ホットリンク Research Memo(3):ソーシャル・ビッグデータ収集・分析ツールの提供から利活用サービスへ(2)
[19/04/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
2. 事業内容
ホットリンク<3680>の事業は、SaaS事業、ソリューション事業、クロスバウンド事業の3つに分けて開示しており、同社及び子会社4社(Effyis、トレンドExpress、流行特急、Hotto Link Hong Kong)で事業展開を進めている。各事業の内容は以下のとおりとなる。
(1) SaaS事業
SaaS事業では、「クチコミ@係長」が主力サービスとなる。「クチコミ@係長」は、「2ちゃんねる」やTwitter、各種ブログなどから収集するソーシャル・ビッグデータをもとに、自社の商品開発や販促活動、競合他社比較等の調査などに利活用する分析ツールとなる。初期費用は10万円で、月額利用料は10万円からとなっており、利用可能ID数や対象メディア、データ容量などによって加算され、大口ユーザーでは月額100万円程度まで利用する企業もある。累積導入社数は1,000社以上で、このうち現在の実稼働数は約300社となっている。業種的には消費財メーカーやサービス、金融業界など幅広い企業に導入されており、利用企業の約8割が大企業となっている。
「クチコミ@係長」の特徴は、国内最大級のソーシャルメディアデータを保有し、トレンド分析や属性分析などを簡単操作、かつリアルタイムに実行できること、また、テレビやWebニュースなどとのクロスメディア分析、自社が保有するデータ(アンケート、コールログ等)のテキストマイニングを行うデータインポート分析機能なども実装していることが挙げられる。特に、ソーシャルメディア分析では国内ブログの約90%をカバーしているほか、投稿サイト「5ちゃんねる」の過去データや、全世界のTwitterデータを相手先との契約に基づいてすべて収集するなど、国内では圧倒的なソーシャルメディアデータの保有量を誇っている。また、同ツールではトレンド分析などをリアルタイムで行えることから、顧客企業が自社のマーケティング施策に迅速に活用することができ、マーケティング部門におけるROI(投資対効果)向上のための支援ツールとして利用されている。
その他、2018年5月より販売を開始したソーシャルメディアマーケティングツール「BuzzSpreader」がある。SNSへの広告出稿、アカウント運用、分析・レポート機能などをワンストップで実現できるクラウドサービスで、Twitter、Instagramに対応している。AIエンジンによる独自ターゲティングやハッシュタグレコメンドの自動生成機能により費用対効果の高いマーケティングツールとなっている。初期導入費用は10万円、月額利用料は5万円からとなっている。まだ機能開発を進めている段階で積極的な拡販は行っていないため、導入社数もわずかな社数にとどまっている。現在、運用コンサルティングプロセスを自動化するAI機能の開発を行っており、2020年夏頃の完成を目標としている。
(2) ソリューション事業
ソリューション事業には、Effyis(ブランド名:Socialgist)のソーシャルメディアデータ販売(データアクセス権販売)事業のほか、「クチコミ@係長」を構成する「データ」及び「分析エンジン」をSIer等に提供するデータプラットフォームサービス、Twitterを活用したマーケティング支援サービス等が含まれているが、売上高の9割弱はEffyisの事業で占められている。
Effyisは世界中のブログ、掲示板、Q&A、レビューサイト等のソーシャル・ビッグデータを収集し、世界の大手IT企業(ソーシャル・ビッグデータ分析、マーケティングプラットフォーム、BI等のツールベンダーなど)に販売するソーシャル・ビッグデータの流通販売大手で、Twitterを除く世界中の公開型大手SNSのデータを取り扱う最大手の企業となる。特に、中国大手ソーシャルメディアのデータに関するフルアクセス権の販売ライセンスを唯一取得しており、中国のソーシャル・ビッグデータに関する収集力では圧倒的な強みを持つ。主要顧客にはセールスフォース・ドットコムやIBMなどグローバルIT企業のほか、金融機関や政府機関、ベンチャー企業など数多くの企業がある。最大顧客はセールスフォース・ドットコムで、Effyisの売上高の約7.9%を占めていると見られる。
(3) クロスバウンド事業
子会社のトレンドExpressが展開する事業となる。訪日外国人の消費動向を分析した定期発行のレポートサービス「中国トレンドExpress」や、顧客ニーズに合わせたカスタムリサーチサービスを提供しているほか、2017年6月より中国市場でのプロモーション支援サービスとなる「トレンドPR」を、また、同年12月より中国向け越境ECサービス「越境EC X」のサービスを開始している。
