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全国保証 Research Memo(1):2018年3月期業績は計画を上回る増収増益(過去最高益を更新)

注目トピックス 日本株
■要約

全国保証<7164>は、独立系の信用保証最大手である。銀行や信用金庫、信用組合など様々な金融機関との提携による民間住宅ローン向け保証業務を柱とし、沖縄を除く全国に展開している。民間住宅ローン向けの保証業務に特化することで、関連するデータやノウハウの蓄積を図り、迅速かつ精度の高い審査能力やリスク・リターンに見合った適正な料率設定などによる精緻な与信管理に強みがある。外部保証を活用することによる業務の効率化や与信管理の強化を目指す提携金融機関の拡大とともに、同社業績も順調に拡大している。

2018年3月期の業績は、営業収益が前期比10.3%増の39,599百万円、営業利益が同10.8%増の31,179百万円と計画を上回る増収増益を実現し、過去最高益を更新した。保証債務残高の拡大(前期末比8.3%増の11兆7,893億円)が増収に寄与。特に、住宅ローン市場全体の新規貸出額が前年度を下回る状況となったなかで、同社の新規保証実行金額は大型銀行(メガバンクや信託銀行、大手地銀など)との取引拡大により比較的堅調に推移し、業績の伸びを下支えした。提携金融機関数も新たに13機関(銀行2行、JA11組合)との契約締結により合計746機関(前期末比8機関増)に拡大。損益面で営業利益が計画を大きく上回ったのは、増収による利益の底上げに加えて、与信関連費用が想定を大きく下回ったことに起因する。また、2018年3月期より配当性向を25%に引き上げ、株主還元の強化も図っている。

2019年3月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比5.4%増の41,750百万円、営業利益を同2.7%増の32,020百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。業績予想の前提として、2019年3月期末の保証債務残高を12兆7,000億円(前期末比7.7%増)、与信関連費用を3,240百万円(前期比36.5%増)と想定している。弊社では、大型銀行との取引拡大が着実に進展していることなどから同社業績予想の達成は十分に可能であると評価している。また、与信関連費用の想定についても、好調な外部環境(雇用環境など)から判断して現時点では合理性があるものの、保守的な水準とみており、2018年3月期同様、与信関連費用の低位推移が業績の上振れ要因となる可能性にも注意が必要だと弊社では見ている。

同社は、2018年3月期を初年度とする中期経営計画「Best route to 2020」を推進。「住宅ローン保証事業におけるトップ地位確立」をスローガンとし、1)事業規模の拡大、2)企業価値の向上、3)事業領域の拡大(長期的課題)に取り組む。2020年3月期の目標として保証債務残高13兆5,370億円を掲げるとともに、営業収益45,100百万円(3年間の年平均成長率は7.9%)、営業利益33,510百万円(同6.0%)を目指している。特に、事業規模の拡大については、大型銀行など既存提携先との関係強化に向けた付加価値向上により、顧客内シェアを高める戦略である。また、長期的な視点からは、住宅ローン保証事業との相乗効果が期待できる新たな事業について検討を進めている。M&Aや他社との提携も視野に入れながら、740を超える提携金融機関のネットワークや豊富な保有データ量、民間住宅ローン業務ノウハウ(審査、債権管理等)など同社の強みを生かせる分野への事業領域の拡大を目指していく。

弊社では、好調な外部環境や足元の業績等から判断して中期経営計画の達成は十分に可能であり、計画の上方修正にも注意する必要があるとみている。特に、保証債務残高の拡大のためには、案件の多い大型銀行との取引拡大が最も重要であるが、同社の施策(システム連携などによる利便性の向上など)が利用率の向上(顧客内シェアの拡大)に結び付く可能性は高い。唯一の独立系信用保証大手でありながら、市場シェアがまだ小さいところも成長余地の大きさを示している。また、政府の後押しが期待される中古住宅・リフォーム市場の拡大についても同社にとって追い風となる可能性がある。今後も、本業におけるシェア拡大に向けた戦略の進捗に加えて、新規事業を含めた事業領域の拡大の動きに注目していきたい。

■Key Points
・中期経営計画の初年度である2018年3月期は計画を上回る増収増益を実現(過去最高益を更新)
・銀行を中心とした新規提携先の獲得や大型銀行との取引拡大(利用率向上)が業績の伸びをけん引
・2018年3月期より配当性向を25%に引き上げ
・2019年3月期も好調な外部環境を追い風として業績拡大が継続する見通し
・システム連携による利用率向上や業務効率化のほか、新規事業による事業領域の拡大にも取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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