ソルクシーズ Research Memo(6):2018年12月期は不採算プロジェクトが一巡し、増収増益に転じる見通し
[18/02/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2018年12月期の業績見通し
ソルクシーズ<4284>の2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比2.9%減の13,600百万円、営業利益が同21.8%増の610百万円、経常利益が同10.7%減の610百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.1%減の390百万円となる見通し。売上高が減収となるのは、ソフトウェア開発事業において金融業界向けの特定案件で開発遅延が発生し、同案件の検収を最優先で取り組むため、受注活動を現状は手控えていることが影響する。同案件に関しては当第1四半期に検収予定だったものが第2四半期までずれ込む見通しとなっている。途中で仕様変更等があったためだが、ずれ込む分の人件費がコスト増要因となる。このため、上期の業績は売上高で前年同期比7.3%減の6,500百万円、営業利益で同14.5%減の200百万円と減収減益となり、同案件の影響がなくなる下期以降増収増益に転じる見通しとなっている。ただ、同案件の検収時期が再度遅延するようだと、業績が下振れする可能性がある点には留意する必要がある。
なお、販管費が前期比10.2%増と増加するが、これは人員体制の強化に伴う人件費増や内部管理体制の強化などが主因となっている。また、経常利益については前期に計上したデリバティブ評価益がなくなるため、通期で前期比10.7%減と減益に転じる見通しだ。
2. 事業別の見通し
ソルクシーズ<4284>の事業セグメント別の売上高は、ソフトウェア開発事業が前期比3.4%減の13,233百万円となる見通し。内訳としては、SI/受託開発事業が同7.5%減の11,387百万円と減収となる一方で、ソリューション事業が同33.8%増の1,846百万円と2ケタ増収を見込む。
SI/受託開発については、銀行や証券向けの受託開発が前期と同様の理由により減収となるほか、クレジット向けも開発案件が一巡することにより減収となる。一方、子会社ではエクスモーションやコアネクストが2ケタ増収と好調を持続する。エクスモーションについては自動運転など次世代車載システムの開発支援コンサルティングに対する需要が引き続き旺盛で、前期比10%程度の増収が見込まれる。コンサルタントやエンジニア等の専門職の人材については年間で10名程度を採用(大半は中途採用)する予定で、増大するコンサルティングニーズに応えていく。また、コアネクストも証券バイサイド向けの開発案件が増加しており、前期比10%増収が見込まれる。
計画上は前期並みの売上水準を見込んでいるイー・アイ・ソルについても、今後のIoTソリューションに関する受注状況次第では増収が期待される。2017年12月期に大手メーカーに導入したIoTシステムが好評で、2018年に入ってから同メーカーの顧客へも営業提案活動を進めている。同システムは工場内の製造装置が発する「音」や「振動」の変化をセンサーで収集し、「見える化」するシステムとなる。同社が計測・制御分野で蓄積してきた組込み系システムの開発力が生かされた格好と言える。IoTシステムについては生産性向上に寄与するツールとして2018年度から設備投資減税の対象となっていることもあり、今後の受注拡大が期待される。同社についてはそのほかにも、自動運転技術に関する次世代車載システムの共同開発も進めている。2017年12月期の売上高は4億円前後と推定されるが、エクスモーションと同様、業績拡大期待の大きい子会社として弊社では注目している。
一方、ソリューション事業が前期比33.8%増と大きく伸びる計画となっている。これは主要顧客の1社であるコメリ向けの特定案件の増加が主因だが、戦略分野であるクラウドサービスについても契約社数の増加による増収を見込んでいる。クラウドサービスについては、2017年3月にサービス名を「CSO(Cloud Shared Office)」から「Fleekdrive」(クラウド型ファイル共有サービス)、「Fleekform」(クラウド帳票サービス)に改称し、同時に機能強化を図ったが※、システムの不具合対応に時間がかかったことにより、2017年12月期末の契約社数は約200社(2016年12月期末は約160社)と当初目標の300社に届かなかった。ただ、システムの改修も完了し、マネジメント人材も採用するなど営業体制を強化したこと、2018年上期中にはASEANで拡販を開始すること等により契約社数の増加ペースが加速し、期末時点で300社を目標として掲げており、300社までいけば月次ベースで黒字化できる見通し。同社では黒字化した段階で分社化し、株式上場を目指していくことを視野に入れている。
※クラウド上の同じファイル(Word,Excel等)をブラウザ上で複数人が同時に編集できるファイル・コラボレーション機能を開発。ASPIC主催の「第11回ASPIC IoT・クラウドアワード2017」において、「委員会賞」を受賞している。
デジタルサイネージ事業については前期比18.9%増の366百万円と4期ぶりの増収に転じる見通し。アミューズメント施設向けについては市場環境が厳しいため低迷が続くものの、前期に販売代理店契約を締結した高千穂交易のセキュリティシステムを東北エリアのスーパーや病院、図書館などに拡販していく計画となっている。受注実績も出始めており、増収増益に寄与する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2018年12月期の業績見通し
