イントラスト Research Memo(3):大手不動産管理会社を顧客に効率的・高収益ビジネスモデルを確立
[18/06/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■イントラスト<7191>の事業概要
1. 家賃債務保証
(1) 市場
家賃債務保証市場はこれまでも毎年2ケタ成長をしてきており、今後も成長を維持すると見られている。家賃保証会社の利用率は2010年に43%であったが、2016年には56%まで上昇、現在は60%を超えていると考えられる。以下の4つが主な成長ドライバーである。
a) 世帯数の増加は、保証件数の増加につながる。
b) 連帯保証人に対して極度限度額の明示義務化(2020年4月施行の民法改正)により、連帯保証人の確保がますます困難になる。
c) 高齢社会になり、収入が限定される高齢者は保証会社を利用する率が増える。
d) インバウンド人口の拡大。
さらに、同社ならではの以下の2つの特長が、市場の追い風を受けやすくしている。
a) 大手不動産管理会社の成長性は、市場平均よりも高いため、同社にとって有利である。
b) 保証事業とソリューション事業のどちらのニーズにも対応できる。
(2) 顧客企業
同社の特徴は、大手不動産管理会社を対象顧客としており、様々な側面で戦い方が同業他社と異なる。大手顧客の中でも大和リビング、大和ハウスフィナンシャルをはじめとする大和ハウスグループとの関わりは深い。このほかにも三井ホームエステート、住友不動産、パナソニックホームズ不動産、スターツグループなどが顧客企業となっている。顧客が大手企業であることによるメリットは、顧客の全国的な組織力を活用して成長できる点である。例えば、保証商品の販売において、顧客企業の本社と業務提携ができれば、あとは顧客企業が全国の拠点に徹底してくれ、自動的に保証商品が販売されていく。同社としては、営業拠点を全国にくまなく築き人員を手厚く配置する必要がなく、効率的である。実際に2018年3月期末の同社の東京以外の拠点は7拠点、従業員数92名であり、同業他社と比較して圧倒的に少ない。同社の営業利益率が20%を超えているのも、大手顧客特化戦略の結果と言えるだろう。
(3) 契約件数
同社の保有契約件数は、創業以来順調に成長してきた。大手顧客数が増えたこともあるが、顧客内の管理戸数の伸びの影響が大きい。2018年3月期末の保有契約件数は298,112件であり、2014年3月期末から2018年3月期末で、年平均成長率20.2%で成長した。ストック型の事業特性があり、契約は積み上がる傾向にある。構成としては、保証からソリューションへ移行が進む。
(4) 業務
保証事業及びソリューション事業において、行う業務は共通しており、7つに分類される。(1)審査、2)契約管理、3)集金代行、4)未入金案内、5)調査訪問、6)法対応支援、7)滞納管理)に分かれるが、同社は7つそれぞれに蓄積してきたノウハウがある。例えば、1)の審査業務においては、三菱総合研究所と共同開発した重回帰分析モデルや独自の属性分析モデルを駆使して科学的に行っている。コンプライアンスに準拠したオペレーションを徹底していることも同社の強みであり、これまでにコンプライアンス上のトラブルは一度もない。
2. 医療費用保証・介護費用保証
同社は2014年に介護費用保証商品「太陽」、2015年には医療費用債務保証商品「虹」を他社に先駆けてリリースした。医療及び介護業界におけるビジネスモデルも、家賃債務保証と類似している。医療であれば入院時、介護であれば入居時に、連帯保証人を代替すべく機関保証し、保証に関連する専門業務(集金代行など)を行う。例えば、入院患者は保証料5,000円を支払うことで連帯保証人は免除され、病院側は保証限度額300,000円を保証されるというものだ。
厚生労働省の平成28年医療施設調査によると、同社がメインターゲットとする300床以上の病院は全国で1,513施設あり、病床数で691,363床(全病床数の44.3%)である。同社の実績は94病院、20,577床(2018年3月期)であり、開拓の余地が大いにある。94病院の中には、千葉大学医学部附属病院、広島大学病院、鹿児島大学病院、東京女子医科大学八千代医療センターなどの地域を代表する病院が含まれており、今後の導入加速が期待される。2019年3月期からは入院患者向けレンタル事業のエランとの協業により本格的な販売が開始される(後述)。介護市場においても同様に開拓余地は大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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1. 家賃債務保証
