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シノケンG Research Memo(10):2017年の貸家市場は踊り場局面だが、独自のビジネス戦略により成長が続く

注目トピックス 日本株
■シノケングループ<8909>の今後の見通し

2. 貸家市場の動向について
不動産調査会社(株)タスの調べによると、東京都のアパート空室率は2015年前半まで約30%で推移していたが、その後は供給戸数が増え始めたこともあり上昇トレンドに転じ、直近では約34%の水準に達している。※ここ数年、空室率は横ばい水準で推移している。2015年以降、供給が増え始めた要因としては、2015年1月の税制改正により相続税の課税対象が広がったことで、相続税対策目的のアパート新築が増えたこと、2016年に日銀がマイナス金利を導入したことで金利が一段と低下し、融資条件が緩和されたことなどが背景にあると見られる。

※ 空室率は(株)タスの独自計算による。首都圏エリアについてはほぼ同様の傾向となっているが、関西や愛知、福岡については大きな変化はみられず空室率は横ばい水準で推移している。


ただし、個人による貸家業向け新規融資額について見ると、2017年4-6月は前年同期比で14.5%減と2四半期連続でマイナスとなり、また、貸家の新規着工戸数も2017年7月は前年同月比で3.7%減と2ヶ月連続のマイナスとなるなど、ここにきて業界全体の動きを示す統計指標には息切れ感が出始めている。超低金利下が続くなかで、個人の不動産投資がやや過熱気味となっていることから、金融機関が融資姿勢を厳しくし始めたことが影響しているとの見方も出ている。このため、貸家業に対する新規融資額や貸家の着工戸数については、少なくとも年内一杯は前年比でマイナス基調が続くものと弊社では見ている。

このように2017年は業界全体が踊り場を迎えるものの、同社についてはその独自戦略によって引き続き成長が続くものと予想される。前述したように豊富な受注残を有しており、下期の販売についてはこれら物件の引渡しを行っていくことで計画の達成は十分可能と考えられる。足許の営業活動は既に、2018年に販売する物件の仕込みに入っている。同社では今後も単身世帯数の増加が見込まれる東京エリアを中心に販売を拡大していく方針に変わりないが、関西エリアについても、大阪だけでなく神戸や京都など周辺エリアに進出していくことで成長は可能と見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<NB>

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