アイル Research Memo(5):2018年7月期第2四半期累計連結業績は計画超の増収増益で過去最高
[18/04/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 下期の構成比が高い収益構造
収益構造の傾向としては、システム開発関連企業のため、開発案件ごとの採算性などで売上総利益率が変動し、大型案件の売上計上などによって四半期業績が変動しやすいという特徴がある。
またアイル<3854>は7月期決算で、3月期決算企業の期末に当たる第3四半期(2月−4月)に売上計上する案件が多いため、全体としては上期(8月−1月)よりも下期(2月−7月)に収益が偏重する傾向がある。過去5期(2013年7月期−2017年7月期)の平均構成比で見ると、売上高は上期45.1%、下期54.9%、営業利益は上期31.7%、下期68.3%だった。
このような傾向に対して、受注の平準化及び継続的な保守サービス等の受注により、売上計上時期の是正に取り組むとともに、技術者の技術水準を一定水準以上に保つべく、技術者の通年採用を積極的に行うことで、開発効率の変動を解消することに努めるとしている。
2. 2018年7月期第2四半期累計の連結業績概要は計画超の増収・大幅増益で過去最高
2018年3月6日発表の2018年7月期第2四半期累計(8月−1月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.0%増の4,338百万円、営業利益が同29.7%増の218百万円、経常利益が同23.8%増の228百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同23.3%増の141百万円だった。計画(売上高4,320百万円、営業利益190百万円、経常利益200百万円、親会社株主に帰属する純利益135百万円)を上回る増収増益で、売上高・利益とも過去最高だった。
売上面では、システムソリューション事業が同8%増収と順調に推移し、Webソリューション事業が同16%増収と大幅伸長した。基幹業務システムとWebシステムの両面から幅広いソリューション提案を可能とする「CROSS-OVERシナジー」戦略、協業企業の発掘・提携によって販売チャネルの拡大を図るパートナー戦略、業種別に特化したシステム開発や業種ごとの導入事例を生かして各業種特有の課題解決を行う業種特化戦略が奏功した。
コスト面では、東京本社オフィスの増床、積極的な研究開発投資や人材投資の継続、働き方改革の推進に伴う職場環境改善に対する投資などで、販管費が同22%増と大幅増加したが、増収効果や売上総利益率改善効果で吸収して大幅増益となった。売上総利益は同23%増加し、売上総利益率は42.2%で同4.7ポイント上昇した。販管費比率は37.2%で同4.0ポイント上昇した。
事業別に見ると、システムソリューション事業は売上高が同8%増の3,722百万円で、売上総利益が同24%増の1,555百万円だった。保守サービスなどのストック型売上高が同13%増収(うちセキュリティ関連が同31%増収)と伸長した。また前期2017年7月期第1四半期が赤字だった反省や、働き方改革推進に伴うコスト増加などでやや保守的に見込んでいたが、品質管理強化による生産性向上効果が想定以上となり、大幅増益に寄与した。売上総利益率は41.8%で同5.4ポイント上昇した。第2四半期累計として過去最高となった。
Webソリューション事業は、売上高が同16%増の615百万円(うちCROSS事業が同25%増の355百万円、その他Web事業が同6%増の260百万円)で、売上総利益が同16%増の275百万円(うちCROSS事業が同24%増の189百万円、その他Web事業が同1%増の85百万円)だった。CROSS事業におけるストック型商材の売上高は、複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」が17%増収、実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」が63%増収と大幅伸長した。売上総利益率は44.7%で同横ばいだった。このうちCROSS事業の売上総利益率は53.3%で高水準を維持している。
自己資本比率は40%超に上昇
3. 財務健全性
2018年7月期第2四半期末の貸借対照表における資産の減少は、主に現金及び預金の減少やソフトウェアの減少によるものである。また負債の減少は主に未払法人税及び長期借入金の減少によるものである。
2018年7月期第2四半期末の自己資本比率は40.9%となり、2017年7月期末の38.7%との比較で2.2ポイント上昇した。親会社株主に帰属する当期純利益などで株主資本及び純資産が着実に積み上がっている。財務の健全性が懸念される内容・水準ではなく、特に問題はないだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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1. 下期の構成比が高い収益構造
