ユニリタ Research Memo(4):2018年3月期上期は期初予想を下回る進捗。大型案件の受注減などが原因
[17/12/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向等
● 2018 年3 月期上期決算の概要
ユニリタ<3800>の2018年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.9%減の3,311百万円、営業利益が同23.3%減の561百万円、経常利益が同20.9%減の643百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同23.0%減の435百万円と減収減益となり、期初予想を下回る進捗となった。
売上高は、需要が拡大している「クラウド事業」が伸びたものの、「プロダクト事業」及び「ソリューション事業」の落ち込みが業績の足を引っ張った。受注件数は増える傾向にある半面、前期のような大型案件の受注に至らなかったことが主因である。特に、「ソリューション事業」については、「プロダクト事業」の低迷に伴う技術支援サービスの受注減による影響が大きかった。また、営業と技術が一体となった新たな営業体制(上流からの提案活動)についても、上期中の成果には至らなかったと言える。一方、「メインフレーム事業」はわずかながら増収となった。
利益面でも、特別なコスト要因はなかったものの、減収に伴う収益の押し下げにより減益となり、営業利益率も17.0%(前年同期は21.5%)に低下した。特に、「ソリューション事業」(特に、技術支援サービス)の落ち込みが利益を圧迫したようだ。
財務面では、総資産が「投資有価証券」の増加※等により前期末比0.7%増の13,718百万円とわずかに増えた一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同2.9%増の11,012百万円に増加したことから、自己資本比率は80.3%(前期末は78.5%)と極めて高い水準を維持している。
※アイネットとの資本業務提携に伴うもの(議決権比率の0.6%に相当する10万株を立会外取引にて取得)。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) クラウド事業
売上高は前年同期比26.8%増の245百万円、営業損失は39百万円(前年同期は85百万円の営業損失)と増収増益により損失幅が縮小した。主力製品である「LMIS on cloud」がシステム運用コンサルティングとの連携等により前年同期比1.45倍に伸びたほか、「Be.Cloud」も同1.23倍と好調であった。ただ、事業全体では意欲的な計画に対して遅れが生じたようだ。一方、利益面では、まだ営業損失を計上しているものの、増収に伴って損失幅が大きく縮小し、黒字転換も見えてきた。
(2) プロダクト事業
売上高は前年同期比5.7%減の1,187百万円、営業利益が同22.1%減の145百万円と計画を下回る減収減益となった。主力の自動化領域及びETL領域において、受注件数は増える傾向にあるものの、前期のような大型案件の受注に至らなかったことが業績の落ち込みを招いた。また、構造的な問題として、製品のコモディティ化(差別化が難しい状況)の進展や、顧客の関心がより具体的なソリューションに向けられるなかで、これまでのようなミドルウェア製品※1単体による販売では、効果的な提案を行ううえで限界が生じているようだ。同社では、今期の活動方針に掲げるように、間接販売においてはパートナー企業との協業モデル化、直接販売においては業務ソリューション強化を推進し、上流(コンサルティング)からの提案活動による付加価値向上を図っているものの、上期中の成果には至らなかった。一方、BPMが大きく拡大※2したほか、バス事業者向けIoT型ソリューションやBCPなど、子会社によるプロダクトは順調に伸びている。
※1 ミドルウェアとは、OSとアプリケーションの間をつなぐ機能を担う。ある特定の分野に属するアプリケーションに対して、その分野に共通する機能や処理をアプリケーションに提供する。あるいは、ミドルウェア自体が中間処理やアプリケーションの制御をすることもある。したがって、システムに不可欠な機能であるとともに、ミドルウェアの性能がシステム全体の質を大きく左右すると言われている一方、ミドルウェア単体では具体的なソリューション(顧客の業務課題を直接解決)提案に限界がある。
※2 ロボットによる業務自動化を実現するため、現状の業務プロセスを可視化するニーズを捉えた提案が奏功した。
(3) ソリューション事業
売上高は前年同期比12.1%減の747百万円、営業利益は同85.8%減の17百万円と大きく後退した。「クラウド事業」との連携等により、システム運用コンサルティングが好調に推移したものの、1)「プロダクト事業」における既存の製品販売の伸び悩みに伴い、製品導入に伴う技術支援サービスが落ち込んだこと、2)BPMやデータマネジメントコンサルティングの大型案件が前年同期比で減少したことなどが減収要因となった。利益面でも、減収に伴う収益の押し下げが大幅な減益を招いた。
(4) メインフレーム事業
売上高は前年同期比2.2%増の1,130百万円、営業利益が同1.6%増の599百万円と計画を上回る増収増益となった。ホストコンピュータ更改を見据えた提案やシステムセンター統合時のリスク管理コンサルティング活動に注力した結果、市場全体が縮小傾向にあるなかでも業績を伸ばすことができた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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● 2018 年3 月期上期決算の概要