このうち、「中国トレンドExpress」については月額8万円、カスタムリサーチサービスについては100万円からサービスを提供している。また、「トレンドPR」は自社の商品やブランドを中国市場で認知・育成し、売上げを拡大したいといった顧客ニーズに対して、費用対効果の高いマーケティング支援を提供するサービスとなる。具体的には、同社が強みとする中国市場でのソーシャル・ビッグデータ分析に基づき、最適なマーケティング施策の企画・立案、実行と、その後の効果測定、改善提案までPDCAサイクルを回すことで、費用対効果を向上しながら顧客の中国市場における販売支援を行っている。マーケティング施策としては同社が中国で提携する2,000以上のメディアサイトの中からビッグデータ分析に基づいて最適なメディアを選択し、効果的に拡散していくことになる。顧客側から見れば、データがすべて可視化できるため、客観的に費用対効果が分析できプロモーション施策のための予算を組みやすくなると言ったメリットもある。1案件(PDCAサイクル1回転分)当たりの料金は様々だが、平均で300〜500万円程度となっている。
一方、「越境EC X」は大手ECサイトの「Taobao」内に出店する有力店舗や有力KOLの個人店舗、日中間のソーシャルバイヤー約45万店舗をネットワーク化している「微店」などと提携し、これらのネットワークを使って販売プロモーションを行い、効率的に中国市場での認知度を向上させ商品の販売増を実現していくサービスとなる。集客から販売、カスタマーサポート、物流までをワンストップで提供している。対象となる商品の販売額に応じた成果報酬を得られるビジネスモデルとなっているため、プロモーション期間中に対象商品が爆発的にヒットした場合には、収益への貢献度が大きくなるといった特徴がある。
3. 同社の強み
同社の強みは、Effyisを子会社化したことにより世界最大級のソーシャルメディアデータ流通企業としての地位を確立したことに加え、同社が持つ世界レベルのビッグデータ解析技術に、Effyisが持つデータストリーミング技術を組み合わせることで、迅速かつ高度な分析サービスを提供できるようになったこと、また、これらビッグデータを収集・分析して利活用するソリューションサービスを展開できる体制が整ったことが挙げられる。
ソーシャル・ビッグデータを収集・分析するサービスを提供する企業は多いが、これら競合の中にはソーシャルメディアのオープンデータのみをクローリングして収集、サービス提供しているところも少なくない。コストをかけずにデータを収集しているため利益率も高くなるが、同社では今後、こうしたデータの収集方法は困難になると見ている。実際、2017年2月にTwitterがオープンデータの無断収集を禁止する意向を表明したほか、Facebookはデータの外販を禁止し、欧州では個人情報の取扱いがより厳格化されている。こうした市場環境の変化により、ソーシャルメディアデータの価値は今後、より一層向上していくものと予想される。こうした一連の動きは、サービスの質という観点で競合との格差が開くことを意味しており、グローバルで主要なソーシャルメディアのデータアクセス権を持つEffyisを子会社に持つ同社にとっては追い風になると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業内容
ホットリンク<3680>の事業は、SaaS事業、ソリューション事業、クロスバウンド事業の3つに分けて開示しており、同社及び子会社4社(Effyis、トレンドExpress、流行特急、Hotto Link Hong Kong)で事業展開を進めている。各事業の内容は以下のとおりとなる。
(1) SaaS事業
SaaS事業では、「クチコミ@係長」が主力サービスとなる。「クチコミ@係長」は、「2ちゃんねる」やTwitter、各種ブログなどから収集するソーシャル・ビッグデータをもとに、自社の商品開発や販促活動、競合他社比較等の調査などに利活用する分析ツールとなる。初期費用は10万円で、月額利用料は10万円からとなっており、利用可能ID数や対象メディア、データ容量などによって加算され、大口ユーザーでは月額100万円程度まで利用する企業もある。累積導入社数は1,000社以上で、このうち現在の実稼働数は約300社となっている。業種的には消費財メーカーやサービス、金融業界など幅広い企業に導入されており、利用企業の約8割が大企業となっている。
「クチコミ@係長」の特徴は、国内最大級のソーシャルメディアデータを保有し、トレンド分析や属性分析などを簡単操作、かつリアルタイムに実行できること、また、テレビやWebニュースなどとのクロスメディア分析、自社が保有するデータ(アンケート、コールログ等)のテキストマイニングを行うデータインポート分析機能なども実装していることが挙げられる。特に、ソーシャルメディア分析では国内ブログの約90%をカバーしているほか、投稿サイト「5ちゃんねる」の過去データや、全世界のTwitterデータを相手先との契約に基づいてすべて収集するなど、国内では圧倒的なソーシャルメディアデータの保有量を誇っている。また、同ツールではトレンド分析などをリアルタイムで行えることから、顧客企業が自社のマーケティング施策に迅速に活用することができ、マーケティング部門におけるROI(投資対効果)向上のための支援ツールとして利用されている。
その他、2018年5月より販売を開始したソーシャルメディアマーケティングツール「BuzzSpreader」がある。SNSへの広告出稿、アカウント運用、分析・レポート機能などをワンストップで実現できるクラウドサービスで、Twitter、Instagramに対応している。AIエンジンによる独自ターゲティングやハッシュタグレコメンドの自動生成機能により費用対効果の高いマーケティングツールとなっている。初期導入費用は10万円、月額利用料は5万円からとなっている。まだ機能開発を進めている段階で積極的な拡販は行っていないため、導入社数もわずかな社数にとどまっている。現在、運用コンサルティングプロセスを自動化するAI機能の開発を行っており、2020年夏頃の完成を目標としている。
