ランドコンピュ Research Memo(1):不採算プロジェクトの影響は終息へ、来期以降の再飛躍を図る
[18/01/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ランドコンピュータ<3924>は、今年創業46年を迎えた独立系の中堅システムインテグレータである。2017年3月期の売上高7,208百万円のサービスライン別内訳は、システムインテグレーション・サービスが71.9%、インフラソリューション・サービスが13.7%、パッケージベースSI・サービスが14.4%であった。
1. 堅調な需要
早くからメーカー系SIerと銀行系のシステム開発に従事している。売上高の7割強を占めるシステムインテグレーション・サービスのうち約4割が金融業界の案件となる。ITサービス業界にとって最大の顧客となる金融機関は、短期的な発注の変動があるものの、省力・省人化のためIT投資を進めているため中長期的に高水準な需要が継続される。同社には、大手SIerから増員要請が相次いでいる。同社が金融業界と並んでターゲットとする公共部門は、電子政府など行政部門における生産性改革や利便性の向上並びにセキュリティ強化などIT投資案件は多いものの、執行が停滞している。公共部門が加われば、同社がターゲットとする分野が出そろうことになる。業界全般にSE(ソフトウェアエンジニア)の不足感が強く、需要が堅調なことから、選別受注が可能な状況にある。トップラインを伸ばすには人員増が必要なため、現在は内部管理体制を整備することで不採算プロジェクトの撲滅を遂行し、利益性を高める経営施策を採っている。
2. 不採算プロジェクト撲滅に向けた管理体制の整備により、収益性は改善へ
2017年3月期は、パッケージベースSI・サービスの急成長のとがめが出て不採算プロジェクトが発生した。経常利益の前期比減少額152百万円(29.1%減)のうち、121百万円が2017年3月期発生の大口赤字プロジェクトと受注損失引当金の増加に起因した。2018年3月期第2四半期の経常利益は前年同期比30百万円減少したが、2018年3月期第2四半期の検収大口赤字プロジェクトの損失が61百万円発生したことが主な要因だ。2018年3月期下期は、受注損失引当金の翌期計上分がなくなり、検収プロジェクトも大口の損失がなくなる。ただし、不採算プロジェクト撲滅に向けた階層別研修などの教育強化及びPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)などプロジェクト管理に関連する人件費の増加が利益を抑える。2018年3月期は、レベルアップした管理体制を維持することで、不測の大口不採算プロジェクトの発生が防止され、前期に5%台に落ち込んだ売上高営業利益率は7%台への回復が見込まれる。
3. 中長期の成長戦略「Attack100」
経済産業省は、IT人材の不足を2016年時点の約17.1万人から2030年に最大78.9万人に拡大すると推計している。同社は、自社社員の増員にとどまらず、パートナー企業と戦略的関係を構築することで人材確保につとめ、また人員に縛られないサービスラインの拡大で成長性と収益性を獲得する意向だ。中長期の成長戦略「Attack100」で、2021年3月期に売上高100億円、営業利益10億円、売上高営業利益率10%を数値目標としている。システムインテグレーション・サービスとインフラソリューション・サービスの既存・安定成長サービスラインの事業戦略は、得意分野の更なる強化とする。創業以来培ってきたミッションクリティカルな金融機関の業務システム及びネットワーク関連のインフラソリューション・サービスに商機を見出す。高成長サービスラインの事業戦略は、クラウドコンピューティング・サービスの高伸長になる。内部体制の整備後にクラウドコンピューティング・サービスで再飛躍を図る。2017年6月に、Salesforce上で動作する自社開発の販売管理支援アプリケーション「necote」(ネコテ)を発表した。今後、品ぞろえを増やし、最終的には同社プラットフォーム上で自社及び他社のアプリケーションを組み合わせることで顧客の要望に応じたシステムを提供することを目指す。
■Key Points
・2018年3月期第2四半期は、前年同期比微増収、約20%の営業減益
・堅調な需要を背景に、内部管理体制の強化で収益性の向上を図る
