シノケンG Research Memo(5):すべての事業セグメントで2ケタ増収を達成
[18/03/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) 不動産販売事業
シノケングループ<8909>の不動産販売事業の業績は、売上高が前期比34.5%増の79,578百万円、セグメント利益が同21.3%増の11,333百万円となった。このうち、アパート販売については豊富な受注残を背景に、売上高が前期比48.2%増の61,368百万円と大幅増収となった。受注に関しては同4.7%増の66,324百万円と伸び率こそ鈍化したものの、業界全体に陰りが見え始めるなかで堅調を持続し、受注残高も前期末比で9.6%増の56,115百万円と高水準を維持している。前述したとおり、同社は需要が見込める主要都市の人気エリアを販売対象として土地の仕込みを行っていることや、約27年間の実績により金融機関や保証会社との良好な関係が構築できており、金融機関からの融資姿勢についても従来と変わりないことなどが要因と考えられる。
日本銀行<8301>が発表した2017年の個人による貸家業向け新規貸出額は前年比で14.2%減と3年ぶりに減少に転じたほか、貸家着工棟数も同0.2%増の419千棟とほぼ横ばいにとどまるなかで、同社の相対的な強さが目立ち業界シェアも拡大したものと考えられる。
地域別販売構成比(棟数ベース)を見ると、注力地域である東京エリアが前期の24.3%から29.2%と上昇したほか、2015年より進出を開始した関西エリア(京阪神)も13.4%から16.2%へと上昇するなど、戦略的に開拓を進めている地域で順調に販売が進んだことが好調の要因につながったと見ることができる。東京エリアの販売構成が上昇したことが利益率の低下要因となったものの、今後も単身者の世帯数増加が見込まれる東京エリアでの販売強化を進めていく方針で、中期的には全体の5割程度まで引き上げていくことは可能と見られる。また、関西エリアについても同様に、今後構成比は上昇していくものと予想される。
一方、マンション販売の売上高は前期比2.7%増の18,209百万円となった。期初計画では前期の水準が高かったこともあり若干減収で見ていたが、東京エリアにおいて投資用のデザイナーズマンションの販売が順調に推移したことで増収となった。受注高に関しては前期比1.8%増の16,916百万円、期末受注残高は前期比43.1%減の1,706百万円となった。マンション販売事業についてはリスク許容範囲内で年間販売戸数を一定水準に保つ方針となっている。
(2) 不動産管理関連事業
不動産管理関連事業の業績は、売上高が前期比21.7%増の10,229百万円、セグメント利益が同27.7%増の1,499百万円となった。アパート販売の大幅伸長による入居者数の増加を背景に、賃貸管理収入や家賃等の債務保証サービスや少額短期保険の契約件数が増加し、増収増益要因となった。
主力の賃貸管理はアパート販売棟数の増加や管理物件の入居率維持・向上に努めたことにより、2017年12月期末の管理戸数で前期末比24.2%増の27,358戸となった。また、分譲マンション管理についても管理物件の資産価値の維持・向上並びに管理組合向けのサービスレベル向上に取り組んだことにより、管理戸数で同14.3%増の5,361戸と着実に増加した。
一方、家賃等の債務保証サービスについては、入居者向けの保証件数拡大に向けた保証プランの充実や新規顧客の獲得を図るとともに保証家賃等の回収率向上に努め、また、少額短期保険についても保険商品の充実と新規契約の獲得に努めたことで、いずれも順調に拡大したと見られる。2017年12月期末における家賃滞納保証サービスの契約件数は、前期末比26.1%増の21,600件となり、保証額も同27.7%増の1,327百万円に拡大している。
(3) ゼネコン事業
ゼネコン事業の業績は、売上高が前期比15.2%増の13,532百万円、セグメント利益が同0.3%増の1,452百万円となった。既存顧客からの受注に加えて、新興デベロッパーなど新規顧客を開拓してきたことが奏功し2ケタ増収となった。内部取引売上高(グループのマンション建築請負等)は同6.6%増の4,508百万円となり、総売上高は同12.9%増の18,041百万円となった。セグメント利益が伸び悩んだ格好となっているが、これはセグメント間取引調整等の影響によるもので、小川建設の業績そのものは利益ベースでも着実に成長を続けている。
