、自己勘定投資としては比較的大型の物件のEXITがあった。

売上総利益の主な内訳は、不動産売却25.7億円(前期はゼロ)、不動産賃貸8.5億円(前期比3.5億円増)、セイムボート投資利益6.9億円(同0.2億円増)。バリューアップの成果と不動産売買市場の活況を背景に売却益がけん引した。売却粗利益率は約24%だった。

新規の物件取得は169億円と期初目標の160億円を若干上回った。投資運用事業で投資対象となるような大型物件の取得競争は熾烈だが、10億円前後の中小物件の投資機会は個人の相続絡みや私募ファンドのEXITなど豊富に存在する。自己勘定投資の保有残高は取得価格ベースで前期末比94億円増の251億円(簿価257億円)と積み上がった。アセットタイプは商業ビルとオフィスがほぼ半々。手間がかかる割にバリューアップ余地の乏しいレジデンスの取得は積極的には行っていない。安定稼働時の想定NOI利回りは5.8%(取得価格ベース)。2015年11期末の7.4%からは大きく低下したが、これは地方物件のウエイトが下がったことやオフィスのウエイトが高まったことによるところが大きいとみられ、高値で無理な取得をしているわけではない。その証左に鑑定評価に基づく含み益は68億円(前期末比27億円増)と増加し、簿価に対する含み益率は約26%(前期は約25%)とむしろ若干上昇している。現在の状況下では鑑定評価額以上の価格で売却できているため、実際にはこれ以上の含み益があると言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)



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