ジェイ・エス・ビー Research Memo(6):強固な経営基盤を構築し、次期ステージの発展につなげる
[18/07/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
1.中期経営計画の概要
同社グループの経営環境は、今後も成長機会に恵まれており、ジェイ・エス・ビー<3480>の成長戦略に対する少子高齢化進展の影響は限定的であると考えられる。すなわち、不動産賃貸管理事業では、4年制大学、特に女子学生の増加が顕著であること、国の政策サポートにより留学生も増加を続けること、自宅外生の比率は緩やかに上昇していることなどから、学生マンションの供給は不足しており、学?マンション市場は拡?傾向を続けると予想される。また、同社推計では2018年現在の下宿需要に対する同社シェアは3.4%に過ぎないことから、今後もシェア拡大の余地が大きいと考えられる。さらに、2018年5月時点の高齢者向け住宅の登録数23万戸に対して、政府の新成長戦略における目標は2020年までに60万戸であることから、高齢者住宅市場も年々拡大すると見られる。
こうした経営環境を踏まえ、同社グループでは今後3年間に景気に左右されない強固な経営基盤を構築することを目指す。すなわち、2020年10月期には管理戸数を70,000戸(2017年10月期比16.4%増)に増やし、売上高435億円(同1.20倍)、経常利益33億円(同1.27倍)と過去最高益を更新することで、経常利益率も7.2%から7.7%に上昇させる計画である。一方、設備投資では競争力の高い自社仕様物件の取得や賃貸不動産のポートフォリオ構成の最適化により114億円、2018年5月稼働開始予定の賃貸・メンテナンスの基幹システム入れ替えに伴うソフトウェアなどに5億円を計画している。今後3年間は、事業の選択と集中を継続し、更なる成長のための経営資源強化・戦略的投資を行い、次期ステージでの発展につなげる計画である。
同社グループは、学生マンション業界のパイオニアとして、高い知名度や信頼を築いている。加えて、超高齢社会の進行を見据えて、高齢者住宅事業にも布石を打っている。今後も学生マンションや高齢者住宅の供給不足が続くと予想されることや、現在の市場シェアを考えると同社の成長余地は大きく、弊社では中期経営計画の目標達成は十分に可能と考える。
2.成長戦略
(1)不動産賃貸管理事業
同社では、上記の経営目標を達成するための成長戦略として、まず不動産賃貸管理事業においては、学生マンションの収益力向上を目指して以下の3点を実施する。
第1に、戸数増加とともに利益重視を目指す。すなわち、地域別・物件のグレード別の募集賃料見直しなどによる既存物件の利益率向上や、競争力の高い新規物件開発による管理戸数増加、土地・収益物件への積極投資などを行う。新潟の学?会館エル・セレーノ新潟内野(借上)や石川県野々市市の学生会館UniE?meal?沢??前(自社)では、食事付き、家具・家電備え付け、セキュリティ重視などから人気を博し、キャンセル待ちの状況である。このように高付加価値化による競争力の高い物件開発によって、利益率の向上を図っている。
第2に、自社学生マンションブランドの差別化及びサービス品質の向上を図る。すなわち、食育・健康の観点から健全な食生活をサポートする食事付きマンションの開発や、留学生をターゲットとするビジネスモデルの確立を目指す。札幌の「ルーチェ・エルム」(2018年3月竣工)は、食事付きマンションであるが、5F〜6Fは女子専用フロア、8F〜10Fは大学生協マンション(北海道大学学生専用)としており、サービス品質を向上させたマンションを展開している。このように入居者ニーズに対応したマンションを開発することでサービス品質を向上し、自社ブランドの差別化を図っている。
第3に、企画開発・賃貸営業・メンテナンス各部門の一層の連携を行う。すなわち、メンテナンス事業の営業強化とともに、賃貸営業部門・メンテナンス部門と協力した案件情報収集・営業強化を推進する考えだ。学生会館ユニハーモニー宮前平、学生会館ユニハーモニー鷺沼などではリノベーションを行い、デザイン性にあふれ、解放感のある空間に改装している。このようなメンテナンスを通じて、不動産オーナーへの営業力の強化を図っている。
(2)高齢者住宅事業
次に、高齢者住宅事業においては、次の3点の実施により、新成長ドライバーに発展させる。
第1に、新規高齢者住宅の受託を増やす。すなわち、グループホームや多世代共生型住宅など、多様なニーズに応えるバリエーションの構築や、会計事務所、地方金融機関、ファンド、リース会社などとの連携を強化する。現在、全国で10棟を運営するが、今後はM&Aによる受託先の増加も検討している。
第2に、運営力の向上を図る。すなわち、高稼働維持、介護サービスなどの提供力の向上に加え、IT・AIの活用などにより運営の良質化を行う。
第3に、地域に根差した存在を目指す。すなわち、地域への浸透を図り、交流の場を提供することで、高齢者住宅を地域の公民館のようにする計画である。
(3)組織強化
加えて、組織強化の面では、人員数・店舗数を増強し、キャパシティを拡大して更なる成長につなげる。具体的には、グループの人員数・店舗数を2017年10月期の772人・70店から、2020年10月期には892人・85店にまで増やす計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<MH>
