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ビジョン Research Memo(9):旅行関連サービスプラットフォームを新たな収益柱として育成し、成長を加速化

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 今後の成長戦略について
ビジョン<9416>は、中期経営計画・目標は公表していないが、「世の中の情報通信産業革命に貢献する」という経営理念に沿って、主要2事業の成長戦略を着実に実行することにより、永続的な成長を目指している。特に、グローバルWiFi事業においては、Wi-Fiルーターのレンタルサービスの高成長が当面続きそうなほか、その顧客基盤を活用した旅行関連サービスプラットフォーム事業を育成していくことで、中期的な利益成長を加速化していく戦略となっている。

グローバルWiFi事業では、市場を第1ステージ:アウトバウンド(日本から海外へ渡航する人)の展開、第2ステージ:インバウンド(海外から日本へ渡航する人)の展開、第3ステージ:海外から海外へ渡航する人の展開、の3つのステージに区分し、各ステージに応じたサービス展開を進め事業規模を拡大していく考えだ。

それぞれの市場規模について見ると、現在の主力となっている第1ステージのアウトバウンド市場については、日本人の海外旅行者数が年間1,700万人程度で今後も安定的に推移していくことが見込まれている。一方、第2ステージのインバウンド市場である訪日外国人旅行者数は2017年で2,800万人を超え、政府目標である2020年の4,000万人に向け順調に拡大している。最後に、第3ステージである世界の海外渡航者数の市場規模は2017年で年間13億人規模の巨大市場となっている。

同社の顧客平均単価をもとに算出した各ステージにおける2017年時点での潜在市場規模は、第1ステージで約1,251億円、第2ステージで約2,008億円、第3ステージで約9兆円超となっており、現在主力のアウトバウンド市場だけでみても依然、成長余地は大きいと言える。2017年のグローバルWiFi事業のうち、アウトバウンド全体に占めるサービス利用率は11.7%と年々上昇傾向にある。市場シェアが約5割としてWiFiレンタルサービス全体の普及率はまだ全体の2割強にとどまっており、こうした観点からも成長余地は大きいと言える。

また、インバウンド需要に対する利用率は2017年で2.2%にとどまっている。同社では、タッチポイントや「スマートエントリー」の増設など利便性の向上を図ることで顧客獲得を目指していく戦略だ。一方、第3ステージに関しては、既存進出先である韓国、台湾、米国等で現地需要の取り込みを進めていく方針となっている。最大市場である中国市場に関しては価格競争が激しく、採算性の面から同社は参入を見送っている。また、欧米市場についてはWiFiルーターをレンタルする文化がまだ根付いておらず、競合事業者もほとんどないため、当面はWebプロモーション施策によって需要の掘り起こしを進めていく方針となっている。

一方、情報通信サービス事業に関しては、顧客企業の成長ステージに合わせ最適なサービスを最適なタイミングで提供するストック型ビジネスモデルを強化していくという従来の方針を継続していくことで、安定成長を目指す方針となっている。同社の主要ターゲットとなるスタートアップ、ベンチャー企業は政策による追い風もあって今後も年間で10万件を超える企業が新設されていくものと予想され、同社にとってはこれら新規顧客を確実に取り込むことによって、事業を拡大していく戦略となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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