スターティアH Research Memo(5):”セキュアSAMBA“とRPA事業で構成。収益黒字転換を目指す
[18/07/02]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■スターティアホールディングス<3393>の中長期の成長戦略
4. スターティアレイズ
スターティアレイズは今回の持株会社化に伴い新設された。事業領域はクラウドストレージ事業とRPA事業の2つから成っている。これら2つを総称してITソリューション事業と称する場合もある。
クラウドストレージ事業は、2018年3月期まではITインフラ関連事業の中に含まれていた“セキュアSAMBA”サービスがその内容だ。持株会社化に伴い、ITインフラ関連事業から切り出してスターティアレイズに移管した。セキュアSAMBAはSaas型オンラインストレージサービスで、顧客は社内にファイルサーバーがあるのと同感覚で拠点間のファイル共有を行うことができる(すなわちオフィスの外からオフィス内と同環境で業務が可能となる)点が特長だ。BCP(事業継続計画)の観点から震災後に大きく契約を伸ばしてきた。近年では、働き方改革の観点からも注目を集めている。
セキュアSAMBAは、既に顧客基盤が拡大しており収益に貢献してきた。しかし一方で、上記のようなニーズの高まりを受けて参入企業が増加してきており、競争環境が激化しているのも事実だ。同社では、情報セキュリティの一段の強化を切り口に、テレワーク導入を検討している中小企業に対し、「いつでも・どこでも」働ける環境づくりの提案を積極化していく方針だ。
RPA事業は、RPA(Robotic Process Automation)技術を用いて、主として管理部門(総務・人事・経理など)の業務効率化に寄与するツールやサービスの提供を行うことがその内容となっている。Roboticとあるが機械としてのロボットが作業をするのではなく、ソフトウェアがデータ入力などを行うというものだ。
RPA事業では、中堅中小企業向けに最適なツール選択と導入支援を行い、様々なビジネスアプリケーションツールとの連携を実現することで国内中堅中小RPAマーケットを開拓していく方針だ。現在はソフト開発、商材の導入、システム開発等に先行投資を行っているステージにある。
スターティアレイズとしての収益性は、セキュアSAMBA事業自体は既に黒字化しているとみられる。しかしRPA事業は先行投資期にあり、両者を合わせたスターティアレイズとしての収益は、足元では赤字の状態にある。RPA自体は2016年頃から急速に伸びてきた技術で、同社のメイン顧客層である中小企業への浸透度は極めて低いと考えられる。裏を返せば、中小企業のニーズにマッチした商品・サービスを打ち出すことができれば急成長を遂げる可能性がある。同社は早期の収益貢献を目指してRPA事業のスタートを急ぐ方針だ。
上海スターティアの高速回線サービスは黒字化を達成。今後は、上海巨現でのCOCOARの中国展開に注目
5. Startia Asia
Startia Asia(スターティア・アジア)は同社のアジア地域の海外展開を統括する事業会社で、傘下に上海スターティア、西安スターティアソフト、及び上海巨現智能科技の3社を収めている。
上海スターティアは同社の100%子会社で、日中間の高速回線サービス「Global Gateway(GG)」のサービスを運営している。顧客は中国に拠点を持つ日本企業や個人だ。上海スターティアが中国の大手キャリアと提携して回線を確保し、顧客に対して通常よりも最大で10倍(注:顧客オフィスで0.4Mbpsから5.0Mbpsに改善したことを確認)の高速インターネットサービスを提供している。
西安スターティアソフトは同社の出資比率が30%の持分法適用会社で、ソフトウェアの企画開発を事業としている。同社との関係では、スターティアラボから受託してソフトウェアの開発を行っている。業績的にはその時々で変動も大きいとみられるが、同社への業績インパクトは限定的と弊社ではみている。
上海巨現知能科技は、スターティアラボが40%、西安スターティアソフトが20%、及び上海の印刷会社4社が10%ずつ出資して2017年6月に設立した企業だ。事業目的はAR作成ソフトのCOCOARを中国市場で販売することだ。
Startia Asiaの成長戦略は上海スターティアの収益拡大と、上海巨現の黒字化の2つが中核となると弊社では考えている。このうち上海スターティアについては、GGの顧客数が順調に拡大した結果、2018年3月期において黒字化に漕ぎつけたもようだ。上海スターティアは2017年10月に「Global Gateway for AWS」を開始したことなどが寄与したとみられる(「Global Gateway for AWS」については2018年1月26日付前回レポートに詳しい)。2019年3月期は黒字幅をさらに拡大させるものと期待される。
一方、上海巨現におけるCOCOAR販売は、2019年3月期は赤字が続くと弊社ではみている。COCOARの商品性の高さは中国でも評価されると考えられるが、商慣習や現地の従業員のマネジメントの問題などで、拡販に苦戦しているもようだ。2020年3月期までに300契約を獲得して黒字化達成というのが現状の想定シナリオだが、今後の展開を見守りたい。
Startia Asiaのもう1つのポイントはCVC事業だ。今後はStartia Asiaが主導してCVC事業を行っていくことが今回明らかになった。Startia Asiaの平岡社長がCVC事業のヘッドを兼務していることと、同氏の活動拠点であるシンガポールのほうがベンチャー投資に関する情報が集まりやすいということが背景にある。同社のCVC事業は日本に限定しているわけではなく、経済成長のスピードが速い東南アジア地域に軸足を置くことでビジネスシーズ(種)の取り込みを狙う方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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4. スターティアレイズ
