アイエスビー Research Memo(4):主要顧客である国内大手スマホメーカーの開発縮小をIoT関連でカバー
[18/03/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業分野別動向
1. 携帯端末
アイ・エス・ビー<9702>の2017年12月期通期の売上高は、前年同期比1.0%減の2,261百万円となった。主要顧客のスマートフォン開発は縮減基調が続いているが、IoT関連の開発案件の受注が増加したため、最終的には前期比微減での着地となった。
2018年12月期については、前期比26.1%減の1,670百万円を計画している。主要顧客である国内の主力スマートフォンの事業縮小基調が続く見通しとなっていることが主因だ。さらに、前期において受注が伸びたIoT関連の受託開発を、2018年12月期からは組込みへと移管するため、予想減収率が26.1%に拡大している。
5G関連の開発・検証需要が拡大
2. モバイルインフラ
2017年12月期は前期比16.8%増の1,335百万円となった。研究開発案件が踊り場を迎えたことで、ここ数年は売上高の水準が大きく落ち込んでいるが、そうしたなかで基地局案件の開発・検証や5G活用案件の受注増により前期比増収となった。
2018年12月期は前期比横ばいの1,343百万円を計画している。現行の基地局装置についての開発・検証事業は縮小していく一方、5G装置の開発・検証案件の受注拡大によって吸収し、全体では前期並みの水準確保を目指している。
Qt(キュート)は順調な拡大が続く。人手不足による受注の取りこぼしがあったが2018年度は社内体制を整えて受注拡大を狙う
3. 組込み
2017年12月期の売上高は前期比1.2%減の3,557百万円となった。予想に対して約300百万円の下振れとなり、同社の売上高の伸び悩みの主要因となった。同社が注力するQt(キュート)関連業務は順調に売上を伸ばしたほか、AV・家電向けも拡大した。しかし、医療機器関連や車載関連業務が足を引っ張り、売上高は伸び悩んだ。医療関連や車載関連は、需要自体はあるものの、人手不足ゆえに受注として取り込めなかったことが伸び悩んだ理由だ。
2018年12月期は前期比26.5%増の4,498百万円を計画している。人手不足についてはベトナム子会社の“オフショアの開発拠点”への体制変更が軌道に乗り、要員を確保できる見込みだ。これによって医療・車載関連を初め、産業機器、家電等幅広く受注拡大を狙っている。また、IoT関連業務は、今期から組込み分野に移管される。この点も前期比増収率を大きく押し上げている。
銀行業界からの需要低迷を証券業界向け受注増大で補う
4. 金融
2017年12月期の売上高は前期比1.6%減の1,340百万円となった。証券業界において今上期から案件が動きだし、証券業界向けの受注は拡大した。しかし、銀行向け業務が縮小したため、全体では前期比微減となった。人手不足の影響により証券向け受注で取りこぼしが生じたことも響いた。
2018年12月期は前期比17.2%減の1,109百万円を計画している。銀行業界向け受注の縮小を証券業界向けの受注増で補うという構図は前期と同様で、実質ベースでは前期比横ばいと想定している。しかし2018年12月期から一部の業務を業務システムへと移管し、その影響が2.4億円とみているため、大幅な減収見通しとなっている。
5. 公共
アイ・エス・ビー<9702>の2017年12月期の売上高は前期比16.6%減の1,424百万円となった。マイナンバー関連需要が一段落したことが主たる要因で、その点は織り込んではいたものの、大規模な法改正がなかったために情報化投資がさらに縮小し、前期比大幅減収となった。期中に期初予想を下方修正したが、最終的にはその修正予想に対しても若干未達となった。
2018年12月期は前期比4.6%減の1,358百万円を予想している。前期同様、システム刷新や大きな法改正がないことを織り込み、一段の売上高の減少を想定している。
一般企業の社内システムが更新時期に差し掛かり需要拡大期に入る
6. 業務システム
業務システムはかつての情報サービスから名称を変更したものだ。2017年12月期は前期比12.0%増の1,355百万円となった。一般企業の社内システムが刷新時期を迎えたことから、その受注が増加し、受注及び売上高を押し上げた。