1.中期経営計画の概要
同社グループの経営環境は、今後も成長機会に恵まれており、ジェイ・エス・ビー<3480>の成長戦略に対する少子高齢化進展の影響は限定的であると考えられる。すなわち、不動産賃貸管理事業では、4年制大学、特に女子学生の増加が顕著であること、国の政策サポートにより留学生も増加を続けること、自宅外生の比率は緩やかに上昇していることなどから、学生マンションの供給は不足しており、学?マンション市場は拡?傾向を続けると予想される。また、同社推計では2018年現在の下宿需要に対する同社シェアは3.4%に過ぎないことから、今後もシェア拡大の余地が大きいと考えられる。さらに、2018年5月時点の高齢者向け住宅の登録数23万戸に対して、政府の新成長戦略における目標は2020年までに60万戸であることから、高齢者住宅市場も年々拡大すると見られる。
こうした経営環境を踏まえ、同社グループでは今後3年間に景気に左右されない強固な経営基盤を構築することを目指す。すなわち、2020年10月期には管理戸数を70,000戸(2017年10月期比16.4%増)に増やし、売上高435億円(同1.20倍)、経常利益33億円(同1.27倍)と過去最高益を更新することで、経常利益率も7.2%から7.7%に上昇させる計画である。一方、設備投資では競争力の高い自社仕様物件の取得や賃貸不動産のポートフォリオ構成の最適化により114億円、2018年5月稼働開始予定の賃貸・メンテナンスの基幹システム入れ替えに伴うソフトウェアなどに5億円を計画している。今後3年間は、事業の選択と集中を継続し、更なる成長のための経営資源強化・戦略的投資を行い、次期ステージでの発展につなげる計画である。
同社グループは、学生マンション業界のパイオニアとして、高い知名度や信頼を築いている。加えて、超高齢社会の進行を見据えて、高齢者住宅事業にも布石を打っている。今後も学生マンションや高齢者住宅の供給不足が続くと予想されることや、現在の市場シェアを考えると同社の成長余地は大きく、弊社では中期経営計画の目標達成は十分に可能と考える。
2.成長戦略
(1)不動産賃貸管理事業
同社では、上記の経営目標を達成するための成長戦略として、まず不動産賃貸管理事業においては、学生マンションの収益力向上を目指して以下の3点を実施する。
第1に、戸数増加とともに利益重視を目指す。すなわち、地域別・物件のグレード別の募集賃料見直しなどによる既存物件の利益率向上や、競争力の高い新規物件開発による管理戸数増加、土地・収益物件への積極投資などを行う。新潟の学?会館エル・セレーノ新潟内野(借上)や石川県野々市市の学生会館UniE?meal?沢??前(自社)では、食事付き、家具・家電備え付け、セキュリティ重視などから人気を博し、キャンセル待ちの状況である。このように高付加価値化による競争力の高い物件開発によって、利益率の向上を図っている。
第2に、自社学生マンションブランドの差別化及びサービス品質の向上を図る。すなわち、食育・健康の観点から健全な食生活をサポートする食事付きマンションの開発や、留学生をターゲットとするビジネスモデルの確立を目指す。札幌の「ルーチェ・エルム」(2018年3月竣工)は、食事付きマンションであるが、5F〜6Fは女子専用フロア、8F〜10Fは大学生協マンション(北海道大学学生専用)としており、サービス品質を向上させたマンションを展開している。このように入居者ニーズに対応したマンションを開発することでサービス品質を向上し、自社ブランドの差別化を図っている。
第3に、企画開発・賃貸営業・メンテナンス各部門の一層の連携を行う。すなわち、メンテナンス事業の営業強化とともに、賃貸営業部門・メンテナンス部門と協力した案件情報収集・営業強化を推進する考えだ。学生会館ユニハーモニー宮前平、学生会館ユニハーモニー鷺沼などではリノベーションを行い、デザイン性にあふれ、解放感のある空間に改装している。このようなメンテナンスを通じて、不動産オーナーへの営業力の強化を図っている。
(2)高齢者住宅事業
次に、高齢者住宅事業においては、次の3点の実施により、新成長ドライバーに発展させる。
第1に、新規高齢者住宅の受託を増やす。すなわち、グループホームや多世代共生型住宅など、多様なニーズに応えるバリエーションの構築や、会計事務所、地方金融機関、ファンド、リース会社などとの連携を強化する。現在、全国で10棟を運営するが、今後はM&Aによる受託先の増加も検討している。
第2に、運営力の向上を図る。すなわち、高稼働維持、介護サービスなどの提供力の向上に加え、IT・AIの活用などにより運営の良質化を行う。
第3に、地域に根差した存在を目指す。すなわち、地域への浸透を図り、交流の場を提供することで、高齢者住宅を地域の公民館のようにする計画である。
(3)組織強化
加えて、組織強化の面では、人員数・店舗数を増強し、キャパシティを拡大して更なる成長につなげる。具体的には、グループの人員数・店舗数を2017年10月期の772人・70店から、2020年10月期には892人・85店にまで増やす計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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