スカラ Research Memo(3):「i-search」「i-ask」などで国内トップクラスのシェアを誇る
[18/09/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
2. 事業内容
スカラ<4845>の主力事業は、企業のCRM領域の業務効率改善に資するITサービスを提供するSaaS/ASP事業と、ソフトブレーングループのSFA事業(eセールスマネージャー関連事業)、フィールドマーケティング事業、レオコネクトのカスタマーサポート事業の4事業とその他(ソフトブレーンのシステム開発及び出版事業、plubeのEC事業)に分けて開示している。2018年6月期の事業別売上構成比は、SaaS/ASP事業で24.5%、SFA事業で32.6%、フィールドマーケティング事業で26.7%、カスタマーサポート事業で6.7%、その他で9.5%となっている。また、セグメント利益の構成比ではSaaS/ASP事業で36.2%、SFA事業で42.0%、フィールドマーケティング事業で17.0%とこれら3つの事業で全体の約95%を占めている。
(1) SaaS/ASP事業
SaaS/ASPの主要なサービスとしては、Webサイト内の検索サービス「i-search」やFAQサービス「i-ask」、自動音声応答システム「IVR」、ニュース配信サービス等がある。
このうち、「i-search」は2007年からサービスを開始し、現在は大手企業を中心に導入社数が約360社以上、市場シェアは15%前後で業界トップシェアとなっている。参入企業が10社以上あるが、同社のサービスは検索結果に画像を表示することで見やすさをアップし、ユーザーを的確に誘導できることが特徴となっている。月額利用料金は平均で10〜15万円となる。
「i-ask」は2008年頃からサービスを開始し、金融・保険業界向けを中心に約160社に導入されている。よくある質問とその回答をあらかじめ企業サイト内に登録しておくことで、ユーザーの自己解決を可能にするサービスとなる。コールセンターへのアクセス件数を軽減し、コスト削減に寄与すると同時に顧客満足度の向上が期待できるサービスで、業界シェアは約15%とオウケイウェイヴ<3808>に次ぐ2位となっている。月額利用料金は平均で20〜30万円となる。
「IVR」は企業の電話窓口で音声による自動応答を行うシステムとなり、SaaS型で提供していることが特徴となっている。従来は企業側でPBX(構内交換機)を導入しなければならず投資負担が大きかったが、SaaS型の提供となるため安価にサービスを利用できるほか、キャンペーン時など期間限定で利用したいニーズにも対応可能なことが特徴となっている。
その他、法人向けニュース配信サービスや、顧客ニーズに応じたWebサイトの企画・開発・制作・保守運用サービスなども行っており、サービスラインナップが豊富で特定のサービスに依存していないことが特徴となっている。カスタム開発案件として、IoT・ビッグデータに関連するシステムの開発及びサービスの提供も行っている。代表的な例として、損害保険ジャパン日本興亜(株)が販売する安全運転支援サービス「スマイリングロード」(法人向け)※1やスマートフォン用アプリ「ポータブルスマイリングロード」(個人向け)※2がある。これらサービスでは、利用者のドライブレコーダーから送信される走行データ等のビッグデータをスカラコミュニケーションズのサーバーで受信し、同社が開発したWebシステムによって運用・管理している。
※1 IoT技術を活用してドライブレコーダーから収集した運転走行データの処理を始め、ドライバーや管理者のための運転診断データの提供や、運転評価システムに基づき高評価を得たドライバーへのポイント付与や懸賞応募など、ドライバーが安全運転に取り組むことができる数々の機能を、Webサイトやスマートフォンアプリを通じて提供し、継続的な安全運転の促進と事故予防に寄与するサービス。
※2 スマートフォンアプリを通して、ドライバーの万一の事故時にワンプッシュで事故報告する「安心」の機能、運転診断やリアルタイム情報提供など事故防止に役立つ「安全」の機能、「快適」なカーナビゲーション機能を提供し、安全運転の促進と事故予防に寄与するサービス。