ユニリタ<3800>の2018年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.9%減の3,311百万円、営業利益が同23.3%減の561百万円、経常利益が同20.9%減の643百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同23.0%減の435百万円と減収減益となり、期初予想を下回る進捗となった。
売上高は、需要が拡大している「クラウド事業」が伸びたものの、「プロダクト事業」及び「ソリューション事業」の落ち込みが業績の足を引っ張った。受注件数は増える傾向にある半面、前期のような大型案件の受注に至らなかったことが主因である。特に、「ソリューション事業」については、「プロダクト事業」の低迷に伴う技術支援サービスの受注減による影響が大きかった。また、営業と技術が一体となった新たな営業体制(上流からの提案活動)についても、上期中の成果には至らなかったと言える。一方、「メインフレーム事業」はわずかながら増収となった。
利益面でも、特別なコスト要因はなかったものの、減収に伴う収益の押し下げにより減益となり、営業利益率も17.0%(前年同期は21.5%)に低下した。特に、「ソリューション事業」(特に、技術支援サービス)の落ち込みが利益を圧迫したようだ。
財務面では、総資産が「投資有価証券」の増加※等により前期末比0.7%増の13,718百万円とわずかに増えた一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同2.9%増の11,012百万円に増加したことから、自己資本比率は80.3%(前期末は78.5%)と極めて高い水準を維持している。
※アイネットとの資本業務提携に伴うもの(議決権比率の0.6%に相当する10万株を立会外取引にて取得)。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) クラウド事業
売上高は前年同期比26.8%増の245百万円、営業損失は39百万円(前年同期は85百万円の営業損失)と増収増益により損失幅が縮小した。主力製品である「LMIS on cloud」がシステム運用コンサルティングとの連携等により前年同期比1.45倍に伸びたほか、「Be.Cloud」も同1.23倍と好調であった。ただ、事業全体では意欲的な計画に対して遅れが生じたようだ。一方、利益面では、まだ営業損失を計上しているものの、増収に伴って損失幅が大きく縮小し、黒字転換も見えてきた。
(2) プロダクト事業
売上高は前年同期比5.7%減の1,187百万円、営業利益が同22.1%減の145百万円と計画を下回る減収減益となった。主力の自動化領域及びETL領域において、受注件数は増える傾向にあるものの、前期のような大型案件の受注に至らなかったことが業績の落ち込みを招いた。また、構造的な問題として、製品のコモディティ化(差別化が難しい状況)の進展や、顧客の関心がより具体的なソリューションに向けられるなかで、これまでのようなミドルウェア製品※1単体による販売では、効果的な提案を行ううえで限界が生じているようだ。同社では、今期の活動方針に掲げるように、間接販売においてはパートナー企業との協業モデル化、直接販売においては業務ソリューション強化を推進し、上流(コンサルティング)からの提案活動による付加価値向上を図っているものの、上期中の成果には至らなかった。一方、BPMが大きく拡大※2したほか、バス事業者向けIoT型ソリューションやBCPなど、子会社によるプロダクトは順調に伸びている。
※1 ミドルウェアとは、OSとアプリケーションの間をつなぐ機能を担う。ある特定の分野に属するアプリケーションに対して、その分野に共通する機能や処理をアプリケーションに提供する。あるいは、ミドルウェア自体が中間処理やアプリケーションの制御をすることもある。したがって、システムに不可欠な機能であるとともに、ミドルウェアの性能がシステム全体の質を大きく左右すると言われている一方、ミドルウェア単体では具体的なソリューション(顧客の業務課題を直接解決)提案に限界がある。
※2 ロボットによる業務自動化を実現するため、現状の業務プロセスを可視化するニーズを捉えた提案が奏功した。
(3) ソリューション事業
売上高は前年同期比12.1%減の747百万円、営業利益は同85.8%減の17百万円と大きく後退した。「クラウド事業」との連携等により、システム運用コンサルティングが好調に推移したものの、1)「プロダクト事業」における既存の製品販売の伸び悩みに伴い、製品導入に伴う技術支援サービスが落ち込んだこと、2)BPMやデータマネジメントコンサルティングの大型案件が前年同期比で減少したことなどが減収要因となった。利益面でも、減収に伴う収益の押し下げが大幅な減益を招いた。
(4) メインフレーム事業
売上高は前年同期比2.2%増の1,130百万円、営業利益が同1.6%増の599百万円と計画を上回る増収増益となった。ホストコンピュータ更改を見据えた提案やシステムセンター統合時のリスク管理コンサルティング活動に注力した結果、市場全体が縮小傾向にあるなかでも業績を伸ばすことができた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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