ソルクシーズ<4284>の2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比2.9%減の13,600百万円、営業利益が同21.8%増の610百万円、経常利益が同10.7%減の610百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.1%減の390百万円となる見通し。売上高が減収となるのは、ソフトウェア開発事業において金融業界向けの特定案件で開発遅延が発生し、同案件の検収を最優先で取り組むため、受注活動を現状は手控えていることが影響する。同案件に関しては当第1四半期に検収予定だったものが第2四半期までずれ込む見通しとなっている。途中で仕様変更等があったためだが、ずれ込む分の人件費がコスト増要因となる。このため、上期の業績は売上高で前年同期比7.3%減の6,500百万円、営業利益で同14.5%減の200百万円と減収減益となり、同案件の影響がなくなる下期以降増収増益に転じる見通しとなっている。ただ、同案件の検収時期が再度遅延するようだと、業績が下振れする可能性がある点には留意する必要がある。
なお、販管費が前期比10.2%増と増加するが、これは人員体制の強化に伴う人件費増や内部管理体制の強化などが主因となっている。また、経常利益については前期に計上したデリバティブ評価益がなくなるため、通期で前期比10.7%減と減益に転じる見通しだ。
2. 事業別の見通し
ソルクシーズ<4284>の事業セグメント別の売上高は、ソフトウェア開発事業が前期比3.4%減の13,233百万円となる見通し。内訳としては、SI/受託開発事業が同7.5%減の11,387百万円と減収となる一方で、ソリューション事業が同33.8%増の1,846百万円と2ケタ増収を見込む。
SI/受託開発については、銀行や証券向けの受託開発が前期と同様の理由により減収となるほか、クレジット向けも開発案件が一巡することにより減収となる。一方、子会社ではエクスモーションやコアネクストが2ケタ増収と好調を持続する。エクスモーションについては自動運転など次世代車載システムの開発支援コンサルティングに対する需要が引き続き旺盛で、前期比10%程度の増収が見込まれる。コンサルタントやエンジニア等の専門職の人材については年間で10名程度を採用(大半は中途採用)する予定で、増大するコンサルティングニーズに応えていく。また、コアネクストも証券バイサイド向けの開発案件が増加しており、前期比10%増収が見込まれる。
計画上は前期並みの売上水準を見込んでいるイー・アイ・ソルについても、今後のIoTソリューションに関する受注状況次第では増収が期待される。2017年12月期に大手メーカーに導入したIoTシステムが好評で、2018年に入ってから同メーカーの顧客へも営業提案活動を進めている。同システムは工場内の製造装置が発する「音」や「振動」の変化をセンサーで収集し、「見える化」するシステムとなる。同社が計測・制御分野で蓄積してきた組込み系システムの開発力が生かされた格好と言える。IoTシステムについては生産性向上に寄与するツールとして2018年度から設備投資減税の対象となっていることもあり、今後の受注拡大が期待される。同社についてはそのほかにも、自動運転技術に関する次世代車載システムの共同開発も進めている。2017年12月期の売上高は4億円前後と推定されるが、エクスモーションと同様、業績拡大期待の大きい子会社として弊社では注目している。
一方、ソリューション事業が前期比33.8%増と大きく伸びる計画となっている。これは主要顧客の1社であるコメリ向けの特定案件の増加が主因だが、戦略分野であるクラウドサービスについても契約社数の増加による増収を見込んでいる。クラウドサービスについては、2017年3月にサービス名を「CSO(Cloud Shared Office)」から「Fleekdrive」(クラウド型ファイル共有サービス)、「Fleekform」(クラウド帳票サービス)に改称し、同時に機能強化を図ったが※、システムの不具合対応に時間がかかったことにより、2017年12月期末の契約社数は約200社(2016年12月期末は約160社)と当初目標の300社に届かなかった。ただ、システムの改修も完了し、マネジメント人材も採用するなど営業体制を強化したこと、2018年上期中にはASEANで拡販を開始すること等により契約社数の増加ペースが加速し、期末時点で300社を目標として掲げており、300社までいけば月次ベースで黒字化できる見通し。同社では黒字化した段階で分社化し、株式上場を目指していくことを視野に入れている。
※クラウド上の同じファイル(Word,Excel等)をブラウザ上で複数人が同時に編集できるファイル・コラボレーション機能を開発。ASPIC主催の「第11回ASPIC IoT・クラウドアワード2017」において、「委員会賞」を受賞している。
デジタルサイネージ事業については前期比18.9%増の366百万円と4期ぶりの増収に転じる見通し。アミューズメント施設向けについては市場環境が厳しいため低迷が続くものの、前期に販売代理店契約を締結した高千穂交易のセキュリティシステムを東北エリアのスーパーや病院、図書館などに拡販していく計画となっている。受注実績も出始めており、増収増益に寄与する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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