(2) ソフトブレーングループの事業
ソフトブレーングループの事業は、SFA事業、フィールドマーケティング事業、その他に分けられる。SFA事業は主に、営業支援ソフトである「eセールスマネージャー」の開発・販売と営業課題を解決するためのコンサルティングサービス、スキルトレーニング、企業におけるスマートデバイスの導入支援サービスなどが含まれる。「eセールスマネージャー」は使い勝手No.1ソフトとして評価が高く、SFAの国産ベンダーとしては業界トップで、累計導入社数も4,500社を超えている。
また、フィールドマーケティング事業では、主に消費財メーカーを顧客とし、店頭でのフィールド活動やマーケット調査などを、30〜50代の主婦層を中心としたキャスト(登録スタッフ)を活用して行っている。2018年6月末時点でキャスト数は全国で約8.4万人、カバーする店舗数もコンビニエンスストアやドラッグストアなど16万店舗を超えており、国内ではトップクラスの規模で事業を展開している。また、フィールド活動を行うラウンダー人材の派遣・紹介事業なども展開している。
システム開発事業及び出版事業についてはその他のセグメントに含まれているが、売上、利益ともに規模は小さく、収益に与える影響も軽微となっている。
(3) カスタマーサポート事業
2018年3月に子会社化したレオコネクトの事業となる。顧客企業のサービスや商品に対する問合せ受付から、対応後のフォローアップまでを行うインバウンドコールセンター(全国24拠点)の運営に関するコンサルティング業務を行っている。従来は、光通信グループが顧客であったが同社のグループに入ったことで、ITサービスを強化し従来の問題解決型コールセンターから、提案型のインバウンドコールセンターへの発展を目指して行くと同時に、光通信グループ以外の新規顧客開拓も進めていく方針となっている。
(4) その他
その他には、ソフトブレーンのシステム開発、出版事業のほか、plubeのEC事業が含まれる。対戦型トレーディングカードの売買を行うECサイト「遊々亭」を運営している。ゲーム業界での認知度は高く、中古カードの価格値付けでは参考指標にされるほどの影響力を持ち、海外ユーザーからの購入も多い。
顧客目線の開発による利便性の高さと豊富なサービスメニューで他社と差別化を図る
3. 同社の強み
SaaS/ASP事業における同社の強みは、顧客基点のサービス開発を行っていることにある。同社の営業は大半が直販であり、売上高の80%を直販で占めている。顧客ニーズを直接聞き取り自社の開発陣にフィードバックすることで、サービスの機能向上や新サービスの開発につなげている。また、顧客からの要望については100%応えることを開発ポリシーとしている。現在の主力サービスである「i-search」や「i-ask」もこうした顧客要望から開発されたサービスのため使い勝手も良く、新規顧客への拡販がスムーズに進む要因となっている。
こうして開発した豊富なサービスラインナップを持つことで、競合他社との差別化が可能なことも同社の強みと言える。企業のWebサイトに関わるSaaS/ASPサービスは競合も多いが、単独のサービスだけを提供する企業が大半で、同社のように複数のサービスを提供している企業は少ない。複数サービスを連携して提案できることで、多様な顧客ニーズに対応でき、クロスセルによる顧客当たり単価の上昇とともに顧客満足度の向上にもつながっている。取引実績としては、上場企業400社を含む1,000社以上となっている。
SaaS/ASP事業の特徴としては、売上収益の約7割を月額課金収入で占めており、契約の積み上げに応じて毎月収益が積み上がるストック型のビジネスモデルとなっていることが挙げられる。従量料金は極力採用せず、月額固定料金のみでサービスを提供することを基本方針としている。また、主要サービスの粗利益率は約80%と高い収益性を維持している(ニュース配信サービスはコンテンツの仕入れコストが掛かるため約70%と低くなる)。これらサービスは顧客ニーズに対応してカスタム開発したものを一般サービスとして横展開しているため、開発コストを結果的に低く抑えられていることが要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
