Jストリーム Research Memo(1):動画配信システムのトップランナー
[18/12/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
Jストリーム<4308>は、広く企業向けにインターネット動画配信用ソフトウェアや配信プラットフォームを提供している。基盤となるのが自社で構築したCDN(Content Delivery Network)で、大量のアクセスに対応可能な上、どのようなデバイスにもどのような環境下でも、高速で安定した配信を行うことができる。そのほかコンテンツやWebサイト、配信のためのシステムも制作・開発、運用している。同社の特徴は、専業として長年蓄積してきたノウハウ、高度なセキュリティと安定した配信、ワンストップサポートやカスタマイズといった利便性にある。このため同社は、国内のオンライン動画配信システム市場でシェアNo.1(2015年1月デジタルインファクト調査)というポジションを誇る。
同社の事業は配信事業、制作・システム開発事業、その他事業の3つで構成される。配信事業では、各種のインターネット動画配信用ソフトウェアや配信するためのプラットフォームを用いて、動画や音声といったコンテンツを配信するサービスを行っている。制作・システム開発事業では、動画制作のトータルプロデュースを手掛けている。グループ企業の保有する六本木のスタジオで、収録・編集のほかスタジオのレンタルサービスも提供している。その他では、多チャンネル事業者やCATV事業者向けにエンコード設備などの販売やインテグレーションを行っている。近年拡大中のライブ配信では、同社が得意とするCDNや企画・ライブ現場対応力が差別化ポイントとなっている。
こうした事業の脇を固める子会社が4社、関連会社が1社ある。なかでも2017年に子会社化した(株)イノコスは、CATV事業者向け設備の販売やインテグレーションを行っており、広がりを見せるサイマル放送などで視聴者へ向けた配信を得意とする同社とのシナジーは大きい。2018年に出資を行った(株)ビッグエムズワイは、医療業界特化型CRMにおける制作・運用実績が多く、同社とはサービス内容でのシナジーが期待される。こうした事業や子会社を背景に、同社は顧客の業種や用途に見合った動画配信のソリューションを提供するという戦略を展開している。
2019年3月期第2四半期の業績は、売上高3,333百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益91百万円(同33.2%減)となった。売上高は、好調を続けていた医薬向けライブ配信の受注が第1四半期を中心に想定を下回ったものの、メディア向けコンテンツ配信や金融向け情報共有・情報提供に関連するシステム構築、一般企業向けのWebサイトリニューアルなどは全般的に好調だった。2019年3月期の業績見通しについて、同社は売上高6,950百万円(前期比13.9%増)、営業利益375百万円(同5.0%増)を見込んでいる。医薬向けライブ配信については既に回復傾向にあるもようで、その他は業種別も用途別も引き続き好調が予想されている。ただし、成長市場ゆえ今後の業容拡大を見込んで先行投資を活発化しており、営業利益予想の伸びは低くなっている。
ターゲットとする業界も戦略的対応も絞られてきた。市場環境や同社の戦略を考慮すると、引き続き今後も売上高は順調に拡大していくと考えられる。このため、中期的には先行投資一巡によって、売上拡大とともに営業利益率が改善、営業利益の伸びが大きくなっていくことが期待される。一方、動画配信のコモディティ化による競争激化や無料配信の勃興などリスクもある。しかし、外部環境の勢いに加えCDNなど配信能力やユーザーの立場に立ったサポート力など、パイオニアとして常に最新技術と環境変化に対応してきた専業の強みを生かすことで、そうしたリスクも克服可能と考えられる。
■Key Points
・豊富なラインアップ、CDN、現場対応力などに特徴
・2019年3月期はライブ配信で出遅れるも全般的に好調
・先行費用一巡後は、中期利益成長期入りを想定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<MH>
Jストリーム<4308>は、広く企業向けにインターネット動画配信用ソフトウェアや配信プラットフォームを提供している。基盤となるのが自社で構築したCDN(Content Delivery Network)で、大量のアクセスに対応可能な上、どのようなデバイスにもどのような環境下でも、高速で安定した配信を行うことができる。そのほかコンテンツやWebサイト、配信のためのシステムも制作・開発、運用している。同社の特徴は、専業として長年蓄積してきたノウハウ、高度なセキュリティと安定した配信、ワンストップサポートやカスタマイズといった利便性にある。このため同社は、国内のオンライン動画配信システム市場でシェアNo.1(2015年1月デジタルインファクト調査)というポジションを誇る。
同社の事業は配信事業、制作・システム開発事業、その他事業の3つで構成される。配信事業では、各種のインターネット動画配信用ソフトウェアや配信するためのプラットフォームを用いて、動画や音声といったコンテンツを配信するサービスを行っている。制作・システム開発事業では、動画制作のトータルプロデュースを手掛けている。グループ企業の保有する六本木のスタジオで、収録・編集のほかスタジオのレンタルサービスも提供している。その他では、多チャンネル事業者やCATV事業者向けにエンコード設備などの販売やインテグレーションを行っている。近年拡大中のライブ配信では、同社が得意とするCDNや企画・ライブ現場対応力が差別化ポイントとなっている。
こうした事業の脇を固める子会社が4社、関連会社が1社ある。なかでも2017年に子会社化した(株)イノコスは、CATV事業者向け設備の販売やインテグレーションを行っており、広がりを見せるサイマル放送などで視聴者へ向けた配信を得意とする同社とのシナジーは大きい。2018年に出資を行った(株)ビッグエムズワイは、医療業界特化型CRMにおける制作・運用実績が多く、同社とはサービス内容でのシナジーが期待される。こうした事業や子会社を背景に、同社は顧客の業種や用途に見合った動画配信のソリューションを提供するという戦略を展開している。
2019年3月期第2四半期の業績は、売上高3,333百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益91百万円(同33.2%減)となった。売上高は、好調を続けていた医薬向けライブ配信の受注が第1四半期を中心に想定を下回ったものの、メディア向けコンテンツ配信や金融向け情報共有・情報提供に関連するシステム構築、一般企業向けのWebサイトリニューアルなどは全般的に好調だった。2019年3月期の業績見通しについて、同社は売上高6,950百万円(前期比13.9%増)、営業利益375百万円(同5.0%増)を見込んでいる。医薬向けライブ配信については既に回復傾向にあるもようで、その他は業種別も用途別も引き続き好調が予想されている。ただし、成長市場ゆえ今後の業容拡大を見込んで先行投資を活発化しており、営業利益予想の伸びは低くなっている。
ターゲットとする業界も戦略的対応も絞られてきた。市場環境や同社の戦略を考慮すると、引き続き今後も売上高は順調に拡大していくと考えられる。このため、中期的には先行投資一巡によって、売上拡大とともに営業利益率が改善、営業利益の伸びが大きくなっていくことが期待される。一方、動画配信のコモディティ化による競争激化や無料配信の勃興などリスクもある。しかし、外部環境の勢いに加えCDNなど配信能力やユーザーの立場に立ったサポート力など、パイオニアとして常に最新技術と環境変化に対応してきた専業の強みを生かすことで、そうしたリスクも克服可能と考えられる。
■Key Points
・豊富なラインアップ、CDN、現場対応力などに特徴
・2019年3月期はライブ配信で出遅れるも全般的に好調
・先行費用一巡後は、中期利益成長期入りを想定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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