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ハウスドゥ Research Memo(3):事業ポートフォリオを安定・持続的成長型に転換(1)

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 事業ポートフォリオ
2017年6月期の売上高の事業別構成比は、フランチャイズ事業が12.9%、ハウス・リースバック事業が16.3%、不動産金融事業が1.3%(以上のストック型収益事業計: 30.6%)、不動産売買事業が41.4%、不動産流通事業が10.8%、住宅・リフォーム事業が17.1%、その他が0.1%であった。調整額控除前のセグメント利益の事業別構成比は、フランチャイズ事業が48.3%、ハウス・リースバック事業12.3%、不動産金融事業が2.7%、不動産売買事業が15.7%、不動産流通事業が13.8%、住宅・リフォーム事業が7.9%、その他が-0.7%であった。ストック型収益事業の合計は63.3%と大きい。不動産金融事業は、2017年6月期から表示が開始された。

日銀のマイナス金利政策に象徴される低金利と大規模な金融緩和及び海外からの投資を背景に、東京の不動産価格は上昇し、局所的に過熱感が現れた。また、2015年1月の相続税改正(増税)の対策として、賃貸住宅への投資が増加した。

実需を反映しない不動産投資の増加、価格上昇による利回りの低下など市場リスクが高まったことから、ハウスドゥ<3457>は前3ヶ年中期経営計画を1年目で見直し、2017年6月期を初年度とする新中期経営計画を策定した。新たな中期経営計画では、経営資源を労働集約型ビジネスである不動産流通事業、住宅・リフォーム事業、不動産売買事業からストック型ビジネスであるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産金融事業へシフトした。不動産市場が変調を来しても、持続的な成長を可能とする全天候型経営への移行を前倒しで進めている。

2017年6月期のストック型収益事業の売上高(調整額控除前)構成比は前期の17.2%から30.6%へ、営業利益(調整額控除前)の構成比は同42.7%から63.3%へ上昇した。事業ポートフォリオの主体を、安定収益が見込まれる上、持続的な成長をもたらすストック型収益事業に切り替えた。同社のストック型収益事業は、業界に先駆けて事業を開始した独自のビジネスモデルであるため、競争が少なく、絶大なニーズがあり急成長が可能だ。2018年6月期のストック型収益事業の構成比は、売上高(調整額控除前)が29.8%、営業利益(調整額控除前)で68.6%を見込んでいる。

2. フランチャイズ事業
(1) フランチャイズ事業の売上構成
2017年6月期のフランチャイズ事業の売上高構成は、加盟金が20.0%、月会費が23.2%、システム料が11.4%、広告分担金が24.8%、備品売上が8.3%、その他が12.3%となった。2017年6月期における新規加盟契約数は144件であった。フランチャイズ事業の営業利益は1,304百万円となり、調整額控除前の売上高営業利益率は58.8%の高水準であった。

(2) 加盟店の推移
2017年6月期末の累計加盟契約数は468件と、1年間で24.1%増加した。期中の新規加盟契約数が144件あり、退会を勘案した純増は91件であった。2018年6月期末の累計加盟契約数は573件を計画しており、105件の純増を見込んでいる。2017年6月期末のオープン店舗数は、前期比19.2%増の378店舗となった。2018年6月期末は同20.9%増の457店舗が予想されている。

(3) 加盟店の変化
フランチャイズ事業の売上高の約4分の1を占める広告分担金は、集合的な広告宣伝に使用されるため、費用を徴収しているにすぎない。同社は、2013年より元プロ野球選手・監督、現解説者の古田敦也(ふるたあつや)氏をイメージキャラクターに起用したブランド戦略を展開している。東証マザーズ上場により、同社に対するイメージが京都の企業から全国区へとアップした。さらに2016年12月に東証1部へ市場変更したことから、社会的信用が一層高まり、フランチャイズ加盟店募集に対する問い合わせが増えている。

(4) 地域別展開
2017年6月期末における家・不動産買取専門店を除く352店舗の地域別店舗数の割合は、東海地域が28.7%と最も多く、創業した近畿地域の15.1%を上回っている。市場規模が近畿地区の2.5倍あるとみられる関東地区は、店舗数が近畿地区よりも多くなった。東海地域は、同社が目標とする地域別店舗数125店舗に対して101店舗と進捗率が80.8%に到達した。同地域では、実績店舗数が目標の半分を超えたところで認知度が高まり、ブランド力が向上した。関東地域及び近畿地域で、それぞれ100店舗を超えたところで、東海地域で見られたような質的変化が起きることが見込まれている。最終目標は全国1,000店舗であるが、500店舗を超えてからフランチャイズの加盟に弾みがつくことが予想される。

(5) 新ビジネスの展開
フランチャイズ事業は、知名度及び信用度のアップに複数の業態を開発したことで、地域と加盟店の対象が拡大しつつある。住まい・不動産に関わるサービスメーカーとして、新しいサービスの開発・提供を進めてきた。他社に先駆けて開発したサービスには、「家・不動産買取専門店」による買取サービスや、住みながら家を売却できる「ハウス・リースバック」、最近では「不動産担保ローン」といった金融サービスなどがある。フランチャイズチェーンの価値を、新事業のスキーム開発力とブランド力で評価するステージに入ってきたと言える。従来にないビジネスをフランチャイズシステムで提供するようになって、新規の加入者のうち不動産会社の占める割合が高まっている。不動産のプロが、同社のフランチャイズサービスの有用性を認識するにようになっている。

2013年10月から開始した「家・不動産買取専門店」は、不動産の買取りをメインとし、少人数で店舗運営する。2017年3月末の店舗数は100店舗を突破した。地場の不動産売買仲介業者にとっては、月会費が固定で、加盟金が安く、ポスター、チラシ、DMなどにイメージキャラクターが使えることが魅力だ。テレビCMの効果も大きい。従来の不動産売買仲介店(サテライト店)との併設も奨励している。従来型の不動産売買仲介店と買取専門店を合算すると、1,000店舗を大きく超える可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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