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KLab Research Memo(1):新規タイトルの順調な滑り出しなどにより、足元の業績は好調に推移

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要
KLab<3656>は、「世界と自分をワクワクさせろ」をビジョンに掲げ、スマートフォン向けアプリを中心にモバイルオンラインゲームの企画、開発を主力としている。また、売上の拡大及びボラティリティの低減を目的に非ゲーム事業も手掛けている。主要タイトルには、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」(以下、スクフェス)、「BLEACH Brave Souls」(以下、ブレソル)などがある。日本の人気漫画やアニメーションをゲーム化し、運用するところに強みがあり、海外への展開にも積極的である。海外売上比率は約16%を占め、過去3年間で約3倍に拡大してきた。また、上位4タイトルで売上高の大部分を占めているが、特定のヒットタイトルへの依存度が高い業界においては、比較的バランスの取れた構成と言える。

ここ数年は、スマートフォンゲーム市場全体に停滞感が漂うなかで、新規タイトルの不振や方針転換等に伴うリリースの見送りなどにより、業績に伸び悩みが見られた。しかしながら、足元では運営力及びマーケティング力の進化により既存タイトルが好調に推移していることや固定費の圧縮や変動費化が進んできたことに加えて、注目を集めている新規タイトル「キャプテン翼 〜たたかえドリームチーム〜」(以下、キャプテン翼)などが順調に滑り出したことから、同社は本格的な成長フェーズに入ってきた。

2. 2017年12月期上期決算の実績
2017年12月期第2四半期累計期間(以下、上期)の業績は、売上高が前年同期比23.0%増の10,924百万円、営業利益が1,968百万円(前年同期は51百万円の利益)と想定を上回る大幅な増収増益となった。既存の主力タイトルが好調に推移したことに加えて、2017年6月13日にリリースした新規タイトル「キャプテン翼」が順調に滑り出したことが大幅な増収に寄与した。また、利益面でも、増収効果や海外拠点の閉鎖に伴う人件費(労務費)の削減等により大幅な増益を実現し、営業利益率も18.0%(前年同期は0.6%)に大きく改善している。

3. 2017年12月期通期業績の見通し
2017年12月期の通期業績予想(レンジ形式)※1について同社は、上期実績が想定を上回ったことや新規タイトルが順調に滑り出したことなどを勘案して、レンジ幅の上方修正を行った。修正後の業績予想として、売上高を22,500百万円(前期比14.8%増)〜25,500百万円(同30.1%増)、営業利益を2,200百万円(前期比72.6%増)〜4,000百万円(同213.8%増)と大幅な業績の伸びを見込んでいる。下期に1本〜4本の新規タイトルを予定※2する一方、好調な既存タイトルについてはライフサイクルの進行に伴う減衰傾向(自然減)をたどる想定である。

※1 同社は、今期よりレンジ形式による「通期業績予想開示」を採用している。
※2 2017年8月28日にリリースした2本目の新規タイトル「うたの☆プリンスさまっ♪」を含む。


弊社でも、新規タイトル「キャプテン翼」が順調に滑り出したことや、2本目の「うたの☆プリンスさまっ♪」(以下、うたプリ)についてもコアファンを中心に一定のヒット率が期待できることから、修正後の通期業績予想の達成(レンジ内の着地)は可能であるとみている。

4. 成長戦略
同社の中期的な成長戦略の方向性は、これまでの内部開発によるゲーム事業中心から、外部開発/パブリッシングによるゲームタイトル数を増加させるほか、非ゲーム事業の推進により、三分鼎立(さんぶんていりつ:3つの事業のバランスがとれた状態)を目指すものである。スマートフォンゲームを取り巻く環境変化が激しいなかで、事業ポートフォリオの分散や収益構造の柔軟性(費用の変動費化)を高めることにより、安定的に黒字経営ができる体質に転換しながら、成長を加速する戦略と言える。

弊社では、スマートフォンゲーム市場の先行きに不透明感があるなかで、海外への展開、残存者利益の享受(外部リソースの活用を含む)が同社の成長を支えるものとみており、その動向に注目している。また、事業の拡大や収益体質の安定化に向けて、非ゲーム事業を推進する戦略にも合理性がある。日本のIP を展開していくノウハウや独自のマーケティング力を生かして、いかに同社ならではの新たな価値を創出していけるかが成功のカギを握るだろう。

■Key Points
・人気IPによるヒットタイトルの創出を得意とするモバイルオンラインゲーム会社
・独自のマーケティング力や海外展開力にも強み
・2017年12月期上期業績は既存タイトルの好調持続や新規タイトルのリリースにより順調に拡大
・2017年12月期の通期業績予想(レンジ形式)を上方修正し、大幅な業績の伸びを見込む
・外部開発/パブリッシングや非ゲーム事業の拡大により、バランスをとりながら安定と成長の両立を実現する方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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