MRO Research Memo(1):最新鋭の笠間DCがスムースに立ち上がり、生産性向上が進む予想
[17/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネット等を利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。259.8万口座(2017年9月末現在)の顧客に対して、1,300万点を超えるアイテムを販売する。
1. 2017年12月期第3四半期の単体業績
2017年12月期第2四半期単体業績は、売上高で前期比25.8%増の61,388百万円、営業利益で同24.7%増の8,819百万円、経常利益で同25.4%増の8,871百万円、四半期純利益で同32.0%増の6,248百万円と売上高・各利益ともに20%以上の高い成長だった。リスティング広告の強化、検索機能向上等のランディングページの改善などにより新規顧客獲得数が拡大。既存顧客売上は、今年3月からの利用頻度向上施策が奏功したことなど成長を維持した。さらに、大企業連携の社数が増加し、その利用が増えたことも増収に寄与した。費用面では、PB/輸入商品の利益率改善などのプラス要因があったものの、笠間DC開設関連費用が一時的に発生したことから物流関連コストは増加したが、販売管理費全体の売上比では前年同期を下回り、結果として、営業利益は前期比でも24.7%増と高い伸びを維持した。全般的には、笠間DC開設の本格的なコスト効果の実現は若干遅れているが、全体として予想を超える業績となった。
2. 今後の連結業績見通し
2017年12月期通期の連結業績予想は、売上高で前期比26.4%増の88,006百万円、営業利益で同24.2%増の11,795百万円、経常利益で同24.0%増の11,798百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同31.5%増の8,376百万円と、売上・各利益ともに高成長を維持する見通しであり、期初の予想は上方修正された。この計画が達成されれば、16期連続の増収、8期連続の増益を達成する。2017年12月期第3四半期の新規獲得口座数は390千件増となっており、今後の売上成長の原動力となる。スムースな立ち上げに成功した笠間DCの稼働率は今後一段と上がり、物流関連コストの低減が期待できる。以上の状況から、弊社では2017年12月期通期業績予想(上方修正後)は多少の余裕をもって着地できるものと見ている。
3. 業界最大級の笠間DCの立ち上げがスムースに完了。今後生産性向上が進む予想
同社は業界最大級の新物流拠点「笠間ディストリビューションセンター(笠間DC)」を2017年4月に本格稼働させ、これまでのところ運営は計画どおりであり、スムースな立ち上げに成功した。同社の物流コストは、売上比で5.9%(2016年(12月期)通期)であり、その半分以上を人件費・業務委託費(売上比で3.1%)が占めている。笠間DCは自動搬送ロボットが稼働する最新鋭のDCであり、減価償却費が上がる一方で人件費・業務委託費が大幅に下がるという大きな優位性がある。
2017年12月期上期は、笠間DCの本格立ち上げ(4月)、多賀城DCの閉鎖(5月)などによる二重の費用や一過性の費用が発生したため、物流関連コストは売上比で6.5%となった。笠間DCが安定稼働に入り、生産性がより高い笠間DC出荷比率が増えれば、物流関連コストは低下する。2017年12月期下期の物流関連コストは売上比で5.4%(前年同期比0.5ポイント減)と期初に計画されていたが、予想以上の増収が続くなか、下期においても尼崎DCの稼働も高く、下期修正計画は売上比5.9%となった。若干新DCの効果の刈り取りが遅れてはいるが、2017年12月期末には笠間DCからの出荷比率を全体の半分以上に持っていく計画だ。
■Key Points
・2017年12月期第3四半期は売上高・各利益ともに20%以上の高い成長を維持。一過性の物流関連コスト増を吸収して増益達成
・通期予想(上方修正後)達成へ順調に進捗
・最新鋭の笠間DCがスムースに立ち上がり、今後さらに生産性向上が進む予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネット等を利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。259.8万口座(2017年9月末現在)の顧客に対して、1,300万点を超えるアイテムを販売する。
1. 2017年12月期第3四半期の単体業績
2017年12月期第2四半期単体業績は、売上高で前期比25.8%増の61,388百万円、営業利益で同24.7%増の8,819百万円、経常利益で同25.4%増の8,871百万円、四半期純利益で同32.0%増の6,248百万円と売上高・各利益ともに20%以上の高い成長だった。リスティング広告の強化、検索機能向上等のランディングページの改善などにより新規顧客獲得数が拡大。既存顧客売上は、今年3月からの利用頻度向上施策が奏功したことなど成長を維持した。さらに、大企業連携の社数が増加し、その利用が増えたことも増収に寄与した。費用面では、PB/輸入商品の利益率改善などのプラス要因があったものの、笠間DC開設関連費用が一時的に発生したことから物流関連コストは増加したが、販売管理費全体の売上比では前年同期を下回り、結果として、営業利益は前期比でも24.7%増と高い伸びを維持した。全般的には、笠間DC開設の本格的なコスト効果の実現は若干遅れているが、全体として予想を超える業績となった。
2. 今後の連結業績見通し
2017年12月期通期の連結業績予想は、売上高で前期比26.4%増の88,006百万円、営業利益で同24.2%増の11,795百万円、経常利益で同24.0%増の11,798百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同31.5%増の8,376百万円と、売上・各利益ともに高成長を維持する見通しであり、期初の予想は上方修正された。この計画が達成されれば、16期連続の増収、8期連続の増益を達成する。2017年12月期第3四半期の新規獲得口座数は390千件増となっており、今後の売上成長の原動力となる。スムースな立ち上げに成功した笠間DCの稼働率は今後一段と上がり、物流関連コストの低減が期待できる。以上の状況から、弊社では2017年12月期通期業績予想(上方修正後)は多少の余裕をもって着地できるものと見ている。
3. 業界最大級の笠間DCの立ち上げがスムースに完了。今後生産性向上が進む予想
同社は業界最大級の新物流拠点「笠間ディストリビューションセンター(笠間DC)」を2017年4月に本格稼働させ、これまでのところ運営は計画どおりであり、スムースな立ち上げに成功した。同社の物流コストは、売上比で5.9%(2016年(12月期)通期)であり、その半分以上を人件費・業務委託費(売上比で3.1%)が占めている。笠間DCは自動搬送ロボットが稼働する最新鋭のDCであり、減価償却費が上がる一方で人件費・業務委託費が大幅に下がるという大きな優位性がある。
2017年12月期上期は、笠間DCの本格立ち上げ(4月)、多賀城DCの閉鎖(5月)などによる二重の費用や一過性の費用が発生したため、物流関連コストは売上比で6.5%となった。笠間DCが安定稼働に入り、生産性がより高い笠間DC出荷比率が増えれば、物流関連コストは低下する。2017年12月期下期の物流関連コストは売上比で5.4%(前年同期比0.5ポイント減)と期初に計画されていたが、予想以上の増収が続くなか、下期においても尼崎DCの稼働も高く、下期修正計画は売上比5.9%となった。若干新DCの効果の刈り取りが遅れてはいるが、2017年12月期末には笠間DCからの出荷比率を全体の半分以上に持っていく計画だ。
■Key Points
・2017年12月期第3四半期は売上高・各利益ともに20%以上の高い成長を維持。一過性の物流関連コスト増を吸収して増益達成
・通期予想(上方修正後)達成へ順調に進捗
・最新鋭の笠間DCがスムースに立ち上がり、今後さらに生産性向上が進む予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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