Jトラスト Research Memo(6):アジア金融事業を原動力に、一層の飛躍を目指す
[18/05/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
Jトラスト<8508>は、IFRS転換が遅れたことに加え、韓国金融事業では当局の規制強化の影響、東南アジア金融事業も不良債権処理の影響などから、結果として中期経営計画(2016年3月期−2018年3月期)は予定通りには進まなかった。ただ、会社として投資家に中期的な利益目標を示すことは非常に重要であると弊社では考える。
2018年3月期は投資事業の損失に伴い業績予想の下方修正を余儀なくされたが、主力の金融3事業は当初の期待どおりの業績を上げ、会社全体の営業黒字確保に貢献している。同社では、2019年3月期以降も、金融3事業を中心に、世界に羽ばたく金融グループとして飛躍することを目指している。
すなわち、引き続き国内金融事業では信用保証事業と債権回収事業により、安定的な利益を稼ぐことを目指す。また韓国金融事業でも、貯蓄銀行業に対する規制強化の影響を抑えつつ、債権回収事業とも合わせて増益を確保する。一方、2018年3月期から黒字転換した東南アジア金融事業では、今後さらに利益を大きく伸ばすことで、同社グループ全体の増収・増益基調をけん引することを目指している。買収したOMFは、現在は中古車販売がメインであるが、今後は農機具ローン販売やマイクロファイナンスを推進する計画で、これまで Group Lease Finance Indonesia (GLと共同で設立したファイナンス会社)で行っていたビジネスの受け皿になる予定である。
東南アジア最大の人口を有するインドネシアでは、1日当たりの平均所得が4.5米ドル(約500円)に過ぎない貧困層が2億300万人と、人口全体の81.5%が経済ピラミッドの底辺にいる。この層はマイクロファイナンス(銀行などを利用しづらい貧しい人が対象の少額融資や預金、保険といった金融サービス)を必要としており、東南アジア金融事業にとってマイクロファイナンス市場は潜在需要が極めて大きいと考えられる。
アジア経済圏では、外需の低迷、中国の成長減速、原油を中心とした商品価格の伸び悩みなどの影響により、各国の経済成長率は従来よりも低水準にとどまり、国内の企業収益や個人所得に悪影響を与えているとの指摘がある。しかし、IMFの統計によれば、インドネシア経済はアジア金融危機時の1998年を除き安定した成長を続けており、2018年の実質GDP成長率見込みも5.30%で、2017年の5.07%を上回る成長を続けている。
同社グループでは、アジア各国からの情報がいち早く集まるシンガポールに投資事業の拠点を置き、藤澤社長が自ら常駐することで、グループの成長に資するための新たな投資機会を絶えず模索している。経営陣たちの高い情報収集力と迅速な意思決定力が、同社の今後の成長の決め手になりそうだ。
このように、同社グループは成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力に、2019年3月期以降も持続的かつ大きな成長を目指している。ただ、金融事業とのシナジーが期待できない非金融事業(アミューズメント事業、不動産事業)については、グループから切り離すことも検討課題であり、同社グループは成長性の高い金融事業分野に、よりフォーカスすべきであると弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<NB>
Jトラスト<8508>は、IFRS転換が遅れたことに加え、韓国金融事業では当局の規制強化の影響、東南アジア金融事業も不良債権処理の影響などから、結果として中期経営計画(2016年3月期−2018年3月期)は予定通りには進まなかった。ただ、会社として投資家に中期的な利益目標を示すことは非常に重要であると弊社では考える。
2018年3月期は投資事業の損失に伴い業績予想の下方修正を余儀なくされたが、主力の金融3事業は当初の期待どおりの業績を上げ、会社全体の営業黒字確保に貢献している。同社では、2019年3月期以降も、金融3事業を中心に、世界に羽ばたく金融グループとして飛躍することを目指している。
すなわち、引き続き国内金融事業では信用保証事業と債権回収事業により、安定的な利益を稼ぐことを目指す。また韓国金融事業でも、貯蓄銀行業に対する規制強化の影響を抑えつつ、債権回収事業とも合わせて増益を確保する。一方、2018年3月期から黒字転換した東南アジア金融事業では、今後さらに利益を大きく伸ばすことで、同社グループ全体の増収・増益基調をけん引することを目指している。買収したOMFは、現在は中古車販売がメインであるが、今後は農機具ローン販売やマイクロファイナンスを推進する計画で、これまで Group Lease Finance Indonesia (GLと共同で設立したファイナンス会社)で行っていたビジネスの受け皿になる予定である。
東南アジア最大の人口を有するインドネシアでは、1日当たりの平均所得が4.5米ドル(約500円)に過ぎない貧困層が2億300万人と、人口全体の81.5%が経済ピラミッドの底辺にいる。この層はマイクロファイナンス(銀行などを利用しづらい貧しい人が対象の少額融資や預金、保険といった金融サービス)を必要としており、東南アジア金融事業にとってマイクロファイナンス市場は潜在需要が極めて大きいと考えられる。
アジア経済圏では、外需の低迷、中国の成長減速、原油を中心とした商品価格の伸び悩みなどの影響により、各国の経済成長率は従来よりも低水準にとどまり、国内の企業収益や個人所得に悪影響を与えているとの指摘がある。しかし、IMFの統計によれば、インドネシア経済はアジア金融危機時の1998年を除き安定した成長を続けており、2018年の実質GDP成長率見込みも5.30%で、2017年の5.07%を上回る成長を続けている。
同社グループでは、アジア各国からの情報がいち早く集まるシンガポールに投資事業の拠点を置き、藤澤社長が自ら常駐することで、グループの成長に資するための新たな投資機会を絶えず模索している。経営陣たちの高い情報収集力と迅速な意思決定力が、同社の今後の成長の決め手になりそうだ。
このように、同社グループは成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力に、2019年3月期以降も持続的かつ大きな成長を目指している。ただ、金融事業とのシナジーが期待できない非金融事業(アミューズメント事業、不動産事業)については、グループから切り離すことも検討課題であり、同社グループは成長性の高い金融事業分野に、よりフォーカスすべきであると弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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