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ソフト99 Research Memo(2):ケミカル用品の製造販売会社で、連結売上高の約61%を自動車分野で占める

注目トピックス 日本株
■事業概要

ソフト99コーポレーション<4464>は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社である。事業セグメントとしてはファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つのセグメントで区分している。2017年3月末時点の連結子会社は8社で、M&Aを活用しながら業容を拡大してきた。直近では2016年4月に海外カー用品の輸入販売を行う子会社、(株)アンテリアを設立している。金属用コーティング・研磨剤の世界的高級ブランドである「AUTOSOL®」(ドイツ、Dursol-Fabrik Otto Durust)を日本で売り込みたいとの要望が相手企業からあったことから、正規代理店となり輸入販売を開始することとなった。今後も海外で商品力のある自動車用、家庭用ケア用品や機械メンテナンス用品ブランドなどがあれば、商品ラインナップに加えていく予定となっている。

直近5期間の事業別構成比を見ると売上高、セグメント利益ともに大きな変動はなく、売上高ではファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業で合わせて約7割、営業利益では8割強を占める水準となっている。また、その他の事業に関しても期によって多少の変動はあるものの、総じて安定した収益を上げており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっている。

1. ファインケミカル事業
ファインケミカル事業は大きく分けて、コンシューマ向けに販売されるカー用品(ボディケア、ガラスケア、リペアグッズ等)、自動車ディーラーや自動車美装業者、あるいはその他業界向けに販売される業務用製品(コーティング剤等)、家庭用品(メガネケア製品、クリーナー等)、海外事業(主にカー用品)、TPMSの企画・販売を行うTPMS事業、そして2017年3月期より開始した海外輸入販売事業の6つに区分される。2017年3月期の売上構成比を見ると、コンシューマ向けカー用品が全体の70%を占め、次いで業務用製品が13%、海外事業が10%、家庭用品等が5%、TPMSが1%となっている。

コンシューマ向けカー用品の市場シェアを見ると、カーワックスを中心としたボディケア分野で約4割とトップとなっている。参入企業は多いが、競合大手としては(株)ウイルソンやシュアラスター(株)など同社を含めて4〜5社の争いとなっている。また、ガラスケア分野では約7割のシェアを握っている。雨天でも視界を確保するガラスコーティング剤「ガラコ」シリーズが高い支持を集めている。競合は(株)錦之堂やシーシーアイ(株)などがある。また、リペアグッズ(補修材)では約6割のシェアを持ち、市場は同社と武蔵ホルト(株)の2社での寡占市場となっている。

業務用製品では、自動車美装業者向けにコーティング剤などを販売しているほか、自動車メーカーやディーラー向けのOEM製品も製造している。また、ここ数年では飲料用自動販売機や船舶、鉄道車両など、自動車業界以外の市場開拓も進めており、同事業の1割弱の比率を自動車分野以外で占めるようになってきている。なお、業務用コーティング剤の競合としては、自動車メーカー・ディーラー向けでは中央自動車工業<8117>のシェアが高く、また、納車時に施工したコーティングの再施工やリーズナブルにコーティングしたいユーザーに対してKeePer技研<6036>がガソリンスタンド等を通じて販売している。耐久性能や品質は同社製品の評価は高く、アッパークラスのコーティグメニューとして外車ディーラーなどで採用されている。

海外事業では中国やロシア、東南アジア向けが売上の中心で、現地代理店経由でコンシューマ向けカー用品や業務用製品の販売を展開している。また、近年では中国、台湾を中心に業務用製品の販売を通じた自動車美装サービスの展開を現地パートナー企業と協業で進めている。

2016年3月期より新たに加わったTPMS事業では、TPMSの企画・開発・販売を行っている。TPMSとは、タイヤ内の空気圧や温度をセンサーで常時監視し、異常が発生した場合に運転者に通知するシステムのこと。仕組みとしてはエアバルブと一体化したセンサーをタイヤホイールに組み付け、受信機に信号を送信、モニターに情報を表示する仕組みとなる。トラック運送事業者などは、運行前点検の厳格化が指導されており、TPMSを搭載すればタイヤに起因する事故や、燃費悪化の防止につながるだけでなく、点検作業が省力化されるといったメリットがあり、普及が進み始めている。

