極東貿易 Research Memo(3):これまでの“成長軌道”も想定外の受注リスク等で2018年3月期は“一服感”
[18/06/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2018年3月期通期決算の概要
極東貿易<8093>の2018年3月期通期の決算は、売上高62,080百万円(前期比4.1%増)、売上総利益8,193百万円(同3.4%減)、営業利益812百万円(同31.8%減)、経常利益1,537百万円(同6.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,467百万円(同39.1%増)と増収減益となった。
連結売上高では前期を下回るセグメントが多いなか、重電設備関連事業とヱトーのねじ関連事業がリカバリーしたが、連結売上高計画の66,000百万円を下回ることとなった。
また、連結営業利益では計画1,300百万円に対して実績812百万円と大きく乖離してしまった。過去20年間で最低の業績となった「資源開発機器」と大型案件の量産立ち上がりの大幅遅れの「航空電子」の2つの事業が足を引っ張った。
2. 2018年3月期事業セグメント別決算
(1) 機械部品関連部門
ねじ関連事業は、ヱトーのねじ国内事業の継続的好調により業績の底上げが図られ、売上高14,449百万円(1,150百万円増)、売上総利益も3,036百万円と大幅な増収増益となった。また、ばね関連事業は、サンコースプリングのコア製品「定荷重ばね」と「ぜんまい」を中心に受注好調で、売上高1,054百万円、売上総利益377百万円と増収増益となった。この結果、機械部品関連部門は、売上高15,503百万円(前期比8.4%増)、売上総利益3,413百万円(同6.4%増)となった。
(2) 基幹産業関連部門
重電設備事業は、製鉄所の老朽化設備の更新設備が旺盛で大口案件を受注し、売上高15,542百万円(3,044百万円増)、売上総利益919百万円となり大幅増収となった。鉄鋼関連事業は、輸入設備の販売が伸び悩み、売上高1,451百万円(130百万円減)、売上総利益175百万円の減収減益となった。また、資源開発機器事業は、原油価格下落傾向の長期化、業界の不況が継続し、さらに、過去の過剰投入した設備の保守の同社負担でコスト増となり、売上高1,701百万円、売上総利益229百万円(114百万円減)となり、過去20年間で最低の業績となった。検査装置事業は、前期から取り組んできた原価低減活動により、売上高1,896百万円(755百万円減)、売上総利益453百万円と減収も増益となった。この結果、基幹産業関連部門は、売上高20,676百万円(前期比11.3%増)、売上総利益1,793百万円(同4.2%減)となった。
(3) 電子・制御システム関連部門
航空電子事業は、ボリュームが期待されていた自動車用軽量ケーブルの量産開始が遅れ今期にずれ込む見込み、また、3D関連検査機器も期待されていたが、韓国の低価格機種の出現で受注低調となり、売上高2,117百万円、売上総利益351百万円(153百万円減)で大幅減益。電子機器事業は主力の電子部品は受注堅調も、売上高1,108百万円、売上総利益349百万円と減収減益となった。計装システムも火力発電所向けの大口案件は納入先送りとなり、売上高6,702百万円(618百万円減)、売上総利益519百万円と減収減益となった。この結果、電子・制御システム関連部門は、売上高9,928百万円(前期比3.6%減)、売上総利益1,220百万円(前期比20.6%減)となった。
(4) 産業素材関連部門
自動車向け樹脂・塗料事業は、日本・米国・中国3極で安定供給しているが、北米での在庫調整が影響して、2018年3月期は売上高12,577百万円(165百万円減)、売上総利益1,198百万円と減収減益となった。複合材料事業は、好調であった前期に比べ減速し、売上高2,364百万円(338百万円減)、売上総利益443百万円と減収減益となった。食品関連事業は、価格競争でこれまでシェアを奪われてきたハム・ソーセージ用副資材が一部シェア奪回となり、売上高1,030百万円、売上総利益123百万円と増収増益となった。その結果として、産業素材関連部門は、売上高15,972百万円(前期比2.8%減)、売上総利益1,766百万円(同5.2%減)となった。
3. 財務状況
財務状況で特筆すべきことは、手持ち資金が手厚いことである。現預金8,204百万円に加え、投資有価証券9,525百万円を保有し、さらに含み益もあるようで、今後のM&A展開へ強力な武器と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)
