Jトラスト Research Memo(3):貸倒引当金の大幅積み増しにより、不確実性の払拭を図る(1)
[19/06/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年3月期の業績概要
Jトラスト<8508>では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。2019年3月期は、2020年12月期以降の業績回復を見据えて抜本的な不良債権処理を断行したことから、営業収益74,900百万円(前期比0.8%増)、営業損失32,600百万円(前期は4,700百万円の利益)となった。すなわち、Jトラスト銀行インドネシアにおいて買収前からのレガシーを含む不良債権及び予備軍を一括処理し貸倒引当金13,000百万円を計上したことや、現在係争中のJトラストアジアが保有するGLに対する債権の全額について貸倒引当金20,100百万円を計上したことが、大幅な営業損失の主因であった。さらに、ハイライツ・エンタテインメントの株式及び貸付債権の譲渡に伴う損失を計上したこと等により、親会社の所有者に帰属する当期損失は36,100百万円(前期は700百万円の損失)であった。同社では2019年2月の第3四半期決算発表時に業績予想の下方修正を発表しており、おおむねそれに沿った着地であった。
大幅な損失決算は、改めて日本企業が海外事業展開することの難しさを示す結果となった。ただ、業績に関わる不確実性を完全に払拭することで、2020年12月期からの本格的な業績回復を目指すための下地作りを行うとの基本的な考え方のもと、事業ポートフォリオの徹底的な見直しを行った末の決断であった。こうして、現時点で考え得る限りのリスクを前倒し計上することで、今後はパフォーマンスの改善により収益の回復を目指す体勢が整ったと言えるだろう。
なお、同社グループは、2019年3月期に事業の選択と集中の観点から、ハイライツ・エンタテインメントの株式及び貸付債権を譲渡した。IFRSでは、既に処分されたかまたは売却目的保有に分類されている企業の構成単位で独立の主要な事業分野を表すものについては、非継続事業として開示することとなるため、当該事業について非継続事業として分類し、それに伴い前期の数字も組み替えて表示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<YM>
1. 2019年3月期の業績概要
Jトラスト<8508>では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。2019年3月期は、2020年12月期以降の業績回復を見据えて抜本的な不良債権処理を断行したことから、営業収益74,900百万円(前期比0.8%増)、営業損失32,600百万円(前期は4,700百万円の利益)となった。すなわち、Jトラスト銀行インドネシアにおいて買収前からのレガシーを含む不良債権及び予備軍を一括処理し貸倒引当金13,000百万円を計上したことや、現在係争中のJトラストアジアが保有するGLに対する債権の全額について貸倒引当金20,100百万円を計上したことが、大幅な営業損失の主因であった。さらに、ハイライツ・エンタテインメントの株式及び貸付債権の譲渡に伴う損失を計上したこと等により、親会社の所有者に帰属する当期損失は36,100百万円(前期は700百万円の損失)であった。同社では2019年2月の第3四半期決算発表時に業績予想の下方修正を発表しており、おおむねそれに沿った着地であった。
大幅な損失決算は、改めて日本企業が海外事業展開することの難しさを示す結果となった。ただ、業績に関わる不確実性を完全に払拭することで、2020年12月期からの本格的な業績回復を目指すための下地作りを行うとの基本的な考え方のもと、事業ポートフォリオの徹底的な見直しを行った末の決断であった。こうして、現時点で考え得る限りのリスクを前倒し計上することで、今後はパフォーマンスの改善により収益の回復を目指す体勢が整ったと言えるだろう。
なお、同社グループは、2019年3月期に事業の選択と集中の観点から、ハイライツ・エンタテインメントの株式及び貸付債権を譲渡した。IFRSでは、既に処分されたかまたは売却目的保有に分類されている企業の構成単位で独立の主要な事業分野を表すものについては、非継続事業として開示することとなるため、当該事業について非継続事業として分類し、それに伴い前期の数字も組み替えて表示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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