クロスマーケ Research Memo(8):ターニングポイントはVOYAGEとの提携、マザーズ上場、持株会社化
[17/09/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ビジネスモデル
3. ターニングポイント
クロス・マーケティンググループ<3675>は2003年と遅い創業で、当時ネットリサーチ業界で最後発の1社と見られていた。それが今やマーケティングリサーチ業界を代表する企業にまで成長した。
最初のターニングポイントは、2006年VOYAGE GROUP(当時ECナビ)と業務資本提携をしたことである。VOYAGE傘下のリサーチパネルに資本参加することで、リサーチパネルの有する70万人(当時)という大規模なモニターを獲得することができた。これが弾みになって電通リサーチ(現電通マクロミルインサイト)やビデオリサーチといったトップクラスのマーケットリサーチ会社と提携し、業容を大きく拡大することができた。電通リサーチは同社の同業だが、当時ネットリサーチ機能を持たなかったため、同社の機能を補完的に利用するニーズがあったのである。これを「間接販売」といい、同社以外に積極化する企業が少なかったこともあって、「間接販売」は同社の初期の成長をけん引することになった。
2008年の東証マザーズ上場は2つめのターニングポイントである。上場によって資金力と知名度が付いたこともあり、様々な調査の依頼が舞い込むようなった。とはいえ、ネットリサーチのマーケットが小さかったこともあって、今度は積極的に「直接販売」を推進した。いずれにしろ、業容の急拡大に伴って多種多彩で大量なモニターの保持と調査設計のカスタマイズが必要になった。前者については、楽天リサーチやネットマイルといった大規模なモニターを持つ同業他社と業務提携し、モニターを相互利用することで業界最大といわれるモニター数を確保することができた。この結果、非常に大量なサンプルやレアな調査対象にも対応できるようになり、同社の成長にさらに弾みがついた。後者は、専門的な知識がなくてもアンケート画面を作成・カスタマイズできる「pyxis2」を開発、加えてコストコントロール用に遠隔地にオペレーションセンターを作ることで、ローコスト化とともに顧客にとって使い勝手の向上したツールを提供することができた。
3つ目のターニングポイントは2013年の持株会社化である。これによりM&Aや海外展開が加速した。しかし、同社の業容拡大に欠かせないと思われるが、為替の影響も含めて業績が変動する要素が増えることになる。ITを中心とする新興企業は、M&Aなどによって数多くの子会社を抱えることもあるが、子会社とか内製化とかいう点に加えて、管理体制やガバナンスが問題になることもある。いずれにしろ、3つ目のターニングポイントは、次の成長のために同社にとってブレークスルーする必要のあるポイントである。これまでもターニングポイントごと色々なものをクリアしてきたが、今回の課題は、子会社が増加したことによる事業の効率性や管理体制・ガバナンスということになるだろうか。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<TN>
3. ターニングポイント
クロス・マーケティンググループ<3675>は2003年と遅い創業で、当時ネットリサーチ業界で最後発の1社と見られていた。それが今やマーケティングリサーチ業界を代表する企業にまで成長した。
最初のターニングポイントは、2006年VOYAGE GROUP(当時ECナビ)と業務資本提携をしたことである。VOYAGE傘下のリサーチパネルに資本参加することで、リサーチパネルの有する70万人(当時)という大規模なモニターを獲得することができた。これが弾みになって電通リサーチ(現電通マクロミルインサイト)やビデオリサーチといったトップクラスのマーケットリサーチ会社と提携し、業容を大きく拡大することができた。電通リサーチは同社の同業だが、当時ネットリサーチ機能を持たなかったため、同社の機能を補完的に利用するニーズがあったのである。これを「間接販売」といい、同社以外に積極化する企業が少なかったこともあって、「間接販売」は同社の初期の成長をけん引することになった。
2008年の東証マザーズ上場は2つめのターニングポイントである。上場によって資金力と知名度が付いたこともあり、様々な調査の依頼が舞い込むようなった。とはいえ、ネットリサーチのマーケットが小さかったこともあって、今度は積極的に「直接販売」を推進した。いずれにしろ、業容の急拡大に伴って多種多彩で大量なモニターの保持と調査設計のカスタマイズが必要になった。前者については、楽天リサーチやネットマイルといった大規模なモニターを持つ同業他社と業務提携し、モニターを相互利用することで業界最大といわれるモニター数を確保することができた。この結果、非常に大量なサンプルやレアな調査対象にも対応できるようになり、同社の成長にさらに弾みがついた。後者は、専門的な知識がなくてもアンケート画面を作成・カスタマイズできる「pyxis2」を開発、加えてコストコントロール用に遠隔地にオペレーションセンターを作ることで、ローコスト化とともに顧客にとって使い勝手の向上したツールを提供することができた。
3つ目のターニングポイントは2013年の持株会社化である。これによりM&Aや海外展開が加速した。しかし、同社の業容拡大に欠かせないと思われるが、為替の影響も含めて業績が変動する要素が増えることになる。ITを中心とする新興企業は、M&Aなどによって数多くの子会社を抱えることもあるが、子会社とか内製化とかいう点に加えて、管理体制やガバナンスが問題になることもある。いずれにしろ、3つ目のターニングポイントは、次の成長のために同社にとってブレークスルーする必要のあるポイントである。これまでもターニングポイントごと色々なものをクリアしてきたが、今回の課題は、子会社が増加したことによる事業の効率性や管理体制・ガバナンスということになるだろうか。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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