(1) 市場
家賃債務保証市場はこれまでも毎年2ケタ成長をしてきており、今後も成長を維持すると見られている。家賃保証会社の利用率は2010年に43%であったが、2016年には56%まで上昇、現在は60%を超えていると考えられる。以下の4つが主な成長ドライバーである。
a) 世帯数の増加は、保証件数の増加につながる。
b) 連帯保証人に対して極度限度額の明示義務化(2020年4月施行の民法改正)により、連帯保証人の確保がますます困難になる。
c) 高齢社会になり、収入が限定される高齢者は保証会社を利用する率が増える。
d) インバウンド人口の拡大。
さらに、同社ならではの以下の2つの特長が、市場の追い風を受けやすくしている。
a) 大手不動産管理会社の成長性は、市場平均よりも高いため、同社にとって有利である。
b) 保証事業とソリューション事業のどちらのニーズにも対応できる。
(2) 顧客企業
同社の特徴は、大手不動産管理会社を対象顧客としており、様々な側面で戦い方が同業他社と異なる。大手顧客の中でも大和リビング、大和ハウスフィナンシャルをはじめとする大和ハウスグループとの関わりは深い。このほかにも三井ホームエステート、住友不動産、パナソニックホームズ不動産、スターツグループなどが顧客企業となっている。顧客が大手企業であることによるメリットは、顧客の全国的な組織力を活用して成長できる点である。例えば、保証商品の販売において、顧客企業の本社と業務提携ができれば、あとは顧客企業が全国の拠点に徹底してくれ、自動的に保証商品が販売されていく。同社としては、営業拠点を全国にくまなく築き人員を手厚く配置する必要がなく、効率的である。実際に2018年3月期末の同社の東京以外の拠点は7拠点、従業員数92名であり、同業他社と比較して圧倒的に少ない。同社の営業利益率が20%を超えているのも、大手顧客特化戦略の結果と言えるだろう。
(3) 契約件数
同社の保有契約件数は、創業以来順調に成長してきた。大手顧客数が増えたこともあるが、顧客内の管理戸数の伸びの影響が大きい。2018年3月期末の保有契約件数は298,112件であり、2014年3月期末から2018年3月期末で、年平均成長率20.2%で成長した。ストック型の事業特性があり、契約は積み上がる傾向にある。構成としては、保証からソリューションへ移行が進む。
(4) 業務
保証事業及びソリューション事業において、行う業務は共通しており、7つに分類される。(1)審査、2)契約管理、3)集金代行、4)未入金案内、5)調査訪問、6)法対応支援、7)滞納管理)に分かれるが、同社は7つそれぞれに蓄積してきたノウハウがある。例えば、1)の審査業務においては、三菱総合研究所と共同開発した重回帰分析モデルや独自の属性分析モデルを駆使して科学的に行っている。コンプライアンスに準拠したオペレーションを徹底していることも同社の強みであり、これまでにコンプライアンス上のトラブルは一度もない。
2. 医療費用保証・介護費用保証
同社は2014年に介護費用保証商品「太陽」、2015年には医療費用債務保証商品「虹」を他社に先駆けてリリースした。医療及び介護業界におけるビジネスモデルも、家賃債務保証と類似している。医療であれば入院時、介護であれば入居時に、連帯保証人を代替すべく機関保証し、保証に関連する専門業務(集金代行など)を行う。例えば、入院患者は保証料5,000円を支払うことで連帯保証人は免除され、病院側は保証限度額300,000円を保証されるというものだ。
厚生労働省の平成28年医療施設調査によると、同社がメインターゲットとする300床以上の病院は全国で1,513施設あり、病床数で691,363床(全病床数の44.3%)である。同社の実績は94病院、20,577床(2018年3月期)であり、開拓の余地が大いにある。94病院の中には、千葉大学医学部附属病院、広島大学病院、鹿児島大学病院、東京女子医科大学八千代医療センターなどの地域を代表する病院が含まれており、今後の導入加速が期待される。2019年3月期からは入院患者向けレンタル事業のエランとの協業により本格的な販売が開始される(後述)。介護市場においても同様に開拓余地は大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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