富士ソフト Research Memo(4):主力のSI事業では多彩なソリューションメニューを提供(2)
[19/03/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■富士ソフト<9749>の事業内容
4. クラウドサービスとの競合に直面するアウトソーシング
アウトソーシングは、データセンターやシステム運用・保守等のサービスを提供しており、売上高構成比は7.4%(2018年12月期)、営業利益構成比は9.0%(同)である。2018年12月期のセグメント利益率が6.8%と上昇している理由は、2017年12月期に増加したデータセンター改修費用が減少に転じたことなどによる。近年の減収傾向は、流通・サービス向け継続案件の減少によるところが大きく、2018年12月期の期末受注残高も、前期末比14.5%減となっている。他社クラウドサービスとの競争激化がその背景にあると考えられ、予断を許さない状況と言えるだろう。
5. 高収益のファシリティ事業
保有するオフィスビルの賃貸を収入とするファシリティ事業の売上高構成比は1.4%(2018年12月期)、営業利益構成比は9.9%(同)である。セグメント利益率は38.9%(同)と高く、同社の利益水準を安定的に下支えしている。
有価証券報告書で確認できるファシリティ事業向け保有不動産は、横浜本社(土地取得年:2000年、土地建物簿価:11,399百万円)、秋葉原オフィス(同:2005年、同32,635百万円)、錦糸町オフィス(同:2000年、同6,065百万円)、門前仲町オフィス(同:2003年、同1,760百万円)の4棟である。
6. その他に分類される再生医療事業においてインプラント型再生軟骨の成功認定を獲得
その他の売上高構成比は5.9%(2018年12月期)、営業利益構成比は5.0%(同)である。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業やコンタクトセンター事業の好調が増収要因となっている。
2005年11月に東京大学医学部附属病院で「軟骨・骨再生医療寄付講座」を開講し、2007年より独立行政法人科学技術振興機構の委託(2015年4月からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構より委託)を受けて取り組んでいる再生医療事業は、一見飛び地参入に見えるが、医療分野におけるICT利活用の有効性に着目した「挑戦と創造」である。
同社は、東大からの技術移転を受けた研究開発により世界初の自己細胞による「インプラント型再生軟骨」の開発に成功し、2015年から鼻の外観と機能改善を目指した口唇口蓋裂患者治療への有効性・安全性を評価する企業治験を進めてきた。そして、2018年9月にインプラント型再生軟骨の成功認定を獲得、2019年に製造販売事業化を実現し、5年目には40億円の売上獲得を目指している。
7. 「AIS-CRM(アイスクリーム)」を事業戦略に新製品・新事業の創出に挑戦
同社は「AIS-CRM」(A:AI / I:IoT / S:Security / C:Cloud / R:Robot / M:Mobile&AutoMotive)を重点技術分野に揚げ、付加価値向上に取り組んでいる。一見、流行り言葉の羅列のようだが、「AIS-CRM」の上位概念には、同社のコアコンピタンスが据えられており、新製品・新事業のシーズが生み出されることに期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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4. クラウドサービスとの競合に直面するアウトソーシング
アウトソーシングは、データセンターやシステム運用・保守等のサービスを提供しており、売上高構成比は7.4%(2018年12月期)、営業利益構成比は9.0%(同)である。2018年12月期のセグメント利益率が6.8%と上昇している理由は、2017年12月期に増加したデータセンター改修費用が減少に転じたことなどによる。近年の減収傾向は、流通・サービス向け継続案件の減少によるところが大きく、2018年12月期の期末受注残高も、前期末比14.5%減となっている。他社クラウドサービスとの競争激化がその背景にあると考えられ、予断を許さない状況と言えるだろう。
5. 高収益のファシリティ事業
保有するオフィスビルの賃貸を収入とするファシリティ事業の売上高構成比は1.4%(2018年12月期)、営業利益構成比は9.9%(同)である。セグメント利益率は38.9%(同)と高く、同社の利益水準を安定的に下支えしている。
有価証券報告書で確認できるファシリティ事業向け保有不動産は、横浜本社(土地取得年:2000年、土地建物簿価:11,399百万円)、秋葉原オフィス(同:2005年、同32,635百万円)、錦糸町オフィス(同:2000年、同6,065百万円)、門前仲町オフィス(同:2003年、同1,760百万円)の4棟である。
6. その他に分類される再生医療事業においてインプラント型再生軟骨の成功認定を獲得
その他の売上高構成比は5.9%(2018年12月期)、営業利益構成比は5.0%(同)である。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業やコンタクトセンター事業の好調が増収要因となっている。
2005年11月に東京大学医学部附属病院で「軟骨・骨再生医療寄付講座」を開講し、2007年より独立行政法人科学技術振興機構の委託(2015年4月からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構より委託)を受けて取り組んでいる再生医療事業は、一見飛び地参入に見えるが、医療分野におけるICT利活用の有効性に着目した「挑戦と創造」である。
同社は、東大からの技術移転を受けた研究開発により世界初の自己細胞による「インプラント型再生軟骨」の開発に成功し、2015年から鼻の外観と機能改善を目指した口唇口蓋裂患者治療への有効性・安全性を評価する企業治験を進めてきた。そして、2018年9月にインプラント型再生軟骨の成功認定を獲得、2019年に製造販売事業化を実現し、5年目には40億円の売上獲得を目指している。
7. 「AIS-CRM(アイスクリーム)」を事業戦略に新製品・新事業の創出に挑戦
同社は「AIS-CRM」(A:AI / I:IoT / S:Security / C:Cloud / R:Robot / M:Mobile&AutoMotive)を重点技術分野に揚げ、付加価値向上に取り組んでいる。一見、流行り言葉の羅列のようだが、「AIS-CRM」の上位概念には、同社のコアコンピタンスが据えられており、新製品・新事業のシーズが生み出されることに期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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