城南進研 Research Memo(5):大学入試制度改革への対応や収益構造の改革といった中期経営計画目標が順調に進捗
[19/02/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中期経営計画の進捗状況
1. 中期経営計画と進捗の概況
城南進学研究社<4720>は現在、2018年3月期−2020年3月期の3ヶ年中期経営計画に取り組んでおり、今期はその2年目に当たる。“総合教育ソリューション企業として激変する社会環境に対応し、一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援する”ことと、“ステークホルダーとともに企業価値の最大化を追求し、民間教育を牽引する存在となる”ことをビジョンとして掲げ、1)大学入試制度改革への対応とソリューション事業の強化、2)少子高齢化の進行を見越した収益構造改革、3)顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化、の3点を基本戦略&計画骨子としている(中期経営計画の詳細説明は2018年1月22日付レポートを参照)。
中期経営計画の基本戦略&計画骨子とそれぞれの項目における進捗状況をまとめた表を見ると、2018年3月期に引き続き、2019年3月期第2四半期も総じて順調に進捗している。それぞれの項目について明確な進捗がみられるが、特に重要性が高いものや、今第2四半期に大きな進捗があったものとしては、以下の項目を挙げることができる。すなわち、1)4技能を伸ばす英語教育の推進、2)事業ポートフォリオの改善と経営基盤の強化、3)戦略的なM&A、アライアンスによる企業価値の向上、の3項目だ。これらはそれぞれのテーマの枠を超えて他のテーマとも関連性があり、現実に、複数の事業部門にまたがる形で展開されている。中期経営計画の基本戦略&計画骨子の枠組みから離れて別な角度から各イベントを見ると、同社の狙いや将来のシナジーの在り方が、より良く理解できるだろう。
4技能強化の動きを「英語の城南」ブランドの確立つなげるべく、矢継ぎ早に施策を実施。幼児から社会人までを有機的につなぐラインアップができつつある
2. 「4技能を伸ばす英語教育の推進」の狙いと進捗状況
2020年度に実施予定の大学入試制度改革では各科目ともに対応を迫られることになるが、なかでも変化が大きいとみられるのが英語だ。読む・聞く・書く・話すの4技能が評価対象となる点がポイントだ。同社はこの4技能対策を、ただの入試制度改革対応にとどめるのではなく、これを「英語の城南」ブランドの確立の好機と捉えて、様々な施策に取り組んでいる。
英語教育の社会的重要性と自身のビジネスとしてのポテンシャルについて、同社は以前より認識しており、具体的なアクションも取ってきた。2013年10月のジー・イー・エヌの子会社化や2015年12月のリンゴ・エル・エル・シーの子会社化がそれだ。しかし、ジー・イー・エヌは幼稚園から小学校低学年が対象である一方、リンゴ・エル・エル・シーは海外留学対策に特化しており、両者の間にあるのは中高生を対象とした旧来の受験対策としての英語教育だった。
今回、入試制度改革で4技能強化が必須となったことで、学習指導・受験指導の対応強化をそのまま英語の生涯教育ラインナップの整備につなげることが可能になった。英語教育の重要性を認識していた同社はその機を見逃すことなく、素早く対応した。その最初のステップが4技能強化の対策用教材「5 Codes English」のリンゴ・エル・エル・シーとの共同開発だ(2018年3月期)。
さらに、今第2四半期は「英語の城南」のブランドイメージ確立への動きが大きく加速した。6月には海外留学のサポートを主たる事業とするiaeグローバルジャパンと業務提携を行った。iaeグローバルジャパンは世界13ヶ国の留学エージェントネットワークのメンバーとなっており、世界700校以上の教育機関へのアプローチを有している。今回の提携によって同社は、個別指導教室等の卒業生の海外留学にサポートを提供できるようになるほか、幼児教育を始めとした全事業に関して夏期や冬季の短期留学を取り入れることができるなど、英語指導に関したサービスの拡充を図ることができることになる。
8月には企業向けビジネス英語研修や英会話スクールの運営を行うアイベックを子会社化した(持分割合70%)。アイベックの業容は2017年12月期の売上高が211百万円、営業利益10百万円となっている。企業・社会人向けの英語研修が主力事業であり、リンゴ・エル・エル・シーと一部重なるところはあるものの、同社にとっては社会人向け英語教育の本格進出となる。各世代・年齢層をつなぐ英語教育ラインアップの重要なピースと言うことができる。
一方、低年齢層向け英語教育の拡充という点では、英語教育と学童保育を組み合わせた「E-Camp」の提供を開始した。これは同社が子会社ジー・イー・エヌのFCとして運営するズー・フォニックス・アカデミー南浦和校で展開するものだ。学童保育は学習塾産業全体に広がっている成長分野であり、同社の子会社の久ケ原スポーツクラブはデジタル教材との組み合わせで順調な立ち上げに成功している。同社自身はズー・フォニックスメソッドの英語教育を武器に学童保育事業を成功と「英語の城南」のブランドイメージの確立を狙っている。
また、ブランドイメージの確立を目指す取り組みとして、「英検1000」プロジェクトをスタートさせた。これは個別指導を含む全事業の在籍生を対象に、英検合格者1,000名の達成を目指すものだ。既取得者の場合は1段階上の級を目指すことになる。全3回を予定しており、第1回において471名の合格者を輩出し、順調なスタートを切った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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1. 中期経営計画と進捗の概況
