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極東貿易 Research Memo(1):経営の舵取りと企業構造を大きく転換し、次代につながる事業基盤を強化

注目トピックス 日本株
■要約

極東貿易<8093>は、技術提案、導入・据付、運用・保守まで一貫した技術サポートができるエンジニアリング商社である。取扱商材は基幹産業関連(製鉄所向け製造装置、石油掘削装置など)、電子・制御システム関連(計装制御システム、地震計、航空機用機材など)、産業素材関連(樹脂・塗料、炭素繊維・関連素材、食肉加工機など)、そして、機械部品関連(特注品ねじ・特注品ばね)と多岐にわたり、また、事業活動している地域は、欧米、中国・台湾・インド、更に最近ではロシア、ブラジル、メキシコなど新興国に拠点を設け、日系企業などのグローバルなモノづくりを支援している。

1. 「企業変革と再成長」は一旦小休止も、中期経営計画最終年度の今期は再び成長軌道へ
同社は2010年3月期に赤字転落、長らく続いた業績低迷を乗り越え、同社の「企業変革と再成長」がスタートし、成長戦略を“オーガニックグロース”から“M&Aグロース”へギアチェンジして、短期間で事業ポートフォリオを大きく変革してきた。2018年3月期は、海底資源探査・掘削業界の長期低迷、大口案件(自動車向け軽量ケーブル量産化や火力発電所向け計装システム)の度重なる延期などで当初計画の下振れとなり、増収減益(営業利益は2期連続マイナス成長)になった。2019年3月期は中期経営計画「KBK 2016」の最終年度を迎えるが、2018年3月期の受注残などの実需化はもちろんコア事業(ねじ関連、重電設備、樹脂・塗料)を中心に確度の高い案件がラインナップされており、また、事業ユニット全般ではリスク要因は少なく、成長軌道への復帰は確実である。2019年3月期売上高70,000百万円(前期比12.8%増)、営業利益1,300百万円(同60.1%増)と相当高い計画ではあるが、十分達成可能な目標と見ている。

2. “オーガニックM&A”の第二章がスタート
同社は現在の収益源となったヱトー(株)(ねじ関連)を筆頭にこれまで5つのM&A案件をすべて成功させてきた。そして、今回(2018年3月26日付)新たに2つのM&A案件を発表した。1つは、輸出商社のプラント・メンテナンス(株)(PMC、東京都千代田区)であり、同社の重電設備関連事業との製品・顧客シナジー効果が期待されている。PMCは海外市場(特に、ブラジル、バングラデッシュ等新興国)の販売実績(海外売上高比率95%)があり、また、ユニークな商材として、火力発電所の点検・補修時の“足場材”(補修時のボイラー停止時間は通常2〜3週間のところを1週間で済む)を有している。国内の電力・鉄鋼・石化プラントでは老朽化設備の更新設備需要が旺盛であり、現在、同社を介して国内大手発電エンジニアリングメーカーへビジネス展開中であり、伝統的事業(重電設備)に風穴を空ける存在となっている。

もう1つは、同社並びに同社ドイツ現地法人、さらにロシア系電源システム設計・組立会社(SRICI Ltd.)の3社で合弁新会社(Umka Lab GmbH)を設立し、産業機器向け電源システムを製造・販売を行っている。電池ユニットは産業用LiBで定評のある東芝<6502>製SCiB(充電時間は鉛電池1日に対して40分で充電)を採用、欧州圏の産業用フォークリフト市場で鉛電池からLiB(SCiB)電池へ置換を図り、さらに次代のバス/トラックの電動化など新用途拡大とインドなど新商圏の拡大を目指している。

3. 更なる飛躍と成長のためには、多様性重視のグローバル&グループ経営と経営幹部人材の育成がキーとなる
「組織は戦略に従う」という有名な言葉があるが、同社では短期間でのM&Aグロースで成長型事業ポートフォリオへ組み替えてきたが、今まさしく「新しい組織とマネジメント」と「人材強化」を求められている。現在、国内関係会社8社、海外関係会社14社まで拡がっているが、重要子会社には同社から優秀な人材を社長や経営幹部として派遣して、KBKグループ経営を共有化し事業活動をグリップしている。さらにグループ企業間での人材ローテーションも計画中である。

今後の課題としては、M&Aで形成された異質な企業グループをいかにマネジメントするか、今注目を浴びている「ダイバシティ・マネジメント」の導入や不足感のある経営幹部人材の獲得と育成が挙げられる。

■Key Points
・「企業変革と再成長」は一旦小休止も、成長戦略を確実に実行、着実に成果を生み出している
・第2弾オーガニックM&Aで新たなイノベーション(伝統的事業の活性化、ニッチ市場の創造)の推進
・多様性重視の「グローバル&グループ経営」と「経営幹部人材の育成」がキー

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)



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