イグニス Research Memo(1):17/9期は積極的な事業投資により減益。成長への事業基盤の構築では一定の成果
[17/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売等を主力としている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立してきた。また、新規事業としてVRやIoTなどにも挑戦している。過去においては、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど、数多くの小規模アプリの量産が同社の成長を支えてきた。2015年9月期からは、これまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造改革に取り組み、その成果が具体的に形となってきた。ロングセラーゲームとして安定運営を持続している「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)に加えて、足元ではオンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)などが伸びてきており、新たな成長ステージを迎えている。
同社は、前期(2017年9月期)より2020年9月期までの中期経営計画をスタート。新たな成長軸が立ち上がってきたことから、既存事業を「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つの事業に枠組みを整理し、それぞれの維持・強化を図る一方、新たに複数の事業(ライフハック、VR、もう1つは未定)を順次立ち上げ、2020年にはすべて収益事業化することを目指している。2020年9月期の目標として、売上高150億円、営業利益60億円を掲げており、新規事業で営業利益の30%を稼ぎ出す構えである。
「中期経営計画の実現を目指した事業投資の年度」と位置付けた2017年9月期の業績は、売上高が前期比0.1%減の5,577百万円、営業利益が同94.3%減の83百万円と売上高はほぼ横ばいながら大幅な減益となった。積極的な事業投資が利益水準を引き下げたものの、期初に発表した同社の決算説明資料でも事業投資のことが触れられており、想定どおりの展開とみられる。売上高は、「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が消費税にかかる特殊要因の影響もあり、前期比で縮小したものの、オンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)の大幅な伸びなどにより横ばいを確保。一方、利益面では、新プロダクト開発や新規事業の立ち上げに伴う研究開発費のほか、「with」を中心とした広告宣伝費の増加、体制強化に伴うオフィス増床関連費用の発生等が大幅な減益を招く格好となった。また、新規事業の立ち上げを含め、幅広い分野への事業投資を実施し、今後の成長に向けた事業基盤(成長の種まき)の構築においては一定の成果を残したものと評価できる。
2018年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比25.5%増の7,000百万円と見込んでいるが、利益予想については現時点で開示はない。売上高は、2018年2月以降にリリースから4年目に突入する「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が若干縮小する可能性があるものの、足元好調な「with」(コミュニティ)の成長加速が増収に大きく寄与する想定である。また、「メディア(その他)」についても、「U-NOTE」の伸長に加えて、新規事業(フード関連やVRアイドル市場への参入など)の立ち上がりにより、小規模ながら大きく伸びる見通しである。なお、「GK(コードネーム)」(ネイティブゲーム)については、2017年12月18日に正式名称「メガスマッシュ」として公開され、事前登録を開始。リリースに向けて最終段階を迎えているものの、現時点で売上高予想においては控えめにみている模様。一方、利益面では、引き続き、事業基盤の構築を優先すべきフェーズにあり、継続的な事業投資(特に、テレビCMも視野に入れた広告宣伝費など)を想定しているが、その規模やタイミングについて合理的な見積りが困難であることから利益予想を開示していない。
弊社では、1)「ぼくとドラゴン」が縮小傾向にあるものの、依然として安定運営ができていること、2)「with」が外部要因(市場の拡大)及び内部要因(新機能の実装など)ともに成長加速に向けてフォローとなっていること、3)「U-NOTE」や新規事業についても一定水準の業績貢献が見込めることから、同社の業績予想の達成は十分可能であるとみている。注目すべきは、「GK(コードネーム)」改め「メガスマッシュ」の動向であるが、リリースの時期や立ち上がりの状況等によっては、業績の大幅な上振れ要因となる可能性にも注意が必要である。
■Key Points
・2017年9月期は積極的な事業投資により大幅な減益
・幅広い事業投資の実施により、今後の成長に向けた事業基盤の構築においては一定の成果
・2020年9月期を最終年度とする中期経営計画では、ストック型事業の強化や新規事業の立ち上げにより事業ポートフォリオの拡充と成長加速を目指す
