ダイコク電 Research Memo(6):上期業績は値引き率の抑制やサービス売上の伸びが収益の底上げに貢献
[19/01/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
2. 2019年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比20.9%減の14,230百万円、営業利益が同132.6%増の872百万円、経常利益が同103.7%増の1,005百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同115.3%増の637百万円と減収ながら大幅な増益となった。期初予想に対しても、売上高が下回ったものの、利益面では大きく上振れる進捗となっている。
「新規則」による影響の不透明感※から、設備投資に対して慎重な姿勢が継続する厳しい市場環境が続くなかで、売上高は「情報システム事業」及び「制御システム事業」がともに減収となった。特に、「情報システム事業」は、パチンコホールの新規出店や大規模改装が大幅に減少するなか、情報公開端末やホールコンピュータの導入が進んだものの、その他の主力製品が低調であったことから計画を大きく下振れた。また、「制御システム事業」についても、自社開発パチスロ遊技機の販売がなかったことやパチンコ遊技機向け「制御ユニット」及び「部品」の販売が減少したことにより減収幅は大きかったが、こちらは想定内(若干上振れ)の進捗である。
※「新規則」に対応した遊技機として、大当たり確率を最大6段階まで設けた「設定付きパチンコ機」や「パチスロ6号機」が遊技機メーカー各社から発表されたが、まだ認定機種の数が出そろっていない(認定に時間がかかっている)ことや認定された機種についても市場の評価が定まっていないことから本格的な導入には至っていない。そのため、新規出店や入れ替え投資を先延ばしする状態が続いている。
利益面では、値引き率を抑えたことで売上総利益率が改善(6.3ポイントの改善)。また、販管費について研究開発費の減少(一部期ずれ)や販売手数料の削減等により大きく減少したことから、計画を上回る大幅な営業増益を実現した。営業利益率も6.1%(前年同期は2.0%)に改善している。なお、値引き率を抑制できたのは、新店との取引が少なかった一方、既存ホールへの付加価値の高い提案営業が奏功したものとみられる。
財務面では、「現金及び預金」及び「受取手形及び売掛金」の減少等により総資産が前期末比4.2%減の41,735百万円と縮小した一方、自己資本は前期末比0.6%増の29,428百万円とほぼ横ばいで推移したことから、自己資本比率は70.5%(前期末は67.1%)に上昇した。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) 情報システム情報
売上高は前年同期比5.8%減の11,077百万円、セグメント利益は同60.5%増の1,399百万円と減収ながら大幅な増益となった。期初予想に対しても、売上高が下回ったものの、利益面では上振れる進捗となっている。新規出店や大規模改装が大幅に減少するなか、大手企業向け※に導入が進んでいる情報公開端末「BiGMO PREMIUM II」及びホールコンピュータの販売は前年同期を上回ったが、その他の主力製品が低調に推移した。一方、パチンコホールでの人手不足が深刻化するなか、CRユニットのオプション機能である台毎計数システムの需要は増加傾向にあり、特にパチスロにおいて切り替えが進んでいる。
※前期開始した大手チェーン店との取引を含む。
利益面では、前述のとおり、既存ホールへの付加価値の高い提案営業が奏功し、売上総利益率が改善したことに加え、研究開発費の減少等により、計画を上回る大幅な増益を実現した。
また、機器販売が全般的に苦戦を強いられるなかでも、サービス売上は5,241百万円(特に、注力するMGサービスの売上高は2,206百万円)と着実に伸びており、収益の安定に貢献しているところは評価すべきポイントである。
(2) 制御システム事業
売上高は前年同期比49.3%減の3,173百万円、セグメント利益は同10.4%減の335百万円と減収減益となったが、売上高、利益ともに計画を上回る進捗となっている。パチンコ遊技機向け表示ユニット販売は好調に推移したが、「新規則」の影響による遊技機メーカーの販売計画見直しやリユース率※の上昇等もあり、制御ユニット及び部品販売が減少した。また、自社開発パチスロ遊技機の販売がなかったこと(前年同期は約5,500台を市場投入)も大きな減収要因となった。
※中古遊技機の再利用によるもの。
利益面でも、減収による収益の押し下げにより減益となったものの、研究開発費の減少(一部期ずれ)等により計画を上回る進捗となっている。
以上から、上期業績を振り返ると、新規出店や大規模改装が大幅に減少する厳しい市場環境が続くなかで、減収となったものの、既存ホールへの提案営業により売上総利益率が改善したことやMGサービスの伸びが収益の安定に貢献したことにより、計画を上回る増益となったところは評価すべきポイントと言える。また、足元でも、画期的な新サービスを含むCRユニット「VEGASIA III」※の受注が好調に推移しているところは、今後に向けてプラスの材料となった。