2. 事業内容
スカラ<4845>の主力事業は、企業のCRM領域の業務効率改善に資するITサービスを提供するSaaS/ASP事業と、ソフトブレーングループのSFA事業(eセールスマネージャー関連事業)、フィールドマーケティング事業、レオコネクトのカスタマーサポート事業の4事業とその他(ソフトブレーンのシステム開発及び出版事業、plubeのEC事業)に分けて開示している。2018年6月期の事業別売上構成比は、SaaS/ASP事業で24.5%、SFA事業で32.6%、フィールドマーケティング事業で26.7%、カスタマーサポート事業で6.7%、その他で9.5%となっている。また、セグメント利益の構成比ではSaaS/ASP事業で36.2%、SFA事業で42.0%、フィールドマーケティング事業で17.0%とこれら3つの事業で全体の約95%を占めている。
(1) SaaS/ASP事業
SaaS/ASPの主要なサービスとしては、Webサイト内の検索サービス「i-search」やFAQサービス「i-ask」、自動音声応答システム「IVR」、ニュース配信サービス等がある。
このうち、「i-search」は2007年からサービスを開始し、現在は大手企業を中心に導入社数が約360社以上、市場シェアは15%前後で業界トップシェアとなっている。参入企業が10社以上あるが、同社のサービスは検索結果に画像を表示することで見やすさをアップし、ユーザーを的確に誘導できることが特徴となっている。月額利用料金は平均で10〜15万円となる。
「i-ask」は2008年頃からサービスを開始し、金融・保険業界向けを中心に約160社に導入されている。よくある質問とその回答をあらかじめ企業サイト内に登録しておくことで、ユーザーの自己解決を可能にするサービスとなる。コールセンターへのアクセス件数を軽減し、コスト削減に寄与すると同時に顧客満足度の向上が期待できるサービスで、業界シェアは約15%とオウケイウェイヴ<3808>に次ぐ2位となっている。月額利用料金は平均で20〜30万円となる。
「IVR」は企業の電話窓口で音声による自動応答を行うシステムとなり、SaaS型で提供していることが特徴となっている。従来は企業側でPBX(構内交換機)を導入しなければならず投資負担が大きかったが、SaaS型の提供となるため安価にサービスを利用できるほか、キャンペーン時など期間限定で利用したいニーズにも対応可能なことが特徴となっている。
その他、法人向けニュース配信サービスや、顧客ニーズに応じたWebサイトの企画・開発・制作・保守運用サービスなども行っており、サービスラインナップが豊富で特定のサービスに依存していないことが特徴となっている。カスタム開発案件として、IoT・ビッグデータに関連するシステムの開発及びサービスの提供も行っている。代表的な例として、損害保険ジャパン日本興亜(株)が販売する安全運転支援サービス「スマイリングロード」(法人向け)※1やスマートフォン用アプリ「ポータブルスマイリングロード」(個人向け)※2がある。これらサービスでは、利用者のドライブレコーダーから送信される走行データ等のビッグデータをスカラコミュニケーションズのサーバーで受信し、同社が開発したWebシステムによって運用・管理している。
※1 IoT技術を活用してドライブレコーダーから収集した運転走行データの処理を始め、ドライバーや管理者のための運転診断データの提供や、運転評価システムに基づき高評価を得たドライバーへのポイント付与や懸賞応募など、ドライバーが安全運転に取り組むことができる数々の機能を、Webサイトやスマートフォンアプリを通じて提供し、継続的な安全運転の促進と事故予防に寄与するサービス。
※2 スマートフォンアプリを通して、ドライバーの万一の事故時にワンプッシュで事故報告する「安心」の機能、運転診断やリアルタイム情報提供など事故防止に役立つ「安全」の機能、「快適」なカーナビゲーション機能を提供し、安全運転の促進と事故予防に寄与するサービス。
(2) ソフトブレーングループの事業