(2) ソリューション事業
ソリューション事業には、Effyis(ブランド名:Socialgist)のソーシャルメディアデータ販売(データアクセス権販売)事業のほか、「クチコミ@係長」を構成する「データ」及び「分析エンジン」をSIer等に提供するデータプラットフォームサービス、Twitterを活用したマーケティング支援サービス等が含まれているが、売上高の9割弱はEffyisの事業で占められている。
Effyisは世界中のブログ、掲示板、Q&A、レビューサイト等のソーシャル・ビッグデータを収集し、世界の大手IT企業(ソーシャル・ビッグデータ分析、マーケティングプラットフォーム、BI等のツールベンダーなど)に販売するソーシャル・ビッグデータの流通販売大手で、Twitterを除く世界中の公開型大手SNSのデータを取り扱う最大手の企業となる。特に、中国大手ソーシャルメディアのデータに関するフルアクセス権の販売ライセンスを唯一取得しており、中国のソーシャル・ビッグデータに関する収集力では圧倒的な強みを持つ。主要顧客にはセールスフォース・ドットコム
(3) クロスバウンド事業
子会社のトレンドExpressが展開する事業となる。訪日外国人の消費動向を分析した定期発行のレポートサービス「中国トレンドExpress」や、顧客ニーズに合わせたカスタムリサーチサービスを提供しているほか、2017年6月より中国市場でのプロモーション支援サービスとなる「トレンドPR」を、また、同年12月より中国向け越境ECサービス「越境EC X」のサービスを開始している。
このうち、「中国トレンドExpress」については月額8万円、カスタムリサーチサービスについては100万円からサービスを提供している。また、「トレンドPR」は自社の商品やブランドを中国市場で認知・育成し、売上げを拡大したいといった顧客ニーズに対して、費用対効果の高いマーケティング支援を提供するサービスとなる。具体的には、同社が強みとする中国市場でのソーシャル・ビッグデータ分析に基づき、最適なマーケティング施策の企画・立案、実行と、その後の効果測定、改善提案までPDCAサイクルを回すことで、費用対効果を向上しながら顧客の中国市場における販売支援を行っている。マーケティング施策としては同社が中国で提携する2,000以上のメディアサイトの中からビッグデータ分析に基づいて最適なメディアを選択し、効果的に拡散していくことになる。顧客側から見れば、データがすべて可視化できるため、客観的に費用対効果が分析できプロモーション施策のための予算を組みやすくなると言ったメリットもある。1案件(PDCAサイクル1回転分)当たりの料金は様々だが、平均で300〜500万円程度となっている。
一方、「越境EC X」は大手ECサイトの「Taobao」内に出店する有力店舗や有力KOLの個人店舗、日中間のソーシャルバイヤー約45万店舗をネットワーク化している「微店」などと提携し、これらのネットワークを使って販売プロモーションを行い、効率的に中国市場での認知度を向上させ商品の販売増を実現していくサービスとなる。集客から販売、カスタマーサポート、物流までをワンストップで提供している。対象となる商品の販売額に応じた成果報酬を得られるビジネスモデルとなっているため、プロモーション期間中に対象商品が爆発的にヒットした場合には、収益への貢献度が大きくなるといった特徴がある。
3. 同社の強み
同社の強みは、Effyisを子会社化したことにより世界最大級のソーシャルメディアデータ流通企業としての地位を確立したことに加え、同社が持つ世界レベルのビッグデータ解析技術に、Effyisが持つデータストリーミング技術を組み合わせることで、迅速かつ高度な分析サービスを提供できるようになったこと、また、これらビッグデータを収集・分析して利活用するソリューションサービスを展開できる体制が整ったことが挙げられる。
ソーシャル・ビッグデータを収集・分析するサービスを提供する企業は多いが、これら競合の中にはソーシャルメディアのオープンデータのみをクローリングして収集、サービス提供しているところも少なくない。コストをかけずにデータを収集しているため利益率も高くなるが、同社では今後、こうしたデータの収集方法は困難になると見ている。実際、2017年2月にTwitterがオープンデータの無断収集を禁止する意向を表明したほか、Facebookはデータの外販を禁止し、欧州では個人情報の取扱いがより厳格化されている。こうした市場環境の変化により、ソーシャルメディアデータの価値は今後、より一層向上していくものと予想される。こうした一連の動きは、サービスの質という観点で競合との格差が開くことを意味しており、グローバルで主要なソーシャルメディアのデータアクセス権を持つEffyisを子会社に持つ同社にとっては追い風になると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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