※顔認証カメラが標準装備され、ファン動向が把握できるところに最大の特徴がある。特に、データ分析による最適な機種構成の実現のほか、セキュリティ機能の強化が高い評価を受けているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2019年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比20.9%減の14,230百万円、営業利益が同132.6%増の872百万円、経常利益が同103.7%増の1,005百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同115.3%増の637百万円と減収ながら大幅な増益となった。期初予想に対しても、売上高が下回ったものの、利益面では大きく上振れる進捗となっている。
「新規則」による影響の不透明感※から、設備投資に対して慎重な姿勢が継続する厳しい市場環境が続くなかで、売上高は「情報システム事業」及び「制御システム事業」がともに減収となった。特に、「情報システム事業」は、パチンコホールの新規出店や大規模改装が大幅に減少するなか、情報公開端末やホールコンピュータの導入が進んだものの、その他の主力製品が低調であったことから計画を大きく下振れた。また、「制御システム事業」についても、自社開発パチスロ遊技機の販売がなかったことやパチンコ遊技機向け「制御ユニット」及び「部品」の販売が減少したことにより減収幅は大きかったが、こちらは想定内(若干上振れ)の進捗である。
※「新規則」に対応した遊技機として、大当たり確率を最大6段階まで設けた「設定付きパチンコ機」や「パチスロ6号機」が遊技機メーカー各社から発表されたが、まだ認定機種の数が出そろっていない(認定に時間がかかっている)ことや認定された機種についても市場の評価が定まっていないことから本格的な導入には至っていない。そのため、新規出店や入れ替え投資を先延ばしする状態が続いている。
利益面では、値引き率を抑えたことで売上総利益率が改善(6.3ポイントの改善)。また、販管費について研究開発費の減少(一部期ずれ)や販売手数料の削減等により大きく減少したことから、計画を上回る大幅な営業増益を実現した。営業利益率も6.1%(前年同期は2.0%)に改善している。なお、値引き率を抑制できたのは、新店との取引が少なかった一方、既存ホールへの付加価値の高い提案営業が奏功したものとみられる。
財務面では、「現金及び預金」及び「受取手形及び売掛金」の減少等により総資産が前期末比4.2%減の41,735百万円と縮小した一方、自己資本は前期末比0.6%増の29,428百万円とほぼ横ばいで推移したことから、自己資本比率は70.5%(前期末は67.1%)に上昇した。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) 情報システム情報
売上高は前年同期比5.8%減の11,077百万円、セグメント利益は同60.5%増の1,399百万円と減収ながら大幅な増益となった。期初予想に対しても、売上高が下回ったものの、利益面では上振れる進捗となっている。新規出店や大規模改装が大幅に減少するなか、大手企業向け※に導入が進んでいる情報公開端末「BiGMO PREMIUM II」及びホールコンピュータの販売は前年同期を上回ったが、その他の主力製品が低調に推移した。一方、パチンコホールでの人手不足が深刻化するなか、CRユニットのオプション機能である台毎計数システムの需要は増加傾向にあり、特にパチスロにおいて切り替えが進んでいる。
※前期開始した大手チェーン店との取引を含む。
利益面では、前述のとおり、既存ホールへの付加価値の高い提案営業が奏功し、売上総利益率が改善したことに加え、研究開発費の減少等により、計画を上回る大幅な増益を実現した。
また、機器販売が全般的に苦戦を強いられるなかでも、サービス売上は5,241百万円(特に、注力するMGサービスの売上高は2,206百万円)と着実に伸びており、収益の安定に貢献しているところは評価すべきポイントである。
(2) 制御システム事業
売上高は前年同期比49.3%減の3,173百万円、セグメント利益は同10.4%減の335百万円と減収減益となったが、売上高、利益ともに計画を上回る進捗となっている。パチンコ遊技機向け表示ユニット販売は好調に推移したが、「新規則」の影響による遊技機メーカーの販売計画見直しやリユース率※の上昇等もあり、制御ユニット及び部品販売が減少した。また、自社開発パチスロ遊技機の販売がなかったこと(前年同期は約5,500台を市場投入)も大きな減収要因となった。
※中古遊技機の再利用によるもの。
利益面でも、減収による収益の押し下げにより減益となったものの、研究開発費の減少(一部期ずれ)等により計画を上回る進捗となっている。
以上から、上期業績を振り返ると、新規出店や大規模改装が大幅に減少する厳しい市場環境が続くなかで、減収となったものの、既存ホールへの提案営業により売上総利益率が改善したことやMGサービスの伸びが収益の安定に貢献したことにより、計画を上回る増益となったところは評価すべきポイントと言える。また、足元でも、画期的な新サービスを含むCRユニット「VEGASIA III」※の受注が好調に推移しているところは、今後に向けてプラスの材料となった。
※顔認証カメラが標準装備され、ファン動向が把握できるところに最大の特徴がある。特に、データ分析による最適な機種構成の実現のほか、セキュリティ機能の強化が高い評価を受けているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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