2018年12月期は前期比48.0%増の2,006百万円を計画している。前期同様、一般企業からの社内システム刷新及び新システム開発の受注増加により、実質ベースでも前期比増収を見込んでいる。さらに、金融分野の一部業務(約2.4億円)を業務システム分野に移管する影響で、増収率が大きく膨らんでいる。
伸長が続くクラウド関連とIoTネットワーク関連の受注増大で増収を狙う
7. フィールドサービス
2017年12月期の売上高は前期比0.1%増の1,756百万円となった。大型案件が減少するなか、新規顧客の開拓を進めるとともに、システム運用のサポート業務の継続受注やクラウド関連業務の受注拡大を進めた結果、前期比横ばいの売上高を確保した。
2018年12月期は前期比14.9%増の2,018百万円を計画している。前期に伸長したクラウド関連業務が今期も継続して伸びると予想している。また、IoT関連のネットワーク構築の需要も増加してきているため、そこでの受注拡大も織り込まれている。
前期はセキュリティシステム事業の取り込みで大幅増収。今期も着実な成長を見込む
8. プロダクト事業
プロダクト事業は従来の新事業から名称を変更したものだ。2017年12月期の売上高は、前期比11倍の3,640百万円となった。増収分のほとんどは新規連結したアートが手掛けるセキュリティシステム事業の売上高だ。従来から同社が手掛けている事業の中では、モバイルデバイスマネジメント(MDM)業務のVectant SDMが順調に契約者数を伸ばして増収となった。
2018年12月期は前期比3.9%減の3,497百万円を計画している。セキュリティシステム事業は前期比1.1%増の3,300百万円の売上高を計画しているが、それ以外のプロダクト商品については前期比横ばいを計画している。そうしたなかでWi-SUNと公共BB(ブロードバンド)に関しては、これまではすべてをプロダクト事業として計上してきたが、今期からは業務の性質が開発に関わるものはモバイルインフラに移管して計上するため、前期比減収の計画となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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1. 携帯端末
アイ・エス・ビー<9702>の2017年12月期通期の売上高は、前年同期比1.0%減の2,261百万円となった。主要顧客のスマートフォン開発は縮減基調が続いているが、IoT関連の開発案件の受注が増加したため、最終的には前期比微減での着地となった。
2018年12月期については、前期比26.1%減の1,670百万円を計画している。主要顧客である国内の主力スマートフォンの事業縮小基調が続く見通しとなっていることが主因だ。さらに、前期において受注が伸びたIoT関連の受託開発を、2018年12月期からは組込みへと移管するため、予想減収率が26.1%に拡大している。
5G関連の開発・検証需要が拡大
2. モバイルインフラ
2017年12月期は前期比16.8%増の1,335百万円となった。研究開発案件が踊り場を迎えたことで、ここ数年は売上高の水準が大きく落ち込んでいるが、そうしたなかで基地局案件の開発・検証や5G活用案件の受注増により前期比増収となった。
2018年12月期は前期比横ばいの1,343百万円を計画している。現行の基地局装置についての開発・検証事業は縮小していく一方、5G装置の開発・検証案件の受注拡大によって吸収し、全体では前期並みの水準確保を目指している。
Qt(キュート)は順調な拡大が続く。人手不足による受注の取りこぼしがあったが2018年度は社内体制を整えて受注拡大を狙う
3. 組込み
2017年12月期の売上高は前期比1.2%減の3,557百万円となった。予想に対して約300百万円の下振れとなり、同社の売上高の伸び悩みの主要因となった。同社が注力するQt(キュート)関連業務は順調に売上を伸ばしたほか、AV・家電向けも拡大した。しかし、医療機器関連や車載関連業務が足を引っ張り、売上高は伸び悩んだ。医療関連や車載関連は、需要自体はあるものの、人手不足ゆえに受注として取り込めなかったことが伸び悩んだ理由だ。
