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アドクリ Research Memo(7):2020年9月期以降収益成長が加速する見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 今後の成長戦略
アドバンスクリエイト<8798>は「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を目指しており、「人材×IT」の融合による新規事業の創出により収益ポートフォリオを拡充すると同時に、収益成長スピードを加速していく考えだ。ドライバー役となる新規事業として、2019年9月期よりASP事業とBPO事業を本格的に開始している。

(1) ASP事業
ASP事業では、salesforce.comのクラウドサービスを活用して自社開発した顧客管理システム「御用聞き」の外販を2018年11月より開始した。同システムの特徴は、クラウドサービスにより低コストでの利用が可能なこと、保険業法や個人情報保護法等の関係法令に準拠しており、スムーズな顧客情報の管理・共有が可能なこと、各保険商品の手数料データの取込みと比較・分析ができること、歩合外務員の歩合率を設定する機能や報酬計算機能などを備えていること、などが挙げられる。乗合代理店では多くの保険商品を取り扱っており、保険商品ごとに手数料やインセンティブが異なるなど複雑な仕組みとなっている。業務効率の面から利便性の高い顧客管理システムが求められているため、同社システムの潜在需要は大きいと言える。

販売ターゲットは提携代理店のほか、複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店や他の金融機関となる。保険募集人の数は国内で100万人規模となり、このうち乗合代理店で数十万人規模、同社の提携代理店だけでも約5万人の規模となる。料金は月額課金制でIDごとに数千円/月の水準となる。このため、普及率次第で売上高は数十億円規模まで拡大する可能性がある。さらに、注目すべき点は同システムが社内利用を目的に開発されたため、開発費の負担がほとんどなく高い収益性が期待できることにある。

2019年3月末の契約ID数は提携代理店を中心に773件とまだ少ないものの、今後、新たな機能を実装していくことでID数の増加ペースに拍車がかかると予想され、2020年春には1万件程度が見込まれる。今後導入が順調に進めば、2020年9月期からASP事業を独立した事業セグメントとして開示する意向を同社では持っている。

なお、同社は共通プラットフォームシステム「ACP」を開発、機能の1つとして複数の保険会社とシステム連携し、複数社にまたがる保険商品の申込み手続きを1度の記入で完結できるシステムを搭載している。2019年4月より社内限定で顧客管理システムとの連携をスタートしており、問題が無いことを確認して7月から外販向け顧客管理システムへの実装を開始する予定となっている。従来、乗合代理店で複数の保険会社の商品を申し込む場合は、それぞれの会社ごとに申込用紙に必要事項を記入する必要があり、顧客サービスや業務効率の面からも課題となっていた。今回「ACP」を利用することで、1度のデータ記入で申込みが完結するため、接客時間の大幅短縮につながるといった効果が期待されている。

このため、業務効率の向上が喫緊の経営課題となっている乗合代理店でのニーズは極めて強いと考えられる。実際、顧客管理システム以上に「ACP」に関する問い合わせが多く寄せられている。このため、2019年7月のサービス開始以降は一気に利用者が増える可能性がある。なお、「ACP」の利用料は月額数百円程度となる見通し。今後は現在、8社となっている連携先の保険会社を拡大していくほか、その他の機能も追加し付加価値を高めていく戦略となっている。具体的には、AIベンチャーである(株)コージェントラボのOCR AI機能「Tegaki」を使って、各種紙ベースの情報をスムーズにデータとして取り込める機能を実装する予定にしている。

そのほか、保険証券管理アプリ「folder」を開発し、2018年9月にリリースしている。保険証券をスマートフォンで撮影し、AIによりテキストデータに変換して保存するアプリで、家族共有機能もついている。現在は直営の対面型販売の顧客のみに限定してサービス紹介しており、累計ダウンロード数は5千件となっている。まだ試行段階のため無料サービスとなっているが評判は上々のようで、今後機能の拡充を図った上でマネタイズしていく計画となっている。

(2) BPO事業
BPO事業では、コールセンター業務で蓄積してきたノウハウを生かして、保険会社やクレジット会社から保全業務の受注を獲得していく。保全業務の中でも保険料金の未払い対策は各社とも課題となっており、通常は電話やDMなどで契約者に通知するが、反応率が極めて低く業界共通の課題となっている。こうした分野において、同社はプロモーション施策として培ってきたSNSやSMSを使ったアプローチ手法を取り入れながら、費用対効果を向上していくことになる。受注形態は請負または派遣となり、管理証券数に対応して受注額も変動する。ちなみに、現在同社は保険契約件数約53万件の保全業務を5人でカバーしている。2019年6月より1〜2社で試験的にスタートし、効果が確認できれば受注規模も拡大していくことになる。人手不足がどの業界でも深刻化するなかで、保全業務に関するアウトソーシングの潜在需要は大きいと見られ、2021年9月期以降の収益貢献を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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