城南進学研究社<4720>は現在、2018年3月期−2020年3月期の3ヶ年中期経営計画に取り組んでおり、今期はその2年目に当たる。“総合教育ソリューション企業として激変する社会環境に対応し、一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援する”ことと、“ステークホルダーとともに企業価値の最大化を追求し、民間教育を牽引する存在となる”ことをビジョンとして掲げ、1)大学入試制度改革への対応とソリューション事業の強化、2)少子高齢化の進行を見越した収益構造改革、3)顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化、の3点を基本戦略&計画骨子としている(中期経営計画の詳細説明は2018年1月22日付レポートを参照)。
中期経営計画の基本戦略&計画骨子とそれぞれの項目における進捗状況をまとめた表を見ると、2018年3月期に引き続き、2019年3月期第2四半期も総じて順調に進捗している。それぞれの項目について明確な進捗がみられるが、特に重要性が高いものや、今第2四半期に大きな進捗があったものとしては、以下の項目を挙げることができる。すなわち、1)4技能を伸ばす英語教育の推進、2)事業ポートフォリオの改善と経営基盤の強化、3)戦略的なM&A、アライアンスによる企業価値の向上、の3項目だ。これらはそれぞれのテーマの枠を超えて他のテーマとも関連性があり、現実に、複数の事業部門にまたがる形で展開されている。中期経営計画の基本戦略&計画骨子の枠組みから離れて別な角度から各イベントを見ると、同社の狙いや将来のシナジーの在り方が、より良く理解できるだろう。
4技能強化の動きを「英語の城南」ブランドの確立つなげるべく、矢継ぎ早に施策を実施。幼児から社会人までを有機的につなぐラインアップができつつある
2. 「4技能を伸ばす英語教育の推進」の狙いと進捗状況
2020年度に実施予定の大学入試制度改革では各科目ともに対応を迫られることになるが、なかでも変化が大きいとみられるのが英語だ。読む・聞く・書く・話すの4技能が評価対象となる点がポイントだ。同社はこの4技能対策を、ただの入試制度改革対応にとどめるのではなく、これを「英語の城南」ブランドの確立の好機と捉えて、様々な施策に取り組んでいる。
英語教育の社会的重要性と自身のビジネスとしてのポテンシャルについて、同社は以前より認識しており、具体的なアクションも取ってきた。2013年10月のジー・イー・エヌの子会社化や2015年12月のリンゴ・エル・エル・シーの子会社化がそれだ。しかし、ジー・イー・エヌは幼稚園から小学校低学年が対象である一方、リンゴ・エル・エル・シーは海外留学対策に特化しており、両者の間にあるのは中高生を対象とした旧来の受験対策としての英語教育だった。
今回、入試制度改革で4技能強化が必須となったことで、学習指導・受験指導の対応強化をそのまま英語の生涯教育ラインナップの整備につなげることが可能になった。英語教育の重要性を認識していた同社はその機を見逃すことなく、素早く対応した。その最初のステップが4技能強化の対策用教材「5 Codes English」のリンゴ・エル・エル・シーとの共同開発だ(2018年3月期)。
さらに、今第2四半期は「英語の城南」のブランドイメージ確立への動きが大きく加速した。6月には海外留学のサポートを主たる事業とするiaeグローバルジャパンと業務提携を行った。iaeグローバルジャパンは世界13ヶ国の留学エージェントネットワークのメンバーとなっており、世界700校以上の教育機関へのアプローチを有している。今回の提携によって同社は、個別指導教室等の卒業生の海外留学にサポートを提供できるようになるほか、幼児教育を始めとした全事業に関して夏期や冬季の短期留学を取り入れることができるなど、英語指導に関したサービスの拡充を図ることができることになる。
8月には企業向けビジネス英語研修や英会話スクールの運営を行うアイベックを子会社化した(持分割合70%)。アイベックの業容は2017年12月期の売上高が211百万円、営業利益10百万円となっている。企業・社会人向けの英語研修が主力事業であり、リンゴ・エル・エル・シーと一部重なるところはあるものの、同社にとっては社会人向け英語教育の本格進出となる。各世代・年齢層をつなぐ英語教育ラインアップの重要なピースと言うことができる。
一方、低年齢層向け英語教育の拡充という点では、英語教育と学童保育を組み合わせた「E-Camp」の提供を開始した。これは同社が子会社ジー・イー・エヌのFCとして運営するズー・フォニックス・アカデミー南浦和校で展開するものだ。学童保育は学習塾産業全体に広がっている成長分野であり、同社の子会社の久ケ原スポーツクラブはデジタル教材との組み合わせで順調な立ち上げに成功している。同社自身はズー・フォニックスメソッドの英語教育を武器に学童保育事業を成功と「英語の城南」のブランドイメージの確立を狙っている。
また、ブランドイメージの確立を目指す取り組みとして、「英検1000」プロジェクトをスタートさせた。これは個別指導を含む全事業の在籍生を対象に、英検合格者1,000名の達成を目指すものだ。既取得者の場合は1段階上の級を目指すことになる。全3回を予定しており、第1回において471名の合格者を輩出し、順調なスタートを切った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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