2018年12月期は前期比26.5%増の4,498百万円を計画している。人手不足についてはベトナム子会社の“オフショアの開発拠点”への体制変更が軌道に乗り、要員を確保できる見込みだ。これによって医療・車載関連を初め、産業機器、家電等幅広く受注拡大を狙っている。また、IoT関連業務は、今期から組込み分野に移管される。この点も前期比増収率を大きく押し上げている。
銀行業界からの需要低迷を証券業界向け受注増大で補う
4. 金融
2017年12月期の売上高は前期比1.6%減の1,340百万円となった。証券業界において今上期から案件が動きだし、証券業界向けの受注は拡大した。しかし、銀行向け業務が縮小したため、全体では前期比微減となった。人手不足の影響により証券向け受注で取りこぼしが生じたことも響いた。
2018年12月期は前期比17.2%減の1,109百万円を計画している。銀行業界向け受注の縮小を証券業界向けの受注増で補うという構図は前期と同様で、実質ベースでは前期比横ばいと想定している。しかし2018年12月期から一部の業務を業務システムへと移管し、その影響が2.4億円とみているため、大幅な減収見通しとなっている。
5. 公共
アイ・エス・ビー<9702>の2017年12月期の売上高は前期比16.6%減の1,424百万円となった。マイナンバー関連需要が一段落したことが主たる要因で、その点は織り込んではいたものの、大規模な法改正がなかったために情報化投資がさらに縮小し、前期比大幅減収となった。期中に期初予想を下方修正したが、最終的にはその修正予想に対しても若干未達となった。
2018年12月期は前期比4.6%減の1,358百万円を予想している。前期同様、システム刷新や大きな法改正がないことを織り込み、一段の売上高の減少を想定している。
一般企業の社内システムが更新時期に差し掛かり需要拡大期に入る
6. 業務システム
業務システムはかつての情報サービスから名称を変更したものだ。2017年12月期は前期比12.0%増の1,355百万円となった。一般企業の社内システムが刷新時期を迎えたことから、その受注が増加し、受注及び売上高を押し上げた。
2018年12月期は前期比48.0%増の2,006百万円を計画している。前期同様、一般企業からの社内システム刷新及び新システム開発の受注増加により、実質ベースでも前期比増収を見込んでいる。さらに、金融分野の一部業務(約2.4億円)を業務システム分野に移管する影響で、増収率が大きく膨らんでいる。
伸長が続くクラウド関連とIoTネットワーク関連の受注増大で増収を狙う
7. フィールドサービス
2017年12月期の売上高は前期比0.1%増の1,756百万円となった。大型案件が減少するなか、新規顧客の開拓を進めるとともに、システム運用のサポート業務の継続受注やクラウド関連業務の受注拡大を進めた結果、前期比横ばいの売上高を確保した。
2018年12月期は前期比14.9%増の2,018百万円を計画している。前期に伸長したクラウド関連業務が今期も継続して伸びると予想している。また、IoT関連のネットワーク構築の需要も増加してきているため、そこでの受注拡大も織り込まれている。
前期はセキュリティシステム事業の取り込みで大幅増収。今期も着実な成長を見込む
8. プロダクト事業
プロダクト事業は従来の新事業から名称を変更したものだ。2017年12月期の売上高は、前期比11倍の3,640百万円となった。増収分のほとんどは新規連結したアートが手掛けるセキュリティシステム事業の売上高だ。従来から同社が手掛けている事業の中では、モバイルデバイスマネジメント(MDM)業務のVectant SDMが順調に契約者数を伸ばして増収となった。
2018年12月期は前期比3.9%減の3,497百万円を計画している。セキュリティシステム事業は前期比1.1%増の3,300百万円の売上高を計画しているが、それ以外のプロダクト商品については前期比横ばいを計画している。そうしたなかでWi-SUNと公共BB(ブロードバンド)に関しては、これまではすべてをプロダクト事業として計上してきたが、今期からは業務の性質が開発に関わるものはモバイルインフラに移管して計上するため、前期比減収の計画となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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