(4) エネルギー事業
エネルギー事業の業績は、売上高が前期比41.2%増の1,199百万円、セグメント利益が同64.4%増の224百万円となった。LPガスの2017年12月期末の供給世帯数は、アパート販売棟数の増加により前期末比30.9%増の26,849世帯に拡大し、また、2017年4月より新たに開始した電力の小売販売は、2017年12月期末で6,000世帯を超える契約を獲得するなど順調に拡大した。電力小売販売が加わったことで、1世帯当たりから得られる収益が増加し、利益率の向上につながった。
(5) 介護事業
介護事業の業績は、売上高が前期比20.4%増の1,256百万円、セグメント利益が同27.2%減の94百万円となった。既存の施設やサービスについては堅調に推移したが、2017年6月に福岡エリアで認知症対応型グループホーム及び小規模多機能型居宅介護施設「フレンド香住ヶ丘」を開設したことによる先行費用の計上が減益要因となった。ただ、同グループホームについては開設からすぐに募集定員に達するなど、順調な立ち上がりを見せている。このため下半期だけで見れば売上高は前年同期比22.5%増の670百万円、セグメント利益は同12.8%増の69百万円と2ケタ増収増益となっている。なお、利益率が7.5%と同社の事業セグメントの中では唯一10%を下回っているが、これはのれん償却費用107百万円を計上しているためで、のれん償却前利益ベースで見ると16.0%と全社平均を上回る水準となっている。
(6) その他
その他は、売上高が前期比0.7%増の139百万円、セグメント利益が同34.2%増の182百万円となった。海外事業についてはインドネシアのジャカルタで「桜テラス」ブランドによる投資用アパート事業の本格展開を進めており、第1号案件(65戸)が2018年中に完成する予定となっている。
一方、国内では新規事業として「リノベ×投資用マンション」事業を発表したほか、(株)chaintopeと資本業務提携を行い、ブロックチェーン技術を活用した新たな不動産関連サービスの開発(スマートロック、デジタル通貨「シノケンコイン」による電子決済サービス等)に着手している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MW>
2. 事業セグメント別の動向
(1) 不動産販売事業
シノケングループ<8909>の不動産販売事業の業績は、売上高が前期比34.5%増の79,578百万円、セグメント利益が同21.3%増の11,333百万円となった。このうち、アパート販売については豊富な受注残を背景に、売上高が前期比48.2%増の61,368百万円と大幅増収となった。受注に関しては同4.7%増の66,324百万円と伸び率こそ鈍化したものの、業界全体に陰りが見え始めるなかで堅調を持続し、受注残高も前期末比で9.6%増の56,115百万円と高水準を維持している。前述したとおり、同社は需要が見込める主要都市の人気エリアを販売対象として土地の仕込みを行っていることや、約27年間の実績により金融機関や保証会社との良好な関係が構築できており、金融機関からの融資姿勢についても従来と変わりないことなどが要因と考えられる。
日本銀行<8301>が発表した2017年の個人による貸家業向け新規貸出額は前年比で14.2%減と3年ぶりに減少に転じたほか、貸家着工棟数も同0.2%増の419千棟とほぼ横ばいにとどまるなかで、同社の相対的な強さが目立ち業界シェアも拡大したものと考えられる。
地域別販売構成比(棟数ベース)を見ると、注力地域である東京エリアが前期の24.3%から29.2%と上昇したほか、2015年より進出を開始した関西エリア(京阪神)も13.4%から16.2%へと上昇するなど、戦略的に開拓を進めている地域で順調に販売が進んだことが好調の要因につながったと見ることができる。東京エリアの販売構成が上昇したことが利益率の低下要因となったものの、今後も単身者の世帯数増加が見込まれる東京エリアでの販売強化を進めていく方針で、中期的には全体の5割程度まで引き上げていくことは可能と見られる。また、関西エリアについても同様に、今後構成比は上昇していくものと予想される。
一方、マンション販売の売上高は前期比2.7%増の18,209百万円となった。期初計画では前期の水準が高かったこともあり若干減収で見ていたが、東京エリアにおいて投資用のデザイナーズマンションの販売が順調に推移したことで増収となった。受注高に関しては前期比1.8%増の16,916百万円、期末受注残高は前期比43.1%減の1,706百万円となった。マンション販売事業についてはリスク許容範囲内で年間販売戸数を一定水準に保つ方針となっている。