・流動性の向上等を目的とした株式分割(1:2)を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売等を主力としている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立してきた。また、新規事業としてVRやIoTなどにも挑戦している。過去においては、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど、数多くの小規模アプリの量産が同社の成長を支えてきた。2015年9月期からは、これまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造改革に取り組み、その成果が具体的に形となってきた。ロングセラーゲームとして安定運営を持続している「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)に加えて、足元ではオンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)などが伸びてきており、新たな成長ステージを迎えている。
同社は、前期(2017年9月期)より2020年9月期までの中期経営計画をスタート。新たな成長軸が立ち上がってきたことから、既存事業を「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つの事業に枠組みを整理し、それぞれの維持・強化を図る一方、新たに複数の事業(ライフハック、VR、もう1つは未定)を順次立ち上げ、2020年にはすべて収益事業化することを目指している。2020年9月期の目標として、売上高150億円、営業利益60億円を掲げており、新規事業で営業利益の30%を稼ぎ出す構えである。
「中期経営計画の実現を目指した事業投資の年度」と位置付けた2017年9月期の業績は、売上高が前期比0.1%減の5,577百万円、営業利益が同94.3%減の83百万円と売上高はほぼ横ばいながら大幅な減益となった。積極的な事業投資が利益水準を引き下げたものの、期初に発表した同社の決算説明資料でも事業投資のことが触れられており、想定どおりの展開とみられる。売上高は、「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が消費税にかかる特殊要因の影響もあり、前期比で縮小したものの、オンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)の大幅な伸びなどにより横ばいを確保。一方、利益面では、新プロダクト開発や新規事業の立ち上げに伴う研究開発費のほか、「with」を中心とした広告宣伝費の増加、体制強化に伴うオフィス増床関連費用の発生等が大幅な減益を招く格好となった。また、新規事業の立ち上げを含め、幅広い分野への事業投資を実施し、今後の成長に向けた事業基盤(成長の種まき)の構築においては一定の成果を残したものと評価できる。
2018年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比25.5%増の7,000百万円と見込んでいるが、利益予想については現時点で開示はない。売上高は、2018年2月以降にリリースから4年目に突入する「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が若干縮小する可能性があるものの、足元好調な「with」(コミュニティ)の成長加速が増収に大きく寄与する想定である。また、「メディア(その他)」についても、「U-NOTE」の伸長に加えて、新規事業(フード関連やVRアイドル市場への参入など)の立ち上がりにより、小規模ながら大きく伸びる見通しである。なお、「GK(コードネーム)」(ネイティブゲーム)については、2017年12月18日に正式名称「メガスマッシュ」として公開され、事前登録を開始。リリースに向けて最終段階を迎えているものの、現時点で売上高予想においては控えめにみている模様。一方、利益面では、引き続き、事業基盤の構築を優先すべきフェーズにあり、継続的な事業投資(特に、テレビCMも視野に入れた広告宣伝費など)を想定しているが、その規模やタイミングについて合理的な見積りが困難であることから利益予想を開示していない。
弊社では、1)「ぼくとドラゴン」が縮小傾向にあるものの、依然として安定運営ができていること、2)「with」が外部要因(市場の拡大)及び内部要因(新機能の実装など)ともに成長加速に向けてフォローとなっていること、3)「U-NOTE」や新規事業についても一定水準の業績貢献が見込めることから、同社の業績予想の達成は十分可能であるとみている。注目すべきは、「GK(コードネーム)」改め「メガスマッシュ」の動向であるが、リリースの時期や立ち上がりの状況等によっては、業績の大幅な上振れ要因となる可能性にも注意が必要である。
■Key Points
・2017年9月期は積極的な事業投資により大幅な減益
・幅広い事業投資の実施により、今後の成長に向けた事業基盤の構築においては一定の成果
・2020年9月期を最終年度とする中期経営計画では、ストック型事業の強化や新規事業の立ち上げにより事業ポートフォリオの拡充と成長加速を目指す
・流動性の向上等を目的とした株式分割(1:2)を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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