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CDG Research Memo(3):18/3期は前期の特需剥落と新規ツールの開発費増により減収減益に転じる

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年3月期の業績概要
CDG<2487>の2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.8%減の10,823百万円、営業利益が同5.4%減の636百万円、経常利益が同4.1%減の657百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.1%減の462百万円と2期ぶりの減収減益となった。

国内景気が緩やかに回復基調を続けるなかで、飲食業界やファッション業界向けで大型案件を獲得し、売上高が大きく伸びたものの、製薬業界向け販促グッズの減少傾向が続いたほか、前期に特需があった不動産業界向けや流通・小売業界向けが減少したことが減収要因となった。また、デジタルプロモーション領域での取組みに関しては、2017年2月に「SPコネクト」の提供を開始したのに続き、5月に動画広告配信サービス「プロプラ」、8月にコンテンツECプラットフォーム「Buzzaar(バザール)」、11月にマーケティング分析ツール「C-Value」の提供を相次いで開始している。「SPコネクト」については大型受注を獲得したこともあり、売上高で6億円と順調な立上がりを見せたが、その他のサービスについてはまだ、収益への貢献には至っていない。

営業利益は減収による売上総利益の減少が減益要因となった。販管費は経費の削減に取組んだことに加えて、前期に計上した東証第1部への市場変更関連費用(30〜40百万円)がなくなったことにより、前期比4.2%減となった。なお、会社計画比で売上高、利益ともに若干未達となったが、これは製薬業界向けの低迷長期化とデジタルプロモーション事業の立上がりが想定よりも遅れていることが主因となっている。

2. 業種別売上動向
主要業種別の売上動向を見ると、10業種中6業種で増収となった。このうち最も構成比の高い自動車業界向けに関しては、前期比0.4%増とほぼ横ばい水準となった。引続き主力顧客である大手自動車メーカーからのプロモーショングッズ制作に関する引合いが旺盛だった。

食品及び飲料・嗜好品業界向けは前期比53.4%増と大幅増収となった。食品業界向けは同11.2%減と低迷したものの、飲料・嗜好品業界向けが同87.6%増と急増した。ネスレ日本(株)から「SPコネクト」の受注を獲得したほか、サントリー食品インターナショナル<2587>、アサヒグループホールディングス<2502>の販売キャンペーン案件を受注できたことが主因となっている。

情報・通信業界向けは、格安スマートフォンの販売キャンペーンに関する受注を獲得したことで前期比10.6%増収となった。ファッション・アクセサリー業界向けは、前期比33.1%増と好調に推移した。主力顧客のファーストリティリング<9983>(ユニクロ)が年2回実施している大型キャンペーンで使用するプロモーショングッズを連続で受注できたことや、海外でのキャンペーン用グッズの受注が拡大したことが増収要因となった。プロモーショングッズは、同社のデザイン性や品質管理体制、海外も含めた調達ネットワーク力などが評価されている。

一方、減少した業種としては薬品・医療用品が挙げられ、前期比で16.1%減収となった。詳細な業種別売上高を開示した2015年3月期以降、連続で減収が続いている。日本製薬工業協会が2015年7月に発表した指針によって、医薬品の販促施策としてプロモーショングッズ※の利用ができなくなったことが要因となっている。

※医薬品の販促施策として、ペンやノート等に医薬品名を記載して配布してきたが、これが禁止された。


また、流通・小売業界向けについても前期比23.3%減と落ち込んだ。主力顧客であるセブン&アイ・ホールディングス(セブンーイレブン)<3382>の販売キャンペーンが当期はなかったことが要因となっている。不動産・住宅設備向けについても同52.3%減と大幅減収となった。これは2017年3月期に大東建託<1878>の周年記念用のグッズ等の大型受注を獲得した反動減による。

3. 子会社の動向
子会社3社の業績はいずれもほぼ前期並みの水準で推移した。米国子会社については現地日系企業向け(食品・飲料メーカー等)にノベルティグッズの受注が堅調に推移し、売上高は前期比横ばいの約2億円となった。米国ではノベルティグッズを提供する競合他社がないため、同社に受注が集まっている。また、ゴールドボンドは地方の中小企業に対するASEANへの進出支援サービスが引続き堅調で、売上高は約3億円と前期比増収となった。ポケットティッシュの製造販売を行う岐阜クリエートについては、全体的な需要減少に対応するため自社で顧客開拓を進めているものの、生産数量で前期比4.7%減となっており、売上高も若干減になったと見られる。


自己資本比率70%超かつ無借金経営であり、財務の健全性は高い
4. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比873百万円減少の6,592百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では自己株式取得等により現預金が655百万円減少したほか、売上債権が308百万円減少した。また、固定資産では主に投資有価証券が201百万円増加した。

負債合計は前期末比799百万円減少の1,636百万円となった。流動負債では支払手形及び買掛金が774百万円減少し、固定負債では繰延税金負債が25百万円増加した。純資産に関しては、前期末比74百万円減少の4,955百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益462百万円を計上した一方で、配当金の支払いで176百万円、自己株式取得で464百万円を支出したことが減少要因となっている。

経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は負債の減少もあって、前期末比7.6ポイント上昇の74.7%となった。無借金経営を継続していることもあり、財務の健全性は高いと判断される。また、収益性に関してみれば、ROA、ROEともに前期比で若干低下したものの、10%前後の水準で安定して推移している。売上高経常利益率は6.1%とほぼ前期並みの水準となっているが、同社は10%の水準を目指しており、今後の収益性向上に向けた施策が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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