・2021年3月期に売上高100億円、営業利益率10%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>
ランドコンピュータ<3924>は、今年創業46年を迎えた独立系の中堅システムインテグレータである。2017年3月期の売上高7,208百万円のサービスライン別内訳は、システムインテグレーション・サービスが71.9%、インフラソリューション・サービスが13.7%、パッケージベースSI・サービスが14.4%であった。
1. 堅調な需要
早くからメーカー系SIerと銀行系のシステム開発に従事している。売上高の7割強を占めるシステムインテグレーション・サービスのうち約4割が金融業界の案件となる。ITサービス業界にとって最大の顧客となる金融機関は、短期的な発注の変動があるものの、省力・省人化のためIT投資を進めているため中長期的に高水準な需要が継続される。同社には、大手SIerから増員要請が相次いでいる。同社が金融業界と並んでターゲットとする公共部門は、電子政府など行政部門における生産性改革や利便性の向上並びにセキュリティ強化などIT投資案件は多いものの、執行が停滞している。公共部門が加われば、同社がターゲットとする分野が出そろうことになる。業界全般にSE(ソフトウェアエンジニア)の不足感が強く、需要が堅調なことから、選別受注が可能な状況にある。トップラインを伸ばすには人員増が必要なため、現在は内部管理体制を整備することで不採算プロジェクトの撲滅を遂行し、利益性を高める経営施策を採っている。
2. 不採算プロジェクト撲滅に向けた管理体制の整備により、収益性は改善へ
2017年3月期は、パッケージベースSI・サービスの急成長のとがめが出て不採算プロジェクトが発生した。経常利益の前期比減少額152百万円(29.1%減)のうち、121百万円が2017年3月期発生の大口赤字プロジェクトと受注損失引当金の増加に起因した。2018年3月期第2四半期の経常利益は前年同期比30百万円減少したが、2018年3月期第2四半期の検収大口赤字プロジェクトの損失が61百万円発生したことが主な要因だ。2018年3月期下期は、受注損失引当金の翌期計上分がなくなり、検収プロジェクトも大口の損失がなくなる。ただし、不採算プロジェクト撲滅に向けた階層別研修などの教育強化及びPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)などプロジェクト管理に関連する人件費の増加が利益を抑える。2018年3月期は、レベルアップした管理体制を維持することで、不測の大口不採算プロジェクトの発生が防止され、前期に5%台に落ち込んだ売上高営業利益率は7%台への回復が見込まれる。
3. 中長期の成長戦略「Attack100」
経済産業省は、IT人材の不足を2016年時点の約17.1万人から2030年に最大78.9万人に拡大すると推計している。同社は、自社社員の増員にとどまらず、パートナー企業と戦略的関係を構築することで人材確保につとめ、また人員に縛られないサービスラインの拡大で成長性と収益性を獲得する意向だ。中長期の成長戦略「Attack100」で、2021年3月期に売上高100億円、営業利益10億円、売上高営業利益率10%を数値目標としている。システムインテグレーション・サービスとインフラソリューション・サービスの既存・安定成長サービスラインの事業戦略は、得意分野の更なる強化とする。創業以来培ってきたミッションクリティカルな金融機関の業務システム及びネットワーク関連のインフラソリューション・サービスに商機を見出す。高成長サービスラインの事業戦略は、クラウドコンピューティング・サービスの高伸長になる。内部体制の整備後にクラウドコンピューティング・サービスで再飛躍を図る。2017年6月に、Salesforce上で動作する自社開発の販売管理支援アプリケーション「necote」(ネコテ)を発表した。今後、品ぞろえを増やし、最終的には同社プラットフォーム上で自社及び他社のアプリケーションを組み合わせることで顧客の要望に応じたシステムを提供することを目指す。
■Key Points
・2018年3月期第2四半期は、前年同期比微増収、約20%の営業減益
・堅調な需要を背景に、内部管理体制の強化で収益性の向上を図る
・2021年3月期に売上高100億円、営業利益率10%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>