ソフトブレーングループの事業は、SFA事業、フィールドマーケティング事業、その他に分けられる。SFA事業は主に、営業支援ソフトである「eセールスマネージャー」の開発・販売と営業課題を解決するためのコンサルティングサービス、スキルトレーニング、企業におけるスマートデバイスの導入支援サービスなどが含まれる。「eセールスマネージャー」は使い勝手No.1ソフトとして評価が高く、SFAの国産ベンダーとしては業界トップで、累計導入社数も4,500社を超えている。
また、フィールドマーケティング事業では、主に消費財メーカーを顧客とし、店頭でのフィールド活動やマーケット調査などを、30〜50代の主婦層を中心としたキャスト(登録スタッフ)を活用して行っている。2018年6月末時点でキャスト数は全国で約8.4万人、カバーする店舗数もコンビニエンスストアやドラッグストアなど16万店舗を超えており、国内ではトップクラスの規模で事業を展開している。また、フィールド活動を行うラウンダー人材の派遣・紹介事業なども展開している。
システム開発事業及び出版事業についてはその他のセグメントに含まれているが、売上、利益ともに規模は小さく、収益に与える影響も軽微となっている。
(3) カスタマーサポート事業
2018年3月に子会社化したレオコネクトの事業となる。顧客企業のサービスや商品に対する問合せ受付から、対応後のフォローアップまでを行うインバウンドコールセンター(全国24拠点)の運営に関するコンサルティング業務を行っている。従来は、光通信グループが顧客であったが同社のグループに入ったことで、ITサービスを強化し従来の問題解決型コールセンターから、提案型のインバウンドコールセンターへの発展を目指して行くと同時に、光通信グループ以外の新規顧客開拓も進めていく方針となっている。
(4) その他
その他には、ソフトブレーンのシステム開発、出版事業のほか、plubeのEC事業が含まれる。対戦型トレーディングカードの売買を行うECサイト「遊々亭」を運営している。ゲーム業界での認知度は高く、中古カードの価格値付けでは参考指標にされるほどの影響力を持ち、海外ユーザーからの購入も多い。
顧客目線の開発による利便性の高さと豊富なサービスメニューで他社と差別化を図る
3. 同社の強み
SaaS/ASP事業における同社の強みは、顧客基点のサービス開発を行っていることにある。同社の営業は大半が直販であり、売上高の80%を直販で占めている。顧客ニーズを直接聞き取り自社の開発陣にフィードバックすることで、サービスの機能向上や新サービスの開発につなげている。また、顧客からの要望については100%応えることを開発ポリシーとしている。現在の主力サービスである「i-search」や「i-ask」もこうした顧客要望から開発されたサービスのため使い勝手も良く、新規顧客への拡販がスムーズに進む要因となっている。
こうして開発した豊富なサービスラインナップを持つことで、競合他社との差別化が可能なことも同社の強みと言える。企業のWebサイトに関わるSaaS/ASPサービスは競合も多いが、単独のサービスだけを提供する企業が大半で、同社のように複数のサービスを提供している企業は少ない。複数サービスを連携して提案できることで、多様な顧客ニーズに対応でき、クロスセルによる顧客当たり単価の上昇とともに顧客満足度の向上にもつながっている。取引実績としては、上場企業400社を含む1,000社以上となっている。
SaaS/ASP事業の特徴としては、売上収益の約7割を月額課金収入で占めており、契約の積み上げに応じて毎月収益が積み上がるストック型のビジネスモデルとなっていることが挙げられる。従量料金は極力採用せず、月額固定料金のみでサービスを提供することを基本方針としている。また、主要サービスの粗利益率は約80%と高い収益性を維持している(ニュース配信サービスはコンテンツの仕入れコストが掛かるため約70%と低くなる)。これらサービスは顧客ニーズに対応してカスタム開発したものを一般サービスとして横展開しているため、開発コストを結果的に低く抑えられていることが要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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