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DEAR・L Research Memo(1):2018年9月期はリアルエステート事業がけん引、過去最高売上・利益を達成

注目トピックス 日本株
■要約

ディア・ライフ<3245>は、都市型マンションの開発事業・収益不動産の投資事業などのリアルエステート事業を中核に、人材派遣事業などを展開する企業グループである。2004年の会社設立以来、東京圏に特化した主に単身者・DINKS向けマンションの開発(リアルエステート事業)を主軸として急成長を遂げた。代表取締役社長の阿部幸広(あべゆきひろ)氏を始めとした専門性の高い人材の不動産目利き力が強みである。2007年8月、会社設立から3年弱で東証マザーズに上場。2015年8月には東証1部に昇格、その後も著しい成長を見せている。

1. 事業内容
同社の主力事業はリアルエステート事業であり、全社売上高の94.3%(2018年9月期)、全社営業利益の95.9%(同)を稼ぐ大黒柱である。そのビジネスモデルの特徴は、1)東京圏に特化している、2)1棟30戸〜50戸程度の規模の単身者・DINKS向けマンションの開発を得意とする、3)1棟単位で不動産販売会社や事業法人・各種投資家層に売却し区分の販売を行わないなどであり、少数精鋭の人材が年間売上高19,587百万円(2018年9月期)に達する事業を切り盛りし、資産効率及び生産性が高い。

2. 業績動向
2018年9月期通期は、売上高が前期比26.0%増の20,763百万円、営業利益が同38.1%増の2,859百万円、経常利益が同46.9%増の2,932百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同89.3%増の2,518百万円と増収増益となり、過去最高の業績を達成した。売上総利益率は19.6%(前期は20.1%)であり、20%前後を維持している。販管費率は、売上規模の拡大及びパルマの非連結化によって5.8%(同7.5%)に低下。主力のリアルエステート事業では、事業会社やファンド、国内投資家などの幅広い顧客層に対し、合計28物件の販売を行った。結果として大幅なセグメント利益の増益となった。セールスプロモーション事業においては、都心部の分譲・賃貸マンションの物件の供給が増えるなか、 営業スタッフの人材需要が引き続き堅調に推移した。スタッフの採用・研修コストなど投資を強化したため減益となった。

2019年9月期通期の業績は、経常利益で3,000百万円(前期比2.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で2,000百万円(同20.6%減)を目標とする。売上高と営業利益に関しては、例年同様に業績目標を開示していない。売上高の目標を開示していない理由は、リアルエステート事業において物件売却の手法が多彩であることにより、不確定要素が多いこと、中期経営計画同様、目標指標を売上ではなく経常利益としているためだ。リアルエステート事業では、これまでの戦略どおり都市型マンションを中心に事業規模の拡大を継続する。また、新たな中期経営計画では「継続安定収益アセットのストック強化」が打ち出された。これまでも収益不動産への投資は一部で行われてきたが、健全な財務基盤を生かして投資割合が増えていくことが予想される。住居系が主体と考えられるが、シニア・宿泊分野などにも投資の対象となりそうだ。セールスプロモーション事業では、派遣職種の幅を広げ、受託拡大につなげていく。アウトソーシングサービス事業(関連会社となったパルマ<3461>)は連結から外れ、上記2セグメントで計画達成を目指す。なお、今期パルマ<3461>は日本郵政グループと資本提携し、そのブランド力やネットワーク、経営資源を活用してセルフストレージ事業の成長を加速させる計画だ。

3. 成長戦略
新しい中期経営計画の名称は、「Go For The Future 2021」である。継続的な成長を維持しながら、2020年代の発展に向けた布石を打つことが目的となる。主力の不動産事業の重点テーマとしては、従来どおり東京エリアに特化して開発・投資事業量の拡大を目指す方針が再確認された。また新機軸としては「継続安定収益アセットのストック推進」が盛り込まれた。今後はフローとストックのバランスを取りながら事業運営が成されることになる。成長投資の推進も強化される計画であり、投資対象と成り得る分野として、宿泊系産業分野、建築関連産業分野、シニア向けサービス、生活サービス分野、不動産×IT、外国人向けサービスが挙げられる。同社は過去にもパルマに投資し、育成、上場など成功させた実績があり、周辺分野で第2のパルマを探索する。同社は資金調達に関しても積極果敢だ。2017年に続きエクイティファイナンス(MSWT)を2018年3月から行使し9月までに約24億円の資金調達を完了。結果として自己資本比率を53.3%(2018年9月期末、前期末42.3%)に向上させ、健全な財務構造の維持に貢献している。

4. 株主還元策
2018年9月期は、期初予想は1株当たり配当金19円だったが、パルマの株式譲渡益及びリアルエステート事業を中心に業績が好調に推移したことによる増益により、配当金28円と大幅増配で着地した。配当性向は39.8%だった。2019年9月期の配当金は20円、配当性向は40%を予想する。2018年9月期はパルマ株式譲渡益という特殊要因があったが中長期的な増配基調に変化はない。以前から実施していた株主優待制度は2019年9月期から「ディア・ライフ プレミアム優待倶楽部」としてリニューアルされる。リニューアルの狙いは、長期でかつより多くの株式を所有してもらうこと。これまでの優待対象が100株以上の株主だったのを500株以上に引き上げるとともに、還元率を大幅に引き上げた。新制度でのポイントは、特設インターネット・サイトにおいて、食品、電化製品、ギフト、旅行・体験に交換できる。

■Key Points
・2018年9月期はリアルエステート事業がけん引し、過去最高売上・利益を達成
・好業績及び積極的な資本政策により現金及び預金が約130億円、自己資本比率は50%を超える
・新中期経営計画「Go For The Future 2021」を発表、経常利益50億円を目指す
・2018年9月期は株式譲渡益により大幅増配(年28円)。新たな株主優待制度「ディア・ライフ プレミアム優待倶楽部」がスタート

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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