(2) 不動産管理関連事業
不動産管理関連事業の業績は、売上高が前期比21.7%増の10,229百万円、セグメント利益が同27.7%増の1,499百万円となった。アパート販売の大幅伸長による入居者数の増加を背景に、賃貸管理収入や家賃等の債務保証サービスや少額短期保険の契約件数が増加し、増収増益要因となった。
主力の賃貸管理はアパート販売棟数の増加や管理物件の入居率維持・向上に努めたことにより、2017年12月期末の管理戸数で前期末比24.2%増の27,358戸となった。また、分譲マンション管理についても管理物件の資産価値の維持・向上並びに管理組合向けのサービスレベル向上に取り組んだことにより、管理戸数で同14.3%増の5,361戸と着実に増加した。
一方、家賃等の債務保証サービスについては、入居者向けの保証件数拡大に向けた保証プランの充実や新規顧客の獲得を図るとともに保証家賃等の回収率向上に努め、また、少額短期保険についても保険商品の充実と新規契約の獲得に努めたことで、いずれも順調に拡大したと見られる。2017年12月期末における家賃滞納保証サービスの契約件数は、前期末比26.1%増の21,600件となり、保証額も同27.7%増の1,327百万円に拡大している。
(3) ゼネコン事業
ゼネコン事業の業績は、売上高が前期比15.2%増の13,532百万円、セグメント利益が同0.3%増の1,452百万円となった。既存顧客からの受注に加えて、新興デベロッパーなど新規顧客を開拓してきたことが奏功し2ケタ増収となった。内部取引売上高(グループのマンション建築請負等)は同6.6%増の4,508百万円となり、総売上高は同12.9%増の18,041百万円となった。セグメント利益が伸び悩んだ格好となっているが、これはセグメント間取引調整等の影響によるもので、小川建設の業績そのものは利益ベースでも着実に成長を続けている。
(4) エネルギー事業
エネルギー事業の業績は、売上高が前期比41.2%増の1,199百万円、セグメント利益が同64.4%増の224百万円となった。LPガスの2017年12月期末の供給世帯数は、アパート販売棟数の増加により前期末比30.9%増の26,849世帯に拡大し、また、2017年4月より新たに開始した電力の小売販売は、2017年12月期末で6,000世帯を超える契約を獲得するなど順調に拡大した。電力小売販売が加わったことで、1世帯当たりから得られる収益が増加し、利益率の向上につながった。
(5) 介護事業
介護事業の業績は、売上高が前期比20.4%増の1,256百万円、セグメント利益が同27.2%減の94百万円となった。既存の施設やサービスについては堅調に推移したが、2017年6月に福岡エリアで認知症対応型グループホーム及び小規模多機能型居宅介護施設「フレンド香住ヶ丘」を開設したことによる先行費用の計上が減益要因となった。ただ、同グループホームについては開設からすぐに募集定員に達するなど、順調な立ち上がりを見せている。このため下半期だけで見れば売上高は前年同期比22.5%増の670百万円、セグメント利益は同12.8%増の69百万円と2ケタ増収増益となっている。なお、利益率が7.5%と同社の事業セグメントの中では唯一10%を下回っているが、これはのれん償却費用107百万円を計上しているためで、のれん償却前利益ベースで見ると16.0%と全社平均を上回る水準となっている。
(6) その他
その他は、売上高が前期比0.7%増の139百万円、セグメント利益が同34.2%増の182百万円となった。海外事業についてはインドネシアのジャカルタで「桜テラス」ブランドによる投資用アパート事業の本格展開を進めており、第1号案件(65戸)が2018年中に完成する予定となっている。
一方、国内では新規事業として「リノベ×投資用マンション」事業を発表したほか、(株)chaintopeと資本業務提携を行い、ブロックチェーン技術を活用した新たな不動産関連サービスの開発(スマートロック、デジタル通貨「シノケンコイン」による電子決済サービス等)に着手している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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