ランドコンピュ Research Memo(6):堅調な需要を背景に、内部管理体制の強化で収益性の向上を図る
[18/01/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2018年3月期の業績見通し
(1) 通期予想
ランドコンピュータ<3924>の2018年3月期の通期予想は、変更されていない。売上高は前期比4.6%増の7,540百万円、営業利益で同11.5%増の410百万円、経常利益で同9.7%増の408百万円、当期純利益で同10.5%増の268百万円と増収増益を見込む。
2017年3月期に大型不採算プロジェクトが発生したパッケージベースSI・サービスは、増収率が15.2%に抑えられている。内部体制を固めて、制度的にプロジェクト管理の厳格化を進めており、定着するまでの移行期間は営業活動を活発化しづらい。通期の予想売上高の達成は簡単ではないが、上期に期初予想を未達だった営業利益は、下期期中に予算の水準にキャッチアップする予定だ。
(2) 半期毎の動向
2018年3月期下期の営業利益は284百万円と前年同期比74百万円の増加が見込まれている。2017年3月期下期は、営業利益が210百万円、売上高営業利益率が5.6%だった。検収不採算プロジェクトによる損失金額が80百万円、受注損失引当金の翌上期計上分が20百万円、合計100百万円の減益要因があった。これらの不採算プロジェクトの影響を除いた営業利益は310百万円となり、計算上の売上高営業利益率は8.1%に上がる。2018年3月期下期は前年同期比6.9%の増収を見込んでおり、営業利益は前下期の不採算プロジェクトの影響を控除した水準を上回るはずだが、階層別研修などの不採算撲滅に向けた教育強化及びPMO等プロジェクト管理の人件費増加を織り込んで、利益額を284百万円、売上高営業利益率を7.0%としている。前年度に発生した不採算プロジェクトは、当上期末で収束しており、今下期に大きな損失の発生は見込まれていない。
2. 利益改善重点項目
2018年3月期は、利益改善重点項目として、不採算プロジェクトの撲滅とプロジェクトマネジャー体制の強化と早期育成を掲げた。不採算プロジェクトの発生を防ぐために、見積精度の向上や見積前提条件の変化に対応した迅速な再見積の実施だけでなく、プロジェクト計画の策定とプロジェクト定期監視の実施などに組織的に取り組んでいる。上流設計工程での設計品質の確実な作り込みや、失敗を繰り返さないための事例のナレッジ化を進める。
PMOは、従来プロジェクトマネジメント(PM)を支援する役割だが、現在、PM内部でプロジェクトマネジャーの早期育成を図っている。そのため、2016年3月期下期と2017年3月期期首に日立グループと富士通グループから4名の超上級PMを採用し、業界トップ企業で行われているプロジェクトマネジメントの浸透に努めている。今期上期は、内部管理体制を固めるための期間とし、下期から業績拡大に重点を移す。
3. サービスライン別動向
(1) システムインテグレーション・サービス(売上高予想:前期比+2.4%)
金融向けは、日立グループやNTTデータグループの新規参画案件の拡大を図る。(株)みずほ銀行のシステム統合プロジェクトが山を越えたことから、他社も受注獲得に動いており、競争が激化するだろう。同社は、官公庁向けシステム開発や直ユーザーとの一括請負化の拡大を目指す。産業・流通分野では、通信・社会インフラなど公共部門に近い、息の長い新規案件の獲得に注力する。
(2) インフラソリューション・サービス(同+5.2%)
システムインテグレーション・サービスと連携して商機を創出する。銀行・公共関係等のストックビジネスの受注拡大を狙う。
(3) パッケージベースSI・サービス(同+15.2%)
前期は55.4%の伸びを達成したが、2018年3月期は15.2%と伸び率が鈍化する見込みだ。Salesforce関連の200万〜300万円の小口案件は、2〜3ヶ月でカットオーバーと短期で終了する。前期は、1,000万円以上の大口案件の受注増加が大幅な増収に寄与する反面、不採算プロジェクトを発生させてしまった。その規模にふさわしい見積精度の向上と全体のシステム設計をするなど内部体制を固めた後に、再度の飛躍を図る。
同社は、2017年6月にSalesforce上で動作する自社開発の販売管理支援アプリケーション「necote」を発表した。同アプリケーションは、顧客管理〜商談管理〜見積・請求・入金・売掛管理までの流れを一括で管理する。複数システムでの二重管理・二重入力の手間をなくし、作業ミスや代金回収漏れを防止する。また、カスタマイズオプションにより会計連携を追加すれば、Salesforce上の情報を自動で会計システムに登録することもできる。一般的にSalesforce上に販売管理システムを構築すると、利用人数に関係なく数百万円〜数千万円の構築費用がかかるが、「necote」は1ユーザー単位の課金のため、少人数・低コストで始めることが可能だ。顧客管理・商談管理などは「Sales Cloud」を利用しているので、販売管理業務だけではなく営業支援にも活用できる。同社は、成長戦略の1つとして、自社のパッケージ開発及びサービス提供を積極的に進めていく。オリジナル商品のシリーズブランド名を「R&Driver」(ランドライバー)とし、「necote」はその第1弾となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>
