メディシス Research Memo(8):組織再編で収益力・成長性の向上に期待、在宅医療向けサービスは着実に進める
[17/11/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■グループ組織再編と在宅医療向けサービスの取り組みについて
1. グループ組織再編について
メディカルシステムネットワーク<4350>は、2017年10月にグループ組織体制の見直しを実施し、調剤薬局事業を統括していたファーマホールディングのほか、(株)システム・フォー、(株)日本レーベンの子会社3社を吸収合併した。この組織再編により、調剤薬局事業についてはエリアごとに子会社を直接傘下に置く2層構造の経営体制となった。組織間の機能重複解消によるコスト削減やグループガバナンスの強化・意思決定の迅速化により、グループ収益力及び成長性の向上を目指すことが組織再編の狙いとなっている。
その他、調剤薬局事業では北海道に3社あった会社を1社に統合し(株)なの花北海道としたほか、東日本エリアでは(株)なの花東日本、中部エリアでは(株)なの花中部へと社名変更を実施している。西日本エリアを管轄する(株)共栄ファーマシー、並びに九州エリアを管轄する(株)トータル・メディカルサービスについては地域でのブランド力が強いため、当面は現在の社名を継続していく方針とした。
今回の組織再編が業績に与える影響について、2018年3月期については中立となる。間接業務コストの削減効果とほぼ見合う格好で社名変更に関連する費用等が発生するためだ。実際に、収益面でその効果が顕在化してくるのは2019年3月期以降となる。なお、業務等の統合によって余剰となる人員については他部門に配置転換することになる。
2. 在宅医療向けサービスの取り組み状況
在宅医療向けサービスの取り組みとして、2016年5月に発表した日本郵便(株)との協業による「処方薬等の宅配サービス」「買い物支援サービス」の取り組みを、一部地域において進めている。
「処方薬等の宅配サービス」については札幌市、名古屋市の「なの花薬局」5店舗にて、服薬指導を行った在宅患者向けに輸液パック・栄養剤の宅配サービスを実施している。当初は2017年度中にも順次全国展開を開始する予定であったが、現時点では慎重に事業展開を進めていく方針としている。とはいえ、政府の規制緩和策により遠隔医療サービスが今後普及すれば、薬剤師による遠隔での服薬指導も認められる可能性がある。服薬指導が遠隔でできるようになれば、処方薬の宅配サービス需要も拡大する可能性があり、今後の市場立ち上がりに向けてその準備体制を整えている段階にあるとも言える。
一方、「買い物支援サービス」については、2016年10月より小樽市、名古屋市にて対象商品を大人用紙おむつ(日本郵便との共同開発品で、生産は日本製紙クレシア(株)に委託)に絞って展開している。販売先は一定量が見込める介護施設や病院施設が中心で、徐々に実績を広げつつある。同サービスについても、当初は2017年度中に順次全国の施設向けに販売を開始する計画であったが、当面は慎重に事業を進めていく方針に切り替えている。まずは、収益モデルを確立してから全国展開していくことになると思われる。将来的には日用品や健康食品などに対象を広げていきたい考えだが、協業先である日本郵便の意向次第となる。
今後、超高齢化社会の到来によって在宅患者や要介護者数の増加が見込まれるなかで、宅配サービスの需要も高まることが予想される。実際、高齢者や介護者向けの宅配弁当サービスの市場は拡大している。調剤薬局業界において、こうした宅配サービスの取り組みは同社が先行しており、同事業が立ち上がれば中長期的に調剤薬局事業における競争力並びに収益力向上につながるものとして期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MH>
1. グループ組織再編について
メディカルシステムネットワーク<4350>は、2017年10月にグループ組織体制の見直しを実施し、調剤薬局事業を統括していたファーマホールディングのほか、(株)システム・フォー、(株)日本レーベンの子会社3社を吸収合併した。この組織再編により、調剤薬局事業についてはエリアごとに子会社を直接傘下に置く2層構造の経営体制となった。組織間の機能重複解消によるコスト削減やグループガバナンスの強化・意思決定の迅速化により、グループ収益力及び成長性の向上を目指すことが組織再編の狙いとなっている。
その他、調剤薬局事業では北海道に3社あった会社を1社に統合し(株)なの花北海道としたほか、東日本エリアでは(株)なの花東日本、中部エリアでは(株)なの花中部へと社名変更を実施している。西日本エリアを管轄する(株)共栄ファーマシー、並びに九州エリアを管轄する(株)トータル・メディカルサービスについては地域でのブランド力が強いため、当面は現在の社名を継続していく方針とした。
今回の組織再編が業績に与える影響について、2018年3月期については中立となる。間接業務コストの削減効果とほぼ見合う格好で社名変更に関連する費用等が発生するためだ。実際に、収益面でその効果が顕在化してくるのは2019年3月期以降となる。なお、業務等の統合によって余剰となる人員については他部門に配置転換することになる。
2. 在宅医療向けサービスの取り組み状況
在宅医療向けサービスの取り組みとして、2016年5月に発表した日本郵便(株)との協業による「処方薬等の宅配サービス」「買い物支援サービス」の取り組みを、一部地域において進めている。
「処方薬等の宅配サービス」については札幌市、名古屋市の「なの花薬局」5店舗にて、服薬指導を行った在宅患者向けに輸液パック・栄養剤の宅配サービスを実施している。当初は2017年度中にも順次全国展開を開始する予定であったが、現時点では慎重に事業展開を進めていく方針としている。とはいえ、政府の規制緩和策により遠隔医療サービスが今後普及すれば、薬剤師による遠隔での服薬指導も認められる可能性がある。服薬指導が遠隔でできるようになれば、処方薬の宅配サービス需要も拡大する可能性があり、今後の市場立ち上がりに向けてその準備体制を整えている段階にあるとも言える。
一方、「買い物支援サービス」については、2016年10月より小樽市、名古屋市にて対象商品を大人用紙おむつ(日本郵便との共同開発品で、生産は日本製紙クレシア(株)に委託)に絞って展開している。販売先は一定量が見込める介護施設や病院施設が中心で、徐々に実績を広げつつある。同サービスについても、当初は2017年度中に順次全国の施設向けに販売を開始する計画であったが、当面は慎重に事業を進めていく方針に切り替えている。まずは、収益モデルを確立してから全国展開していくことになると思われる。将来的には日用品や健康食品などに対象を広げていきたい考えだが、協業先である日本郵便の意向次第となる。
今後、超高齢化社会の到来によって在宅患者や要介護者数の増加が見込まれるなかで、宅配サービスの需要も高まることが予想される。実際、高齢者や介護者向けの宅配弁当サービスの市場は拡大している。調剤薬局業界において、こうした宅配サービスの取り組みは同社が先行しており、同事業が立ち上がれば中長期的に調剤薬局事業における競争力並びに収益力向上につながるものとして期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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