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1. 2018年3月期通期決算の概要
極東貿易<8093>の2018年3月期通期の決算は、売上高62,080百万円(前期比4.1%増)、売上総利益8,193百万円(同3.4%減)、営業利益812百万円(同31.8%減)、経常利益1,537百万円(同6.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,467百万円(同39.1%増)と増収減益となった。
連結売上高では前期を下回るセグメントが多いなか、重電設備関連事業とヱトーのねじ関連事業がリカバリーしたが、連結売上高計画の66,000百万円を下回ることとなった。
また、連結営業利益では計画1,300百万円に対して実績812百万円と大きく乖離してしまった。過去20年間で最低の業績となった「資源開発機器」と大型案件の量産立ち上がりの大幅遅れの「航空電子」の2つの事業が足を引っ張った。
2. 2018年3月期事業セグメント別決算
(1) 機械部品関連部門
ねじ関連事業は、ヱトーのねじ国内事業の継続的好調により業績の底上げが図られ、売上高14,449百万円(1,150百万円増)、売上総利益も3,036百万円と大幅な増収増益となった。また、ばね関連事業は、サンコースプリングのコア製品「定荷重ばね」と「ぜんまい」を中心に受注好調で、売上高1,054百万円、売上総利益377百万円と増収増益となった。この結果、機械部品関連部門は、売上高15,503百万円(前期比8.4%増)、売上総利益3,413百万円(同6.4%増)となった。
(2) 基幹産業関連部門
重電設備事業は、製鉄所の老朽化設備の更新設備が旺盛で大口案件を受注し、売上高15,542百万円(3,044百万円増)、売上総利益919百万円となり大幅増収となった。鉄鋼関連事業は、輸入設備の販売が伸び悩み、売上高1,451百万円(130百万円減)、売上総利益175百万円の減収減益となった。また、資源開発機器事業は、原油価格下落傾向の長期化、業界の不況が継続し、さらに、過去の過剰投入した設備の保守の同社負担でコスト増となり、売上高1,701百万円、売上総利益229百万円(114百万円減)となり、過去20年間で最低の業績となった。検査装置事業は、前期から取り組んできた原価低減活動により、売上高1,896百万円(755百万円減)、売上総利益453百万円と減収も増益となった。この結果、基幹産業関連部門は、売上高20,676百万円(前期比11.3%増)、売上総利益1,793百万円(同4.2%減)となった。
(3) 電子・制御システム関連部門
航空電子事業は、ボリュームが期待されていた自動車用軽量ケーブルの量産開始が遅れ今期にずれ込む見込み、また、3D関連検査機器も期待されていたが、韓国の低価格機種の出現で受注低調となり、売上高2,117百万円、売上総利益351百万円(153百万円減)で大幅減益。電子機器事業は主力の電子部品は受注堅調も、売上高1,108百万円、売上総利益349百万円と減収減益となった。計装システムも火力発電所向けの大口案件は納入先送りとなり、売上高6,702百万円(618百万円減)、売上総利益519百万円と減収減益となった。この結果、電子・制御システム関連部門は、売上高9,928百万円(前期比3.6%減)、売上総利益1,220百万円(前期比20.6%減)となった。
(4) 産業素材関連部門
自動車向け樹脂・塗料事業は、日本・米国・中国3極で安定供給しているが、北米での在庫調整が影響して、2018年3月期は売上高12,577百万円(165百万円減)、売上総利益1,198百万円と減収減益となった。複合材料事業は、好調であった前期に比べ減速し、売上高2,364百万円(338百万円減)、売上総利益443百万円と減収減益となった。食品関連事業は、価格競争でこれまでシェアを奪われてきたハム・ソーセージ用副資材が一部シェア奪回となり、売上高1,030百万円、売上総利益123百万円と増収増益となった。その結果として、産業素材関連部門は、売上高15,972百万円(前期比2.8%減)、売上総利益1,766百万円(同5.2%減)となった。
3. 財務状況
財務状況で特筆すべきことは、手持ち資金が手厚いことである。現預金8,204百万円に加え、投資有価証券9,525百万円を保有し、さらに含み益もあるようで、今後のM&A展開へ強力な武器と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)
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