1. 2018年3月期の業績見通し
(1) 通期予想
ランドコンピュータ<3924>の2018年3月期の通期予想は、変更されていない。売上高は前期比4.6%増の7,540百万円、営業利益で同11.5%増の410百万円、経常利益で同9.7%増の408百万円、当期純利益で同10.5%増の268百万円と増収増益を見込む。
2017年3月期に大型不採算プロジェクトが発生したパッケージベースSI・サービスは、増収率が15.2%に抑えられている。内部体制を固めて、制度的にプロジェクト管理の厳格化を進めており、定着するまでの移行期間は営業活動を活発化しづらい。通期の予想売上高の達成は簡単ではないが、上期に期初予想を未達だった営業利益は、下期期中に予算の水準にキャッチアップする予定だ。
(2) 半期毎の動向
2018年3月期下期の営業利益は284百万円と前年同期比74百万円の増加が見込まれている。2017年3月期下期は、営業利益が210百万円、売上高営業利益率が5.6%だった。検収不採算プロジェクトによる損失金額が80百万円、受注損失引当金の翌上期計上分が20百万円、合計100百万円の減益要因があった。これらの不採算プロジェクトの影響を除いた営業利益は310百万円となり、計算上の売上高営業利益率は8.1%に上がる。2018年3月期下期は前年同期比6.9%の増収を見込んでおり、営業利益は前下期の不採算プロジェクトの影響を控除した水準を上回るはずだが、階層別研修などの不採算撲滅に向けた教育強化及びPMO等プロジェクト管理の人件費増加を織り込んで、利益額を284百万円、売上高営業利益率を7.0%としている。前年度に発生した不採算プロジェクトは、当上期末で収束しており、今下期に大きな損失の発生は見込まれていない。
2. 利益改善重点項目
2018年3月期は、利益改善重点項目として、不採算プロジェクトの撲滅とプロジェクトマネジャー体制の強化と早期育成を掲げた。不採算プロジェクトの発生を防ぐために、見積精度の向上や見積前提条件の変化に対応した迅速な再見積の実施だけでなく、プロジェクト計画の策定とプロジェクト定期監視の実施などに組織的に取り組んでいる。上流設計工程での設計品質の確実な作り込みや、失敗を繰り返さないための事例のナレッジ化を進める。
PMOは、従来プロジェクトマネジメント(PM)を支援する役割だが、現在、PM内部でプロジェクトマネジャーの早期育成を図っている。そのため、2016年3月期下期と2017年3月期期首に日立グループと富士通グループから4名の超上級PMを採用し、業界トップ企業で行われているプロジェクトマネジメントの浸透に努めている。今期上期は、内部管理体制を固めるための期間とし、下期から業績拡大に重点を移す。
3. サービスライン別動向
(1) システムインテグレーション・サービス(売上高予想:前期比+2.4%)
金融向けは、日立グループやNTTデータグループの新規参画案件の拡大を図る。(株)みずほ銀行のシステム統合プロジェクトが山を越えたことから、他社も受注獲得に動いており、競争が激化するだろう。同社は、官公庁向けシステム開発や直ユーザーとの一括請負化の拡大を目指す。産業・流通分野では、通信・社会インフラなど公共部門に近い、息の長い新規案件の獲得に注力する。
(2) インフラソリューション・サービス(同+5.2%)
システムインテグレーション・サービスと連携して商機を創出する。銀行・公共関係等のストックビジネスの受注拡大を狙う。
(3) パッケージベースSI・サービス(同+15.2%)
前期は55.4%の伸びを達成したが、2018年3月期は15.2%と伸び率が鈍化する見込みだ。Salesforce関連の200万〜300万円の小口案件は、2〜3ヶ月でカットオーバーと短期で終了する。前期は、1,000万円以上の大口案件の受注増加が大幅な増収に寄与する反面、不採算プロジェクトを発生させてしまった。その規模にふさわしい見積精度の向上と全体のシステム設計をするなど内部体制を固めた後に、再度の飛躍を図る。
同社は、2017年6月にSalesforce上で動作する自社開発の販売管理支援アプリケーション「necote」を発表した。同アプリケーションは、顧客管理〜商談管理〜見積・請求・入金・売掛管理までの流れを一括で管理する。複数システムでの二重管理・二重入力の手間をなくし、作業ミスや代金回収漏れを防止する。また、カスタマイズオプションにより会計連携を追加すれば、Salesforce上の情報を自動で会計システムに登録することもできる。一般的にSalesforce上に販売管理システムを構築すると、利用人数に関係なく数百万円〜数千万円の構築費用がかかるが、「necote」は1ユーザー単位の課金のため、少人数・低コストで始めることが可能だ。顧客管理・商談管理などは「Sales Cloud」を利用しているので、販売管理業務だけではなく営業支援にも活用できる。同社は、成長戦略の1つとして、自社のパッケージ開発及びサービス提供を積極的に進めていく。オリジナル商品のシリーズブランド名を「R&Driver」(ランドライバー)とし、「necote」はその第1弾となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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