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プレサンス Research Memo(1): 2019年3月期売上高1500億円超え、最高業績更新に向け順調

注目トピックス 日本株
■要約

プレサンスコーポレーション<3254>は、ファミリーマンション及びワンルームマンションの企画・開発・分譲から賃貸および建物管理まで一貫して手掛ける独立系の総合マンションデベロッパーである。近畿圏及び東海・中京圏のマンション供給数はそれぞれ8年連続、6年連続で1位であり、全国でも2位(2017年)に躍進した。都心主要駅近くで利便性の良い立地に、自社で企画開発するプレサンスシリーズのマンションを展開する。士気の高い販売部隊も強みであり、完成在庫の売れ残りは極めて少ない。1997年の設立以来、順調な成長を続けており、2007年に東証2部上場、リーマンショックにも大きな影響を受けずに2013年には東証1部上場を果たし、2015年に「JPX日経インデックス400」の構成銘柄に、2016年には「JPX日経中小型株指数」の構成銘柄に選定されており、株式市場の評価も高い。

同社はワンルームマンションからファミリーマンション、一棟販売(ワンルームマンションの卸売)からホテルまで多様な事業を展開している稀有な企業である。多彩な商品ラインナップは、土地の情報が入った時に最適な活用法を可能にし、仕入ボリュームを大きくすることができ、競合よりも有利に土地取得・建築を進めることができる。

1. 市場動向
今年は「個人向け不動産投資」関連で複数の不祥事が発生し、市場全体への不信感が広がった。不祥事は主に、新興不動産会社が郊外に供給するアパート等の1棟物(1物件当たり価格は5、6千万円から1億円超)に対する融資において発生した。物件の立地が人口の減少している郊外か増加している都市部かによって、入居需要に大きな違いがあり、市場を一括りにして評価するのは適切ではない。同社は都市中心部のワンルームマンション(1物件当たり価格は1千6百万万円台から1千7百万円台)供給に特化する不動産投資業界のマーケット・リーダーであり、一連の不祥事の後でも、販売・受注状況は好調である。今後は、不信感の広がった個人の不動産投資家が信頼できる不動産業者を選別する傾向が強まっていくと予測する。

また、問題のあった不動産投資向け融資を行っていたのは、主に地銀系の金融機関であった。一方、同社の顧客に対し融資を行っているのは主にノンバンク系の金融機関で、その多くが不動産投資の草創期から融資実績を積んでいる。そのため、豊富な過去データを活用した的確な融資基準や不正を防止する業務手順を採用している。ノンバンク系の金融機関は、今回の不祥事発生の前から、高い資産価値のある物件を供給する不動産事業者を選別している。

同社は、不動産投資家である顧客からも金融機関からも選ばれるポジションにある。

2. 業績動向
2019年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比83.2%増の121,350百万円、営業利益が同134.6%増の25,777百万円、経常利益が同138.5%増の25,583百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同140.4%増の17,402百万円となり、期初の計画通り大幅な増収増益となった。売上戸数は、ワンルームマンションが前年同期比26.0%増と堅調、ファミリーマンションは同141.0%増と大幅に増加した。ホテル販売は、同1261.1%増とスタートから2年目で飛躍的に伸びた。今期は第2四半期までに引渡しが集中する売上高計画(111,573百万円)を期初に発表していたが、実績は計画を8.8%上回った。売上原価率は商品構成の違い等から前期比1.2ポイント減。販管費(主に販売手数料や人件費)は増加したが、増収効果が勝り販管費率は前期比3.6ポイント減の7.2%。結果として営業利益率は21.2%、第2四半期計画比でも16.2%増と高い水準となった。

2019年3月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比13.7%増の152,471百万円、営業利益が同20.5%増の24,541百万円、経常利益が同19.2%増の23,661百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.3%増の16,132百万円と、期初の計画を据え置いた。達成すれば、売上高で初の1500億円超え、9年連続で売上高・利益とも過去最高業績となる。セグメント別では、ファミリーマンション及びワンルームマンションで順調に引渡しが進捗。ホテル販売では、今期の売上計画分を完了し来期引渡し予定であった1物件を前倒しで売却。売上高の第2四半期進捗率は79.6%である。さらに受注も含めると、2019年3月期通期ではマンション販売事業の売上高計画の98.9%分(142,897百万円分、実績+受注)を確保しており、計画達成は時間の問題である。なお、各利益の第2四半期進捗率は100%を超えている。弊社では下期の利益に期初計画からのぶれは小さいと考えている。

3. 成長戦略・トピック
同社は、大阪・新今宮駅北側に民泊専用ビルを建設する。2018年6月に民泊新法が施行され、民泊営業は180日の上限が設けられたが、大阪市では特区の認定を受けており年間365日の民泊営業が可能だ(2泊3日以上)。民泊専用ビルの新築は大阪では同社が初となる。新今宮駅周辺は、インバウンド需要を見込んだ宿泊施設の開発が進んでいる。JR大阪環状線、南海本線など複数路線が乗り入れ、関西国際空港や大阪ミナミなどの観光スポットへのアクセスが良いのがその理由だ。星野リゾートなどがホテル開業を計画し、“ドヤ街”のイメージの街は変貌しつつある。同社は民泊専用ビルとして、JR新今宮駅北側の好立地に敷地面積約430平方メートル、9階建て全48室の建設を計画する。同社のビジネスモデルはあくまでもデベロッパーのため、民泊運営ノウハウを持つ事業者に建物をリースし運営も委託する。新たな試みとなるため、需給動向によってはマンションに転換できるような基本設計にし、リスク対策にも万全を期す。なお、既存および新築の居住用マンションでは、民泊は行わない。

4. 株主還元
同社は、従来から「毎年、対前年比10%以上の営業利益成長による配当原資の拡大」を経営目標に掲げて増配を続けてきた。期初に発表された中期経営計画で新たに2つの方針が発表され、「配当性向を5年以内に20%へ段階的に引き上げ」、「配当総額を前年比15%以上の増額」が加わった。これらにより、中期的に増配ペースが加速することが期待できる。2019年3月期第2四半期末は期初の予想どおり配当17.50円を実施した。期末にも17.50円を計画しており、合計で配当金35.00円(上期末17.50円、下期末17.50円)、配当性向13.0%を予想する。


■Key Points
・個人向け不動産投資市場では相次ぐ不祥事による不透明感もあるが、同社が手掛ける都市中心部のワンルームマンション事業では直接の影響は無い
・2019年3月期売上高1500億円超え、9年連続増益に向け進捗順調。既に今期の年間売上高計画の98.9%分を確保。
・大阪初、JR新今宮駅近くに民泊専用ビルを新築
・「毎年10%以上の営業利益成長」と「配当性向引き上げ」の掛け算で増配ペースが加速する予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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