ファインケミカル事業の営業利益率は、直近で9〜12%と安定して推移している。コンシューマ市場で高いシェアを獲得できていること、利益率の高い業務用製品の販売が安定していることが要因とみられる。海外事業の収益性に関しては仕入販売が含まれていることもあり低水準だが、現地専売品など付加価値の高い製品を投入していくことによって改善を図っている。

2. ポーラスマテリアル事業
子会社のアイオン(株)で展開するポーラスマテリアル事業は、1999年にカネボウ(株)から譲り受けた事業で、ポリビニルアルコール(PVA)素材をベースとしたスポンジ(機能性多孔質吸収体)のパイオニア企業として知られている。高い吸水性能を生かして、産業資材や生活資材の開発製造を行っている。主な用途として、産業資材では半導体やハードディスクの製造ライン用(洗浄・吸水工程)が、コンシューマ向け生活資材では洗車用タオルやスポーツ用タオルなどがある。2017年3月期の売上構成比で見ると、産業資材が71%、生活資材が29%の比率となっている。また、海外売上比率が50%と高いことも特長で、特に半導体分野では世界大手の半導体メーカーを顧客に持ち、最先端プロセスの製造ラインでは5割弱のシェアを握っている。一方で、ハイテク業界の需要に左右されない事業体を構築すべく、近年では新用途の開拓にも注力しており、インフルエンザ検査用キット等の医療用途での採用が進み始めている。

営業利益率は10%台前半の水準で安定して推移している。コンシューマ向け生活資材の利益水準が比較的安定していることと、産業資材では半導体業界・ハードディスク業界向けともに競合が少なく、寡占的な市場環境にあるためだ。なお、海外向けに関しては円建て取引のため、為替変動の直接的な影響は受けない格好となっている。

3. サービス事業
サービス事業は、子会社で展開する自動車整備・鈑金事業のほか、自動車教習所の運営事業、生活用品企画販売事業で構成されている。2017年3月期の売上構成比で見ると、自動車整備・鈑金が48%、教習所運営が18%、生活用品企画販売が34%となっている。

自動車整備・鈑金事業では、(株)ソフト99オートサービスで鈑金塗装や各種コーティング施工サービスを展開している。損保会社やカーディーラー経由で入庫される事故車両などの修理や車検整備を主に行っているが、ここ数年は安全運転システムが普及し始めたことによる事故車両の減少や損害保険料が値上げされたこともあって、需要が減少傾向となっている。このため、最近ではメイクアップ用のカーラッピングサービスや塗装面を飛び石や虫などによるキズや汚れから守るプロテクションフィルムの施工サービスに注力している。サービス拠点は関西5ヶ所、首都圏で1ヶ所の体制となっており、主に関西が売上の中心となっているが、2013年9月に東京・江東区に新工場を稼働させており、首都圏の営業強化を進めている。

自動車教習所事業は、アスモ(株)が兵庫県尼崎市で1校を運営しており、今後も現状規模を維持していく方針となっている。生活用品企画販売事業については、(株)くらし企画で生活協同組合向けを中心に家庭用品・雑貨の企画販売を手掛けている。また、幅広い調達先を生かしたインターネット販売にも注力しており、今後はグループのネット販売のノウハウを集約し、インターネット販売事業も拡大していく方針となっている。

4. 不動産関連事業
不動産関連事業は不動産賃貸事業と温浴事業、介護予防支援事業が含まれる。2017年3月期の売上構成比で見ると、「極楽湯」(3店舗)を運営する温浴事業が71%、不動産賃貸事業が25%、介護予防支援事業が3%となっている。不動産賃貸事業に関しては本社ビルと東京・秋葉原にある自社ビルなどの賃貸を行っている。介護予防支援事業については、「極楽湯」(尼崎店)の同社敷地内の有効活用と温浴事業の付加サービスを目的に、子会社のアライズ(株)で2014年11月より事業を開始している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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