スターティアレイズは今回の持株会社化に伴い新設された。事業領域はクラウドストレージ事業とRPA事業の2つから成っている。これら2つを総称してITソリューション事業と称する場合もある。
クラウドストレージ事業は、2018年3月期まではITインフラ関連事業の中に含まれていた“セキュアSAMBA”サービスがその内容だ。持株会社化に伴い、ITインフラ関連事業から切り出してスターティアレイズに移管した。セキュアSAMBAはSaas型オンラインストレージサービスで、顧客は社内にファイルサーバーがあるのと同感覚で拠点間のファイル共有を行うことができる(すなわちオフィスの外からオフィス内と同環境で業務が可能となる)点が特長だ。BCP(事業継続計画)の観点から震災後に大きく契約を伸ばしてきた。近年では、働き方改革の観点からも注目を集めている。
セキュアSAMBAは、既に顧客基盤が拡大しており収益に貢献してきた。しかし一方で、上記のようなニーズの高まりを受けて参入企業が増加してきており、競争環境が激化しているのも事実だ。同社では、情報セキュリティの一段の強化を切り口に、テレワーク導入を検討している中小企業に対し、「いつでも・どこでも」働ける環境づくりの提案を積極化していく方針だ。
RPA事業は、RPA(Robotic Process Automation)技術を用いて、主として管理部門(総務・人事・経理など)の業務効率化に寄与するツールやサービスの提供を行うことがその内容となっている。Roboticとあるが機械としてのロボットが作業をするのではなく、ソフトウェアがデータ入力などを行うというものだ。
RPA事業では、中堅中小企業向けに最適なツール選択と導入支援を行い、様々なビジネスアプリケーションツールとの連携を実現することで国内中堅中小RPAマーケットを開拓していく方針だ。現在はソフト開発、商材の導入、システム開発等に先行投資を行っているステージにある。
スターティアレイズとしての収益性は、セキュアSAMBA事業自体は既に黒字化しているとみられる。しかしRPA事業は先行投資期にあり、両者を合わせたスターティアレイズとしての収益は、足元では赤字の状態にある。RPA自体は2016年頃から急速に伸びてきた技術で、同社のメイン顧客層である中小企業への浸透度は極めて低いと考えられる。裏を返せば、中小企業のニーズにマッチした商品・サービスを打ち出すことができれば急成長を遂げる可能性がある。同社は早期の収益貢献を目指してRPA事業のスタートを急ぐ方針だ。
上海スターティアの高速回線サービスは黒字化を達成。今後は、上海巨現でのCOCOARの中国展開に注目
5. Startia Asia
Startia Asia(スターティア・アジア)は同社のアジア地域の海外展開を統括する事業会社で、傘下に上海スターティア、西安スターティアソフト、及び上海巨現智能科技の3社を収めている。
上海スターティアは同社の100%子会社で、日中間の高速回線サービス「Global Gateway(GG)」のサービスを運営している。顧客は中国に拠点を持つ日本企業や個人だ。上海スターティアが中国の大手キャリアと提携して回線を確保し、顧客に対して通常よりも最大で10倍(注:顧客オフィスで0.4Mbpsから5.0Mbpsに改善したことを確認)の高速インターネットサービスを提供している。
西安スターティアソフトは同社の出資比率が30%の持分法適用会社で、ソフトウェアの企画開発を事業としている。同社との関係では、スターティアラボから受託してソフトウェアの開発を行っている。業績的にはその時々で変動も大きいとみられるが、同社への業績インパクトは限定的と弊社ではみている。
上海巨現知能科技は、スターティアラボが40%、西安スターティアソフトが20%、及び上海の印刷会社4社が10%ずつ出資して2017年6月に設立した企業だ。事業目的はAR作成ソフトのCOCOARを中国市場で販売することだ。
Startia Asiaの成長戦略は上海スターティアの収益拡大と、上海巨現の黒字化の2つが中核となると弊社では考えている。このうち上海スターティアについては、GGの顧客数が順調に拡大した結果、2018年3月期において黒字化に漕ぎつけたもようだ。上海スターティアは2017年10月に「Global Gateway for AWS」を開始したことなどが寄与したとみられる(「Global Gateway for AWS」については2018年1月26日付前回レポートに詳しい)。2019年3月期は黒字幅をさらに拡大させるものと期待される。
一方、上海巨現におけるCOCOAR販売は、2019年3月期は赤字が続くと弊社ではみている。COCOARの商品性の高さは中国でも評価されると考えられるが、商慣習や現地の従業員のマネジメントの問題などで、拡販に苦戦しているもようだ。2020年3月期までに300契約を獲得して黒字化達成というのが現状の想定シナリオだが、今後の展開を見守りたい。
Startia Asiaのもう1つのポイントはCVC事業だ。今後はStartia Asiaが主導してCVC事業を行っていくことが今回明らかになった。Startia Asiaの平岡社長がCVC事業のヘッドを兼務していることと、同氏の活動拠点であるシンガポールのほうがベンチャー投資に関する情報が集まりやすいということが背景にある。同社のCVC事業は日本に限定しているわけではなく、経済成長のスピードが速い東南アジア地域に軸足を置くことでビジネスシーズ(種)の取り込みを狙う方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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