収益構造の傾向としては、システム開発関連企業のため、開発案件ごとの採算性などで売上総利益率が変動し、大型案件の売上計上などによって四半期業績が変動しやすいという特徴がある。
またアイル<3854>は7月期決算で、3月期決算企業の期末に当たる第3四半期(2月−4月)に売上計上する案件が多いため、全体としては上期(8月−1月)よりも下期(2月−7月)に収益が偏重する傾向がある。過去5期(2013年7月期−2017年7月期)の平均構成比で見ると、売上高は上期45.1%、下期54.9%、営業利益は上期31.7%、下期68.3%だった。
このような傾向に対して、受注の平準化及び継続的な保守サービス等の受注により、売上計上時期の是正に取り組むとともに、技術者の技術水準を一定水準以上に保つべく、技術者の通年採用を積極的に行うことで、開発効率の変動を解消することに努めるとしている。
2. 2018年7月期第2四半期累計の連結業績概要は計画超の増収・大幅増益で過去最高
2018年3月6日発表の2018年7月期第2四半期累計(8月−1月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.0%増の4,338百万円、営業利益が同29.7%増の218百万円、経常利益が同23.8%増の228百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同23.3%増の141百万円だった。計画(売上高4,320百万円、営業利益190百万円、経常利益200百万円、親会社株主に帰属する純利益135百万円)を上回る増収増益で、売上高・利益とも過去最高だった。
売上面では、システムソリューション事業が同8%増収と順調に推移し、Webソリューション事業が同16%増収と大幅伸長した。基幹業務システムとWebシステムの両面から幅広いソリューション提案を可能とする「CROSS-OVERシナジー」戦略、協業企業の発掘・提携によって販売チャネルの拡大を図るパートナー戦略、業種別に特化したシステム開発や業種ごとの導入事例を生かして各業種特有の課題解決を行う業種特化戦略が奏功した。
コスト面では、東京本社オフィスの増床、積極的な研究開発投資や人材投資の継続、働き方改革の推進に伴う職場環境改善に対する投資などで、販管費が同22%増と大幅増加したが、増収効果や売上総利益率改善効果で吸収して大幅増益となった。売上総利益は同23%増加し、売上総利益率は42.2%で同4.7ポイント上昇した。販管費比率は37.2%で同4.0ポイント上昇した。
事業別に見ると、システムソリューション事業は売上高が同8%増の3,722百万円で、売上総利益が同24%増の1,555百万円だった。保守サービスなどのストック型売上高が同13%増収(うちセキュリティ関連が同31%増収)と伸長した。また前期2017年7月期第1四半期が赤字だった反省や、働き方改革推進に伴うコスト増加などでやや保守的に見込んでいたが、品質管理強化による生産性向上効果が想定以上となり、大幅増益に寄与した。売上総利益率は41.8%で同5.4ポイント上昇した。第2四半期累計として過去最高となった。
Webソリューション事業は、売上高が同16%増の615百万円(うちCROSS事業が同25%増の355百万円、その他Web事業が同6%増の260百万円)で、売上総利益が同16%増の275百万円(うちCROSS事業が同24%増の189百万円、その他Web事業が同1%増の85百万円)だった。CROSS事業におけるストック型商材の売上高は、複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」が17%増収、実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」が63%増収と大幅伸長した。売上総利益率は44.7%で同横ばいだった。このうちCROSS事業の売上総利益率は53.3%で高水準を維持している。
自己資本比率は40%超に上昇
3. 財務健全性
2018年7月期第2四半期末の貸借対照表における資産の減少は、主に現金及び預金の減少やソフトウェアの減少によるものである。また負債の減少は主に未払法人税及び長期借入金の減少によるものである。
2018年7月期第2四半期末の自己資本比率は40.9%となり、2017年7月期末の38.7%との比較で2.2ポイント上昇した。親会社株主に帰属する当期純利益などで株主資本及び純資産が着実に積み上がっている。財務の健全性が懸念される内容・水準ではなく、特に問題はないだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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