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ランドコンピュ Research Memo(7):2021年3月期に売上高100億円、営業利益率10%を目指す

注目トピックス 日本株
■ランドコンピュータ<3924>の中長期の成長戦略

1. 中長期の成長戦略「Attack100」
中長期の成長戦略「Attack100」では、最終年度となる2021年3月期の売上高を100億円、売上高営業利益率を10%としている。プロジェクトごとに利益率はばらつきがあり、不採算プロジェクトを皆無とすることは現実的ではないものの、内部管理体制を改善すれば、10%の営業利益率の実現は可能とみている。安定成長事業であるシステムインテグレーション・サービスやインフラソリューション・サービスに比べて、高成長事業であるパッケージベースSI・サービスは取り組みいかんではより高い収益性を実現できる。

2. サービスライン別事業戦略
2021年3月期の目標売上高100億円のサービスライン別内訳は、システムインテグレーション・サービスが68億円、2017年3月期比31%増、インフラソリューション・サービスが12億円、同21%増、パッケージベースSI・サービスが20億円、同93%増を計画している。

(1) 安定成長サービスラインの戦略
同社は、システムインテグレーション・サービスとインフラソリューション・サービスを既存・安定成長分野と位置付けている。同分野では得意分野の更なる強化を事業戦略とする。金融・公共のレガシー型システム開発では、同社が創業以来培ってきた業務経験と実績を生かし、同業他社を凌駕する。最大の顧客基盤であるメーカー系システムインテグレータとの関係を強化する。富士通グループに続く柱として、日立グループ及びNTTデータグループとのビジネスを深耕する。ITサービス業界の主要顧客となる金融機関の案件をさらに拡大する。システムインテグレーション・サービスでは、業種別ターゲットとして公共分野を10%までに拡大し、競争の激しい産業・流通のウエイトを落とす。産業、流通、医療、公共の分野では、直ユーザーと一括請負化を拡大する。責任は重くなるが、収益性の向上が狙える。

インフラソリューション・サービスは、ネットワークの多様化と仮想化技術へ積極的に対応する。インフラ人材育成と確保、及びSIサービスと連携して商機を創出する。

(2) 高成長サービスラインの事業戦略
高成長の実現を目指すパッケージベースSI・サービスは、Salesforce関連の導入支援やカスタマイズの大型案件を開拓する。新たなシステム・パッケージベンダのシステムインテグレータの開拓では、クラウドコンピューティングを利用したパッケージを検討している。また、自社アプリケーション開発による課金ビジネスをスタートする。人員にリンクしないビジネスの拡大を図る。

3. 収益性向上のための戦略
収益向上策は、2018年3月期の重点項目と重複する。すなわち、見積精度の向上、プロジェクト品質の向上、不調プロジェクトの撲滅の3項目になる。同社は、2016年5月の決算説明会において成長戦略と収益性を追求するマネジメント改革を発表した。2017年3月期第2四半期になって、不採算プロジェクトが発生したが、それを契機に外部から上級プロジェクトマネジャーを採用するなどの追加措置を講じた。一時的に収益が悪化したものの、改革に本腰を入れているため、中長期的に成果を生む確率が高まったと言えるだろう。

4. 独自性に関する戦略
独自性に関する成長戦略は、優秀な人材確保と育成である。同社資産(2017年3月期)の90.4%を流動資産が占め、有形固定資産と無形固定資産の割合はそれぞれ2.6%、1.0%でしかない。人材こそがアセットであり、売上高と利益を生み出す源泉となる。プロジェクトマネジメント力の強化の一環として、PMP資格の取得推進をしている。人材強化に対する投資として、プロジェクトマネジメント力の強化、スペシャリストの育成、人材の確保、パートナー制度の強化に取り組む。現在行っている階層別教育は全社員を対象としているが、さらに選抜組を対象により高度な教育を行うことで能力を伸ばす。

ITサービス業界では顧客ニーズがウォーターフォール開発の「受託開発物の納品」からアジャイル開発の「顧客価値の創造」にシフトしつつあり、「受託システム開発型」から「提案サービス提供型」へのビジネスモデルの転換が求められる。顧客は、ITシステムに関して「ハードウェアの所有」や「システムの開発」から、クラウドコンピューティングの浸透もあり、システムを所有せずに「利用する」に移行しつつある。同社は、IT技術と顧客業務ノウハウの両面について高度な専門知識を持つスペシャリストの育成に努める。そのような人材が市場競争力の源泉となる。優れた要件定義ができ、顧客満足度も高めることができる。

業容拡大には、自社の人材確保のみならずパートナー企業の囲い込みが不可欠となる。優良なパートナー企業の拡充とコアパートナー制度を導入して、長期的な協力体制を強化する。戦略的に選定したコアパートナーに対しては、経営者と常時コンタクトを取り、安定的なビジネスの発注に心掛ける。同社は、目標売上高100億円の達成には、M&Aなしでも、パートナー制度の強化で可能とみている。今春の新人研修に当たっては、自社社員だけでなく、パートナー企業の新人も参加させている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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